2017年、Googleの検索結果は荒れに荒れています。SEO上、この動きにいち早く対応することは非常に重要なことは言うまでもありません。モバイルファーストインデックスやランクブレインもありますし、SERPsの変動・Googleアルゴリズム変動からは毎日目が離せません。
そんな激動の2017年SERPs変動を観察し、原因を徹底調査、結果をレポートでまとめました!
※当記事で紹介している内容は、弊社独自の見解による物です。情報の正確性、有用性などについて一切の保証を与えるものではありません。 あくまでも参考としてご覧ください。
【目次】
1. Googleのアルゴリズムアップデート
2. 2017年1Q、Googleの検索結果順位変動が頻発
3. Googleのアップデートはアルゴリズムの更新ではない?
4. 2/7~2/12のSERPs変動
5. フレッドアップデートに於ける下落
6. 4/17のSERPs変動
7. 2017年のSERPs変動への見解
Googleのアルゴリズムアップデート
●Googleのアップデート
Googleはユーザーにとって利便性が高い検索結果を提供するため、ランキングアルゴリズムアップデートを繰り返してきました。
アップデートの中身やスパンは時期によって異なり、Googleが考えるタイミングで、その時勢に合った内容のアップデートを行っているように思います。
近年、Googleが行ったアップデートとして、次の3点が挙げられます。
・パンダアップデート
・ペンギンアップデート
・ヴェニスアップデート
上記のような大きなアップデート時には、SERPsが非常に大きく変動し、時にはサイト・ページ構成、コンテンツの中身を大きく変える必要があります。
そのため、SERPsを監視し、Googleのランキングアルゴリズム更新を一早く察知することは検索結果から集客する上で注力すべき点でしょう。
●SERPs変動チェックツール
では、SERPsの変動、Googleのアルゴリズム更新をどのように察知すればよいのでしょうか?
SERPsの変動を監視するツールにAlgoWatchがあります。
AlgoWatchを見ることで、過去2カ月のSERPsの変動の幅を把握することが可能です。
AlgoWatchでは、前日と本日の順位差を毎日自動的に測定することで、SERPs変動の激しさを毎日ウォッチしています。棒グラフでSERPs変動の大きさが表現されており、棒が長い程変動が大きいことを表します。
変動幅の大きさは色でも表現されています。緑の棒グラフはSERPsは通常通りの変動幅であることを示しています。通常よりも大きな変動が生じている場合、棒グラフが黄色・赤で表現されます。そのため、AlgoWatch.jpにアクセスし、棒グラフが黄色・赤になっていたら要注意というわけです。
2017年1Q、Googleの検索結果順位変動が頻発
2017年の1月~4月の間、数多くの激しいSERPs変動が生じました。
AlgoWatch上では、大きなSERPs変動が毎月観測されており、2017年1月~4月の間に生じた激しいSERPs変動は8回に及びます。
Googleは月に1回以上の頻度でアルゴリズムの更新を行っていたことになります。
これは、過去のGoogleのアップデート頻度を考慮すると、非常に数が多く、短いスパンで更新を行っていると言えます。
●2017年1月のGoogleアルゴリズム、SERPs変動
2017年最初のSERPs変動は1月に発生しました。
1月9日~25日の間、激しくSERPsが変動しています。
●2017年2月のGoogleアルゴリズム、SERPs変動
2月はSERPsの変動が3回もありました。
・2/2~2/3の日本限定アップデート
2月2日~2月3日に大きなSERPs変動が生じています。
これは、GoogleJapanが日本限定で実施したアップデートによるものと思われます。
GoogleJapanによれば、SEOだけを重視した、品質の低いコンテンツを生産するサイトの順位を下げる措置をとったようです。
今回のアップデートにより、ユーザーに有用で信頼できる情報を提供することよりも、検索結果のより上位に自ページを表示させることに主眼を置く、品質の低いサイトの順位が下がります。その結果、オリジナルで有用なコンテンツを持つ高品質なサイトが、より上位に表示されるようになります。
参考:日本語検索の品質向上にむけて
・2/7のアップデート
日本限定アップデートのわずか4日後、今度はグローバルなSERPs変動が生じました。
2月7日~2月12日の間、大きなSERPs変動が発生しています。
・2/21~2/23のアップデート
あまり話題にでない、小さなSERPs変動のようですが、2月21日~2月23日の間にも変動が観測されています。
●2017年3月のGoogleアルゴリズム、SERPs変動
3月にはフレッドアップデートと称されたものを含み、2回のアップデートが観測されています。
・フレッドアップデート(仮)
3月8日~3月20日の間に、大きなSERPs変動が生じています。いわゆる、フレッドアップデートの影響であると思います。
・3/31~4/5
3月の終わりから4月の初めにかけて、小規模なSERPs変動が発生しています。
●2017年4月のGoogleアルゴリズム、SERPs変動
直近、4月17日にもSERPs変動が観測され、4カ月間で8回のSERPs変動・ランキングアルゴリズムのアップデートが生じたことになります。
2017年に生じた8回のアップデートの内、世界的に騒がれた3つのアップデートをピックアップ、各変動においてSERPs上の影響を調査しました。
その結果、2017年のSERPs変動、Googleのランキングアルゴリズムの更新に関して、一定の傾向が認められることをつかむことができました!
