近年、オウンドメディアによる企業のマーケティング活動が活発になるにつれ、企業からの一方的な情報発信ではなく、ユーザーと一緒にコンテンツを作る「UGC」が注目されつつあります。
そこで、今回はUGCの定義や企業がマーケティング・集客で利用する際の注意点、リスクについて紹介します。
UGCとはユーザー参加型コンテンツ
UGCとは、「User Generated Contents(ユーザー生成コンテンツ)」の略称であり、ユーザーの手によって生み出された(制作された)コンテンツのことを指しています。
例としては、ブログ、SNS、プロフィール、Wikipedia、投稿サイトなどの投稿されたコンテンツですが、口コミやコメント・レビューもそれにあたります。
UGCが作られるようになった背景としては、2000年頃から携帯端末などのデバイス機能の発達、ネット環境の整備によりインターネットが普及したことがあります。
また、映像ソフトの発達も大きな影響を与えており、絵、動画、写真、アート、音楽、小説など、誰でも気軽に自分で作ったコンテンツをどこでもいつでも発表できるようになりました。
このようなUGCは、SNS、Q&Aサイト、電子掲示板、動画や写真共有サイトなどのように、主にユーザー自らが情報発信をしているメディアにおいて生成されやすいのが特徴です。
なぜUGCがマーケティングにおいて重要なのか
では、なぜUGCが重要になってきたのでしょうか。その理由としては大きく2つあります。
まず1つは検索市場におけるインプレッションの獲得が難しくなっているということです。
例えば、旅行・小売・通販といったUGCが発生しやすいtoCの分野においては、toBに比べて一般的に顧客となる対象者が多く、検索市場も年々大きくなっています。それに伴い新規参入する企業も多く存在し、結果としてSEOの難易度が上がっていたり、広告領域におけるCPA(顧客獲得単価)の高騰が散見される傾向にあります。
2つ目として、デジタルマーケティングの市場においては、Googleをはじめとする各プラットフォームにコンテンツを提供するため、アルゴリズムアップデートなどの影響によって検索順位が大きく下落するようなケースが頻繁に見受けられる点です。
このような状況下においては、もはやオーガニック検索やリスティング広告といった流入経路だけでインプレッションを獲得することは難しくなっており、UGCによる認知度拡大や流入増加といったマーケティング施策に乗りだす企業が増えているのです。
UGCを企業のマーケティングで使うには?
UGCを企業のマーケティング活動に利用できる背景としては、
消費者がコンバージョン(商品の購入など)に至るまでの行動が“ZMOT”に変化したためと言われています。
ZMOTとは2010年にGoogleが提唱した新しいマーケティングモデルのことです。
スマートフォンの普及により、消費者はモバイル端末で「いつでもどこでもネットにつながっている状態」にあるため、
日常生活の中に検索行動が浸透するようになりました。
つまり、自分の行きたい場所や欲しい商品などを、いつでもどこでも調べることができるようになったのです。
これは商品やサービスを利用する際の購入モデルにも当てはまります。
参考:コンテンツマーケティングとは? Core Marketing Blog
以前はTVや雑誌などで、商品の存在を知り、実際に店舗・Webサイトを訪問してから検討・購入に至りましたが、
現在のZMOTモデルでは、商品を購入する前に下調べを行い、ある程度意思を固めてから店舗・Webサイトに訪問し、購入するという流れに変化したのです。
その際ユーザーが信頼するのが、口コミやレビューサイトです。
一般的な企業のPRよりも、実際に使用したユーザーの感想が購入の決め手になっていることが多いため、
企業側は商品やサービスのキャンペーンやPR、ユーザーとのコミュニケーションに使うことができるのです。
UGCを構築するには?
実際にUGCを構築していく際には、下記の2点が重要となります。
①ユーザーが興味を持つテーマを見つける
UGCを運用するといっても、そもそもユーザーから共感や興味関心を得られるテーマでないと、投稿はしてくれません。
そのためには、まず過去に制作されているUGCを分析し、
「どんなテーマに対して、どんな投稿がされているか」投稿のきっかけを探すことが重要です。
②キャンペーンやイベントの準備
ユーザーがコンテンツを作りたくなる環境を提供することも大事です。
例えば、特定のテーマに沿って投稿を募集するキュレーション型や、特定のネタをお題にして、
ランク付け・優勝者を決めるキャンペーン・コンテスト型が挙げられます。
この際にただキャンペーンを展開するだけではなく、投稿のメリットとしてインセンティブの設計も必要となります。
商品券や新商品のプレゼントなど、自社サービスのペルソナのモチベーションを刺激するようなインセンティブが投稿を促します。
UGCのリスク
このように企業のマーケティング活動にも利用できるUGCですが、
一般の消費者が制作したコンテンツであるため、以下の点に注意が必要です。
1つ目はコンテンツの質です。プロではなく、一般のユーザーが作ったものなので、様々なクオリティのものが混ざっています。
2つ目はTV番組や小説の二次創作など著作権に違反するコンテンツも存在することがあり得ます。
まとめ
マーケティング活動がメインだとしても、サイトを運営する以上はユーザーにとって質の高いコンテンツを提供することが企業としての義務です。
一定のレベルの質を保つために、日頃からサイト内のパトロールやチェック活動を怠らないことが、ユーザーの集客にもつながっていくのではないでしょうか。