コンテンツマーケティングとは何か!?
新しいマーケティング手法であるコンテンツマーケティングに関して説明したいと思います。
コンバージョンに至るまでの消費者行動の変化
コンテンツマーケティングとは見込顧客が知りたいと思うことに対してコンテンツを用意し、接点を作るマーケティング手法です。
昨今、スマートフォンの普及によりインターネット人口は爆発的に伸び、より多くのユーザーがネットで情報に触れる機会が増加しました。
又、スマートフォン等により常時検索出来る環境をユーザー個々が手に入れた為、疑問や不安などに対して検索して解決する事がより一般化しました。(当たり前のように情報をネットで探す)
又、情報過多とも呼ばれる現在、ユーザーを購入などコンバージョンに至るキッカケは様々な箇所に存在します。
上記例はツアーの見込顧客検索フローの例です。今までのインバウンドマーケティングの場合、最終的にコンバージョンに至るキーワード(上記例の場合は「モルディブ 旅行」や「モルディブ ツアー」)のみを集客し、直接コンバージョンに寄与しないキーワードは重要視されてきませんでした。
リスティング広告の場合は直接コンバージョンのCPAが重視されていましたが、2010年ころから普及し始めたスマートフォン等の要因もあり、より顧客が購入や申込に至るまでに事前に情報を自ら集取する様になってきた為、直接コンバージョンキーワードのみを重視するマーケティングでは優良見込顧客層を取り逃してしまう可能性があると考えられるようになりました。
↑Googleによって提唱された概念「ZMOTM」
ZMOTは「Zero Moment of Truth」という消費者行動の概念です。
以前はテレビ広告や雑誌、バナー広告などによりある程度ユーザーは商品の存在を知り、実際に店舗やWebサイトに訪問し、再度検討してから商品購入するという流れでした。
しかし現在は、ZMOTの「Zero」とあるように、購入する以前の「ゼロ」という状態でユーザーは自ら情報収集を行い、ある程度意志を固めてからサイトに訪問しコンバージョンしているという概念です。検索データを持つGoogleが長年のユーザー行動の変化を踏まえて提唱したマーケティング概念です。
上記図の様に、昨今の顧客ユーザーは公式サイトに訪問する前に商品購入の意思決定をしている為、訪問後の売り込みでは以前のようにユーザーの購入を促進したり、転換させたりする事が難しい状況になってきました。
コンテンツを提供し続け、顧客との接点を常に持つ
ZMOTに代表されるように、ここ数年で見込顧客となるユーザーの行動は大きく変化しました。この変化がある中で、今までと同じようにバナー広告や指名(ブランド名)キーワードのみをリスティング広告で出稿するだけでは顧客数の最大化を図る事は出来ません。
そこで出てきたのがコンテンツマーケティングです。
コンテンツマーケティングとは、見込顧客な成り得る可能性が高いユーザーの悩みや問題を予測し、これらユーザーの悩みや問題に対するコンテンツを提供する事で顧客となるユーザーにいち早く接触するマーケティング手法です。
見込顧客がZMOTの段階で情報収集する内容を想定・分析し、コンテンツを作成する事により、検索エンジンやソーシャルメディアなどを通して競合他社よりもいち早く見込顧客と接触します。
コンテンツ内容や訴求によってはZMOTの段階でコンバージョン誘導する事も可能です。又、ZMOT段階でブランドや商品・サービスの存在を見込顧客に知ってもらう事により、後々のFirst Moment of Truthの段階で「候補に挙がる」可能性を高めます。
なぜコンテンツを作るのか?リスティング集客ではダメ?