調査対象アップデート
・2/7
・3/8~3/20
・4/17
Googleのアップデートはアルゴリズムの更新ではない?
2017年頻発するSERPs変動の影響を調査していくなかで、1つの仮説にたどり着きました。それは、2017年のSERPs変動はGoogleによるランキングアルゴリズムの変更ではないのではないかという疑念です。
どういうことかというと、Googleが行っていることは、ランキングアルゴリズムに対する大きな変更ではなく、検索結果上におけるページ・サイト評価の調整であり、Googleのガイドラインから外れるページ・サイトの評価を下げ、検索結果のチューニングを行っているのではないかいうことです。
この仮説に至ったのは、5回のSERPs変動の影響を調査した結果、どの変動においても同様の傾向が認められたためです。
それぞれの月に発生したSERPs変動の影響をまとめると次のようになります。
・2月
他ドメインとの間で重複するコンテンツを保有するドメインのページが順位下落
・3月
他ドメインとの間で重複するコンテンツを保有するドメインのページの順位下落
低品質なバックリンクを持つドメインの順位下落
・4月
サイト内外で重複するコンテンツを保有するドメインの順位下落
それぞれのSERPs変動において、同様の傾向が見られます。ランキングアルゴリズム自体に変更を加えたのであれば、毎回、重複するコンテンツを保有するドメインの順位が下落するのではなく、異なる種類の影響が生じているはずです。
このようなSERPsの変動の仕方の背景には、Googleがランキングの決定に機械学習・人工知能を利用するようになったことが関連しているのかもしれません。
次から、それぞれのSERPs変動の影響について説明していきます。
2/7~2/12のSERPs変動
●大きなSERPs変動が観測
まずは2月のSERPS変動についてです。
2月7日~2月12日の間に大きなSERPs変動が生じました。
●影響があったドメイン
SERPs変動によって影響があったドメインを抽出し、好影響を受けたドメインとマイナスの影響を受けたドメインを比較し、どのような変動であったのかを導き出しました。
調査手順は次の通り
・SERPsの情報を蓄積している、AlgoWatchのデータを取得
・変動前(2/6)の各ドメインのヒットKW数を計上
・変動後(2/12)の各ドメインのヒットKW数を計上
・変動前後でヒットKW数に大きな差が生じたドメインを抽出
●SERPs変動の特徴
上昇ドメインと下落ドメインは下記の通り。
・上昇ドメイン
ライフスタイル系キュレーションサイトのkinarino.jp、画像共有SNSのwww.pixiv.netなどがあります。
特徴としては、オリジナリティが高いページを保有するドメインであると言えます。
・下落ドメイン
News.livedoor.jp、oshiete.goo.ne.jp等が挙げられます。
他のサイトとのコンテンツ重複が見られたニュースメディアサイトの評価が下がったと言えます。
●下落ドメインの事例
下落ドメインの傾向を調査したところ、他サイトとのコンテンツの重複が見られました。
このSERPs変動によって、教えてGooとライブドアニュースのヒットKW数が減少しています。
2/6から2/12にかけて、順位が下落したページを特定、他サイトとの間における重複率をチェックしたところ、対象ページのほとんどで重複が認められました。
当時順位下落したコンテンツの一例を紹介します。
ライブドアニュースの下記URLの記事ページが2/6時点で10位だったのに対し、2/12時点では21位まで下落、1週間足らずの間に検索結果順位が11位も下落しました。
http://news.livedoor.com/article/detail/9064181/
コピーチェックツールでページ内容の重複率を調査した結果を表に示しています。
各重複URLにおける調査対象ページとの本文テキストの重複率、連続文での重複文字数を示しています。
例で挙げたページは外部サイトが持つ15のページとの間で、本文テキストの30%以上が重複関係にありました。
上記の傾向は教えてGooでも見られ、2/7~2/12のSERPs変動は、他ドメインとの間で内容が重複関係にあるページの評価と順位が下落したことによると考えられます。
