(この記事で紹介している検索アルゴリズム変更監視ツール「AlgoWatch」は、現在keywordmap(キーワードマップ)のアルゴリズム分析機能「SERPs変動観測」に移行しました。ご了承ください。)
検索エンジンの順位変動やアルゴリズム変更をモニタリングするツール(旧SERPsモニター)をリニューアルしました。
以前のSERPsモニターより監視内容や評価指標の算出方法を見直した事により、変動計測値の精度が高まりました。
今回は、検索エンジンアルゴリズム監視ツールであるAlgoWatchの機能を紹介します。
AlgoWatchで出来る事
今までのSERPsモニターは検索エンジン上の順位変動値のみ閲覧できましたが、今回リニューアルしたAlgoWatchは特定のWebサイトの順位変動やキーワードの順位入れ替え、HTTPS化率など多くのデータを閲覧できます。
検索エンジン上の順位変動推移
AlgoWatchのTOPページ(→keywordmapのSERPs変動観測へ移行)に表示されるグラフは、検索エンジン上の1位~10位の入れ替わり順位の推移です。
大規模なアルゴリズムの変更が無い平常時は、1位~10位間の順位変動は殆ど見られません。
平常時もアルゴリズムによって順位変動しますが、キーワード単位やサイト単位に限った事であり、アルゴリズム変更(リリース)時によって発生する順位変動はキーワードに関わらず広範囲で見られます。
TOPページに表示される検索順位変動推移は、様々なテーマのキーワードの順位変動値を総計した値が表示されます。
官公庁名の指名ワードなど殆ど順位変動が見られないキーワードから、芸能人名の様な検索回数が多くSERPsにニュースや画像、動画、アンサーボックス等多くの情報が表示されるキーワード、「キャッシング」の様なSEO競合が高いキーワードなど様々なキーワードを観測しています。
これにより、特定キーワード上のみの順位変動ではなく、検索エンジン上全体で発生している順位変動を監視できます。
平常時は1位~2位の間で変動しますが、新アルゴリズムのリリースなど検索順位決定アルゴリズムが大きく変更した際は、3位以上の順位変動が発生します。4位以上の変動が発生している場合、極めて大きな変動がキーワードテーマやカテゴリに関わらず発生している事になります。
特定Webサイト(ドメイン)の順位変動推移
特定のWebサイトの順位変動を、より詳細に閲覧できます。
TOPページの入力枠に調査したいWebサイトのURLをhttp://から入力します。
AlgoWatchのデータベース内に入力したドメインの情報がある場合、ドメインの検索順位推移や獲得キーワード、SEO上の競合サイトを確認できます。
順位レンジ毎の推移
上の図は、ドメイン「ja.wikipedia.org」がヒットするキーワードを各順位範囲毎に積み上げ式グラフで表示したものです。
区分となる順位レンジは、1位、2位~5位、6位~10位、11位~20位、21位~30位の5つの範囲で分けています。
実際に順位変動が発生した場合、どの順位範囲でキーワード個数が増減したかで、発生した変動が与える流入影響を推測できます。
■Visibility値の算出方法
今回、SEO Visibility値の計測方法を刷新しました。
以前のSERPsモニターでは、1位のキーワードに30ポイント、30位のキーワードに0ポイントを付与する形でVisibility値を算出しており、順位に重みを置いて算出していました。
しかし、この算出方法ではSEOの難易度やトラフィック獲得力を全く考慮せず評価する事になり、殆ど自然検索流入を獲得していないWebサイトでも多数のスモールワードで上位順位を獲得する事で高いVisibility値が付与されてしまう欠点がありました。
これでは単なる上位順位獲得数を測る指標となりかねない為、今回のリニューアルに合わせて流入影響度も考慮したVisibility値の算出方法を採用しました。
流入数に影響力があるキーワード程、上位順位を獲得した時のVisibility値が高く、流入影響力が小さいワードほど上位順位を獲得してもVisibility値は低い値が算出されます。
上のグラフでは、順位範囲のヒット個数(積み上げ式グラフ)には殆ど変動が見られないにも関わらず、線グラフのSEO Visibility値は不安定な推移を見せています。
これは、あるビッグワードの順位が毎日変動している為です。ビッグワードの順位が1位で獲得する流入数と3位で獲得する流入数には大きな差があります。サイト全体のキーワード順位推移に大きな変動は見られないものの、1ワードで流入影響力が強いキーワードの順位が安定していない事を表しています。