ZMOTの段階にいる潜在顧客層を獲得するのが目的なのであれば、「コンテンツ作成」だけが方法ではありません。
キーワード単位で広告出稿が可能なリスティング広告を利用し、潜在顧客を集客する事も十分可能です。
では、なぜコンテンツの用意が重要なのでしょうか。
費用対効果
御存知の通り、リスティング広告はクリック毎に課金が発生します。
すでに意志が堅いユーザーのみをリスティング広告で集客した場合、広告費に対する転換効率は非常に高く、安価なコストで利益を獲得出来る非常に優秀な集客方法でしょう。
しかし、ZMOTの段階ではユーザーの意志が不明確な段階であり、それらユーザーをお金をかけて集客しても必ずしもコンバージョンに至ってくれる可能性はどうしても低くなります。
また、ZMOTで情報収集しているユーザーは何度も検索し、何度もサイトを訪れる可能性があります。この様な動きを見せる段階でクリック型課金のリスティング広告を用いると費用対効果は当然悪化し、採算が合わなくなります。
コンテンツマーケティングも当然「コスト」はかかります。制作を社内に依頼した場合でも外注した場合でも制作費は発生します。
コスト面でのリスティング広告との違いはそのコストが発生するタイミングにあります。コンテンツマーケティングの場合、記事やホワイトペーパー、動画などの1コンテンツを作成する為の費用はかかりますが、作り終えてしまえばそれ以上コストがかかることはありません。
この為、短期的には集客単価はリスティング広告よりも高い計算になりますが、1度きりしかコストが発生しない為、期間が経過し総集客数が伸びれば伸びるほど集客単価は下がります。
又、公開したコンテンツは基本サイト内に「資産」として残る為、半永続的に集客してくれます。広告は予算が尽きると掲載が停止してしまう為、予算に応じて集客数が大きく変動し、結果的に安定的な集客を図る事が出来ません。
以上の理由もあり、見込顧客・潜在顧客の集客に於いてはリスティング広告よりもコンテンツマーケティングの方がより費用対効果がある訳です。
しかしながら、コンテンツマーケティングが力を発揮する所もあれば、不得意な領域もあります。
継続する事による集客単価の低減化と、見込顧客との早期接触による顧客の創造はコンテンツマーケティングの得意な箇所ですが、コンバージョンキーワード等多くの競合他社が参入し、SEOの難易度が高いキーワードは得意としません。
収益性が高いキーワードは多くのWebサイトがSEO対策を施工し、多数のリンクやサイト内ページを用いて1キーワードの順位上昇を狙ってきます。又、リスティング広告の出稿数も非常に多いため、たとえ検索結果の1ページ目にランクインした場合でも多くの競合他社から自社Webサイトを見込顧客に選んでもらえる可能性は低くなります。
Webマーケティングの目的は、世の中に存在する様々なWebマーケティング手法を用いて売上・収益を最大化する事にあります。各手法の強み弱みを把握し、適切な箇所に予算投下を行うべきです。
検索エンジンマーケティングの場合、競合性が高く、タイトル文やディスクリプション文、スニペット、サイトリンク等の情報・装飾を最大限利用しないと集客が出来ないキーワードはリスティング広告を有効利用するべきと考えます。
リスティング広告の場合、予算がある限り掲載できるというメリットがあります。又、SEOとは異なり広告掲載順位は入札単価と品質スコア(CTR等で決定される評価値)で決定される為、検索エンジンを考慮したタイトル文やディスクリプションは一切不要となり、人間(見込顧客)のみに絞って訴求した文章を記載する事が出来ます。これは競合他社が非常に多いキーワードは1位であってもユーザーの目に留まらない場合がある為、装飾等を利用して訴求する事が出来るのはリスティング広告の強みと言えるでしょう。
以上の様にどの場所・領域でどの手法を利用すれば勝てるのか考慮し適切な箇所に適切な予算投下を行い、最終的な目的である利益の拡大を図っていく事が出来ます。
コンテンツマーケティングの種類
一言に「コンテンツマーケティング」と言っても様々な種類や手法があります。複数の種類から代表的な例を下記にて挙げていきたいと思います。
ホワイトペーパー型
「ホワイトペーパー」とは詳細な調査結果や導入事例などを説明・まとめたコンテンツの事を指します。
調査・研究結果や、ノウハウ・事例などを詳細にまとめたコンテンツである為、読者にとって非常に有益で価値の高い情報であるケースが多いです。又、情報性の高さからソーシャルメディアで共有されるケースが多いのも特徴の一つです。
ホワイトペーパーで取り扱う内容は専門性が高く、アウトプットを出すには多くの調査、研究、ノウハウを必要とするケースが大半です。この為、独自性が高く、ユーザー利益が多いホワイトペーパーは訴求力がとても強いコンテンツでもあります。
小テーマ毎の記事投稿型
コンバージョンに至るまでに発生する情報検索意欲に対応できるコンテンツを作る手法です。