フレッドアップデートに於ける下落
●3/8~3/19のSERPs変動
AlgoWatchにおいて、3/8~3/19の間で大きなSERPs変動を観測しています。
・通称フレッドアップデート
この変動が所謂フレッドアップデートに当たる変動です。
参考:フレッドアップデートの影響を受けたWebサイトを調査
フレッドアップデートでは、大量のリンクを同ドメインより獲得しているサイトの順位低下が認められました。
例えば、リンク操作を実施するサイトの順位低下が報告されています。また、バックリンク数の急激な増加と共に、順位が下落した例もありました。
参考:Google Fred 🐟 Update: Big Google Algorithm Update Links Related
2/7のSERPs変動時と同様に、今回もAlgoWatchのデータに接続し、影響を受けたドメインを調査しました。変動前後における各ドメインのヒットKW数の差を比較し、ヒットKW数が大きく増加したドメイン、大きく減少したドメインを抽出しました。
フレッドアップデートで影響を受けたドメインは下記の通り。
●SERPs変動の特徴
・上昇ドメイン
フレッドアップデート時に好影響を受けたドメインは、多くのドメインからバランスよく外部リンクを獲得しているドメインでした。
逆に、獲得外部リンクのほとんどを複数のドメインで占有しているドメインがマイナスの影響を受けている傾向にありました。
すなわち、多くのドメインから外部リンクを獲得し、占有する外部リンク元が存在しないサイトが好影響を受けたと言えます。
上記に当てはまるドメインとして、例えば、pinky-media.jpが挙げられます。
piky-media.jpのバックリンクはyahoo.co.jpから最も多くバックリンクを得ているものの、占有率は1割程度にとどまっており、リンク元ごとのバックリンク数は分散しています。
・下落ドメイン
逆に、マイナスの影響を受けたのは、他サイトとコンテンツが重複関係にあり、同一ドメインから大量のリンクを収集しているサイトでした。
下落したドメインには、j-lyric.net、gathery.recruit-lifestyle.co.jpがあります。
・結論
調査の結果、フレッドアップデートでは、テキストコンテンツのオリジナリティがないページの評価が下落し、同一ドメインから大量のリンクを収集しているサイトに対してペナルティが課されたと考えられます。
●下落ドメイン
弊社独自の見解にはなりますが、フレッドアップデートの影響を大きく受けたドメインの例として、j-lyric.netを挙げます。
歌詞サイトのため当たり前ですが、j-lyric.netのコンテンツは数多くの外部サイトとの間で重複しています。
例えば、「精霊流し」で13位に位置していたページが31位以下に順位が下落、「ロマンチック」で13位を獲得していたコンテンツが、SERPs変動後は31位以下に転落しています。
・結論
以上より、フレッドアップデートで下落したドメインは、重複コンテンツを保有し、特定のサイトに於いては低品質なバックリンクを集めるサイトであると考えられます。これより、フレッドアップデートによって、テキストコンテンツの重複に関する評価が強化され、さらに不自然な形でバックリンクを集めるドメインに対して、低評価が下されたと想定されます。
4/17のSERPs変動
●大きなSERPs変動が観測
AlgoWatchを確認すると、4/17、大きなSERPs変動が観測されました。
SERPsの変動を早く察知し、Googleのアルゴリズムの状況を把握するため、SERPs変動当日に調査を実施しました。
●影響があったドメイン
調査方法は2月、3月と同様です。AlgoWatchのデータを取得し、変動前後でヒットKW数の差分が大きいドメインを抽出、SERPs変動の影響を受けたドメインを抽出しました。
4/17の変動で影響を受けたドメインは下記の通り。
上昇ドメインには、ファッション系メディアサイトや口コミサイト、大手ポータルサイトなどが含まれ、下落ドメインにはブログサイトや歌詞サイト、IT系メディアサイトなどが含まれています。
●SERPs変動の特徴