ビッグワードも安定して推移している場合、順位範囲のヒット個数を示す積み上げ式グラフと合わせてVisibility値を示す線グラフも安定している事が分かります。
以上の様に、検索順位毎のヒット個数と流入影響力を表すSEO Visibility値の2つの値を合わせて見る事で各Webサイトの順位変動状況を一目で把握する事が出来ます。
キーワード
指定したWebサイトが獲得している上位順位キーワードの一部を閲覧できます。
実際のキーワードと当日の検索順位、ランディング先URLが表示されます。ここで表示されるキーワードは数百~数千のキーワードの内、ごく一部のみが表示されますので、飽くまでも参考としてご覧ください。
前日と順位変動が合ったキーワードの場合、矢印で上下変動シグナルをキーワード毎に表示します。
過去の順位推移を確認する場合は、[rank]をクリックします。
60日前から検索順位変動グラフを閲覧できます。
SEO(自然検索エンジン上)の競合サイト
指定したドメインとSEO上の競合サイトになるドメインを表示します。
バブルチャートには、SEO Visibility値とヒットキーワード個数の2軸で競合ドメインをマッピングしています。
X軸は指定したドメインと同じキーワードで何個ヒットしているかを示します。キーワード個数が多いドメイン(サイト)程、SEOで対策しているキーワードの類似が高い形となります。
Y軸はSEO Visibility値を示します。対策しているキーワードの中でより多くの流入数を獲得できるキーワードを上位順位で獲得しているドメイン(サイト)程、SEO Visibility値も高まります。
●対策しているキーワードも順位レンジも略同じ場合
上図は賃貸サイトHomes.co.jpの競合バブルチャートです。
対策しているワードも獲得順位状況も極めて近いsuumo.jpは、バブルチャートの右上に表示されます。
●直接的な競合サイトがいない場合
上は求人アグリゲーションサイトIndeedのSEO競合バブルチャートです。
Townworkが同一キーワードヒット個数が同一に近いですが、SEO Visibility値が低い傾向にあります。これは、indeedが上位順位を獲得するキーワードでタウンワークも30位以内にヒットする事が多いが、流入数に影響を与える程の上位表示が出来ていない事を示します。
バブルチャートの右下に位置するhellowork.careersは、上位順位を獲得しているものの、キーワードのカバレッジ(対策キーワード数)に差がある事が分かります。
特定キーワードの順位変動履歴
一部のキーワードで30位以内にヒットする全てのURLの順位推移を確認できます。これにより、検索エンジン上で順位変動が発生した場合、どの様なキーワード(クエリータイプ)で順位変動が発生しているのがを確認できます。
上の推移グラフは、「京都 賃貸」のSERPs推移です。1位~20位の順位レンジで殆ど変動が無い事が確認できます。
2015年1月2日の「渋谷」のSERPsが突然変動しており、Yahoo!ニュースやNHKなどが急上昇しています。
これは、渋谷で行われた年越しのカウントダウンで、逮捕者が出た事を伝えるニュースが急に増加した為、「渋谷」のSERPsに突然ニュースサイトが上位表示された為と考えられます。
閲覧できるキーワードには、地域属性を含むワードからベニスアップデートの影響を受けるキーワード、SEO難易度が高いワード、大手サイトが占有するキーワード、新興コンテンツメディアが上位順位を獲得しているキーワードなど、SEOの順位変動を分析する上で複数の評価パターンから調査・分析できるキーワードを選定しております。
SERPs上のHTTPS率
飽くまでも一つのシグナルではありますが、SSL化の推移を監視する目的で10位以内のSSL率の推移を表示しています。
最後に
2015年に「RankBrain」という人工知能を備えたシステムが稼働し、機械が独自に学習し順位決定を補佐する機能が現在のアルゴリズムに備わっています。
この為、新アルゴリズムリリース時に順位が上下変動したサイトを分析する事で、ある程度新しい評価軸を把握する事が以前はできましたが、RankBrainの導入やユーザービヘイビアを考慮した順位決定がなされる今、アルゴリズムを理解する事が極めて困難になりつつあります。
ユーザーの為になるコンテンツの提供が結果的に順位上昇にも繋がる事は以前からも言われてきましたが、今後より一層その傾向が加速するものだと思われます。