見込顧客が抱える不安や悩みなどZMOTの段階で発生すると想定される検索キーワードを抽出し、コンテンツを作る事で潜在顧客層と接触する土台をつくります。
各記事の内容は非常に明確(1主軸テーマのみに関して書かれている)であり、1記事で完結するケースが大半です。ホワイトペーパーの様な情報量・専門性は高く無いものの、都度潜在顧客層が抱えている問題に対して解決を記載したコンテンツを提供しています。
ページ単体の顧客接触数は少ないものの、各記事のテーマは非常に明確である事から1記事完結型であり、記事作成にかかるコスト(時間、調査)がホワイトペーパーと比較し安価である事が特徴です。
以上の様に小さい集客口を沢山作り、潜在顧客層向けの網を張る形で多数の顧客と接触するコンテンツ提供提供方法です。
その他の提供方法
動画(動画共有サイト)
今やYoutubeはGoogleと同様に「検索サイト」として機能し始めています。多くのユーザーが情報を調べる時、既存の検索サイトではなく、Youtubeなどでレビューを探したり、著名人のコメントを探したりする傾向にあります。
ここでも同じく、潜在顧客層が検索する情報収集欲求に応える動画コンテンツを提供し、ブランドアウェアネスの向上を図ります。
↑Moz.comは毎週金曜日にウェビナーコンテンツを公開している
↑Youtubeの検索ボリューム:Mozの集客KW「SEO」は月5万以上検索されている
インフォグラフィック
情報を視覚化し、分かりやすく伝えるコンテンツの事で、商品や会社などの歴史や開発秘話など時系列系の情報が良くインフォグラフィックにて紹介されています。
インフォグラフィックの良い所は、難しい内容や、やや伝える情報の量が多い内容を端的に視覚的に分かりやすく伝える方法として用いられます。
ビジュアルの良さと新しい発見などもあり、良くソーシャルなどで共有されるケースを目にすると思います。
コンテンツ投稿型やホワイトペーパーの様に検索エンジン経由からの接触よりかは、ソーシャルや他サイトでの紹介(リファラー)などによって顧客と接点を持つ方法でもあります。
その他にもポッドキャストやSlideShareなど様々なコンテンツ提供方法が存在します。対象となる顧客像にマッチした提供方法をPDCAを繰り返しながら探し出してい形でしょう。
まとめ
今回はコンテンツマーケティングが生まれた背景と、コンテンツ提供方法の一部を紹介しました。
インターネットマーケティング自体は10年以上歴史があり、今や多くの企業が実践している販促活動ですが、インターネットマーケティングとりわけコンテンツマーケティング自体はまだまだこれから発展、浸透していくマーケティングです。
しかし過去企業が行ってきた販促活動を見ると、今提唱されている「コンテンツマーケティング」と非常に類似した販促は結構存在したりします。しかし、ネットとスマホの2つの革命があり、より情報検索や収集が身近になったおかげで顧客の情報収集範囲は一気に拡大し、企業もそれに合わせて顧客接点を持たなければならない時代になったのだと思います。
既存のWebマーケティングの様に実施直後に効果が出にくいのがコンテンツマーケティングのデメリットではありますが、ユーザー・消費社行動が大きく変化している今、コンテンツマーケティングの重要性が認知され始めているのかもしれません。
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インターネットの出現に始まり、スマートフォンデバイスの登場、人々の情報消化の方法が変化などによりマーケティングそのものが大きく変化しています。
最近の若い方はテレビを殆ど見ようとはせず、もっぱら情報収集はYoutubeやLine、Webサイトとなっています。消費活動が旺盛な若年層に対して消費やサービスを知ってもらうキッカケがTVではそもそも機能しなくなっていると言っても過言ではありません。
↑テレビがオワコン化(=終わったコンテンツ)しているのを背景に架空の製作会社を舞台にテレビ番組の制作裏側を描いている
オワコンTV公式サイト
この5年間の内で大きく消費者動向が変化し、マーケティングもそれに合わせて変化してきました。
その一つの手法として出てきたのがインバウンドマーケティングです。インバウンドマーケティングとは「In」とあるように、問題や悩み、不安、疑問に関して知りたいという欲求を持った見込顧客が検索などを通じて企業と接触するマーケティングの事です。
パソコンやスマートフォンなどにより人々は常に「検索」する事が出来るようになり、調べる事が当たり前の時代になりました。この環境の変化により、見込顧客と成り得る多くのネットユーザーが検索で情報を収集するようになりました。
いままでは、必要とされているか否かかかわらず企業側からほぼ一方的に商品やサービスを売り込むのが当たり前の時代が、インターネットにより顧客側から調べる様になり、またテレビや雑誌などの顧客接点が徐々に力を失いつつ有ります。