4/17のSERPs変動においても、他のサイトとの間でコンテンツの重複が見られたサイトの順位が下落しており、テキストコンテンツのオリジナリティがないページを保有するサイトへの低評価が強化されていると考えられます。
●ヒットKW数が増加しているサイト
ヒットKW数が増加しているサイトとして、ライフスタイル系メディアのfolk、ファッション系メディアのLEEを取り上げます。
●ヒットKW数が減少しているサイト
ヒットKW数が減少しているサイトとしては、ニュース系サイトの日刊大衆を取り上げます。
●重複ページ数の比較
上昇ドメインにおける順位上昇・維持ページ、下落ドメインにおける順位下落ページの重複率、重複関係にある外部ドメインのページ数を計測し、1ページにおける重複の度合を示す、重複係数(重複コンテンツ数×重複率)を算出しました。
例えば、ページAがコピーチェックの結果、他の5つのページと重複関係にあり、4つのページとの重複率の平均が50%だったとします。その場合、重複係数は50%(実数では0.5)×5ページで2.5となります。
上昇ドメイン、下落ドメインの重複コンテンツの状況を比較すると、上昇ドメイン、下落ドメインの両者で重複コンテンツが認められるものの、重複係数の値は上昇ドメインが低く、下落ドメインが高い傾向にありました。これより、重複関係にあるコンテンツの有無のみではなく、1ページ当たりの重複コンテンツ数、重複率の大きさの両者が下落に影響したと想定されます。
フレッドアップデートの時のように、バックリンクの影響があるか否か、3月の変動時と同様の調査を行いましたが、今回はバックリンクと順位変動との間に明確な傾向は認められませんでした。
この結果から、4/17に発生したSERPs変動は、重複の度合が高いページを保有するドメインの評価が下落したものと言えます。
2017年のSERPs変動への見解
2017年に発生したSERPs変動の内、2月、3月、4月のSERPs変動の影響を調査した結果、各変動において同様の傾向が認められました。すなわち、Googleは検索結果上に何度も同様の変更を加えていることがうかがえます。
これより、Googleはランキングアルゴリズムに大きな変更を加えているのではなく、ランキングアルゴリズムの評価軸はそのままに、各ページ・ドメインの評価に対し、同様の調整を繰り返している可能性があると考えられます。これより、2017年のGoogleのSERPs変動の背景として、2つの仮説が挙げられます。
・仮説1
2017年、Googleは時間をかけてページ、ドメインを評価する向上するランキングアルゴリズムを調整し、ページ・ドメインの評価精度を向上させていることが想定されます。
・仮説2
アルゴリズムの更新ではなく、ガイドラインから外れるページを保有するドメインの順位が下落するよう、検索結果上に調整を加えている可能性が考えられます。
●今後のSERPs変動の予測
・今後も同様の調整を繰り返し実施
2017年、同様のSERPs変動を繰り返していることから、Googleは今後も同様の調整を繰り返し実施し、コンテンツの重複等、Googleのガイドラインから外れるコンテンツを保有するサイトの順位下落が想定されます。
つまり、今後はGoogleが評価するコンテンツ=Googleが望ましいと思っている、ユーザーのニーズに応えているコンテンツを作成することがより重要になってくるということですね。
Googleが評価するコンテンツとは、検索クエリに関する情報が網羅的に扱われており、専門的でオリジナルな内容を記載し、情報量が多いコンテンツです。2017年のSERPs変動によって重複コンテンツが相次いで順位下落していることは、Googleがコンテンツの正当性を重視していることの現れでもあるでしょう。例えば、Googleは2017年4月よりオウルプロジェクト(オウルアップデート)を実行に移し、フェイクニュースや暴力的・差別的な表現への対策も強めています。
今後もSERPsの状況Googleが評価するサイト・コンテンツの動きは見逃せませんが、基本的にはGoogleのガイドライン(Googleの指針)に沿ったコンテンツ(特にオリジナルのコンテンツ)を作成することが、SEOにおいて重要であることは変わりないでしょう。
以上、2017年1QのGoogleアルゴリズム変動レポートでした。