7月17日にリリースされたPanda 4.2は、反映されたその日から順位変動が見られる今までのアップデートとは異なり、約10ヶ月間かけて検索順位に反映するパンダアップデートです。
今までの様にGoogle社がリリースしてから数日以内にハッキリとした影響を確認出来たアップデートとは異なり、何時、どれ位の影響力を持って反映されるのかは分からないアップデートの反映の仕方でもありました。
あくまでも私の感覚値ではありますが、ここ最近検索エンジンの順位変動が通常よりも目立つ傾向にあります。今回は直近で発生していると思われる順位変動を調べてみました。
【注意】本ブログ内容はあくまでも個人的な見解による物であり、その情報の情報の正確性、有用性などについて一切の保証を与えるものではありません。
Panda4.2適用前と後で順位変動を比較
今回は、SERPsモニタリングツールβ版を用いて、順位変動を調査してみました。
このSERPsモニタリングツールは、特定のキーワード(数千個)のSERPsを毎日監視し、表示されるドメインやURLの変動を記録するツールです。n数が数千個と少ない為、Googleアルゴリズムの解明するには信ぴょう性は低いですが、参考値としてご覧頂ければと思います。
尚、サーバーのメンテナンスにより、8月25日~9月5日までのデータは取得できませんでしたので、その期間中の変動はトレースできません。
1位~10位のVisibility値で比較
検索順位の比較方法は様々な方法がありますが、今回は各順位に重み付けをして、その重み付けした値の合計で検索順位変動の比較を行いました。
尚、この重み付けした値をここでは「SEO Visibility値」として呼びます。
SEO Visibility値は、1位~30位の順位に割り振っており、計算式は int(31 – 順位) で算出しています。1位が最も多い値30点を獲得し、最下位の30位以降は0点が与えられます。本来は、キーワードのSEO難易度に応じて値を変化させるべきですが、今回は各キーワード難易度は考慮せず、単純に上位順位を多く獲得しているドメイン程、多くの点数を与える形で計算をしています。
尚、今回は流入数(オーガニックトラフィック)に影響する順位範囲である1ページ目(1位~10位)のみを元にVisibility値を算出しています。
比較結果
Visibility値が上昇したドメインの変化量は、下落したドメインの変化量よりやや小さい様に見受けられます。
あくまでも私個人の実感値ですが、順位上昇したサイトはこの1~2ヶ月間で少ないですが、下落したサイトは数多くあるように見受けられます。
それでは、実際に変化量・変化率が目立つドメイン(サイト)の順位変動推移をグラフで見てみましょう。
大手キュレーションサイト
国内大手のまとめ・キュレーションサイトの順位推移です。
非常に緩やかではありますが、全体的に右肩下がりの傾向が見て取れます。
7月15日と9月12日の各順位レンジのヒット数をみると、徐々に1ページ目にヒットしているキーワード個数は減少している様に見えます。
↑約1割程度のキーワードが1ページ目から減少している。
SearchMetricsのVisibilityも見てみましょう。(※SearchMetricsはルートドメインが対象)
上の図は過去6ヶ月間の推移です。5月3日リリースのQuality Updateの影響を受けたと思われる大きな下落が5月に発生し、9月に小さな下落推移が発生している事が分かります。
さらに期間を絞り、直近1ヶ月(2015年8月16日~今日)の推移を見ると、8月後半から9月初めにかけて大きく下落している事が分かります。
5月の変動程ではありませんが、やはり9月初月に順位変動が発生していた様です。
Quality Updateの参考:【2015年5月】新アップデートでGoogle検索順位が大変動!?
女性向けキュレーションサイト
女性向けのコンテンツを中心としたキュレーションサイトの順位推移です。
8月初旬から非常に緩やかに下落しはじめ、8月の下旬から9月のはじめの間で下落が見られます。
直近1ヶ月間のSearchMetrics SEO Visibility値も合わせて確認してみます。
直近1ヶ月の間でも、2度の下落推移が見て取れます。
尚、SearchMetricsの過去6ヶ月間のSEO Visibilityの推移を見ると、5月以降から急激に下落している様に見えます。
↑直近半年間のSEO Visibility推移
しかし、Similarwebのオーガニック流入推移を見ると、SEO Visibility値と流入が連動していない事が分かります。
↑過去6ヶ月間のオーガニック流入:出典SimilarWeb
美容情報を取り扱ったコンテンツメディアサイト
美容情報サイトの順位推移です。こちらのWebサイトは、オリジナルのテキストコンテンツ(記事)をメインとしたコンテンツメディアです。
7月から右肩上がりで上昇していましたが、8月25日~9月6日の間で順位が上昇し、30位以上に表示されるキーワードヒット数も増加しています。
各キーワードでヒットしているランディングページの多くが記事ページであり、上位順位を獲得した後もその検索順位を維持し続けています。
下記はSearchMetricsのSEO Visibility推移です。
ドメイン取得日が2014年5月であり、現在サイトは成長段階にある為、順調に右肩上がりで検索結果表示階数を増加している様に見えます。
SimilarWebのオーガニック流入推移も同様に、右肩上がりで推移しています。
↑SimilarWebオーガニック流入
旅に特化したキュレーションサイト
このWebサイトは、旅に特化したまとめ・キュレーションサイトです。非常に緩やかな上昇推移が見られますが、直近6ヶ月間では極めて早い順位上昇推移を見せているWebサイトです。
掲載コンテンツは、Naverまとめの様な他サイトを抜粋し、まとめるキュレーションタイプであり、オリジナルのテキストコンテンツは少ないように見られます。
しかしながら、記事ページ(/article/配下)での順位ヒットが多く、Googleによる記事ページ群の評価が高い様に見受けられます。
ドメイン取得日は2014年5月とまだ新しいWebサイトですが、今年の5月から急激に検索順位を上げている様です。
↑SearchMetricsの過去6ヶ月の推移
上の図はSimilarWebの自然オーガニック流入の推移ですが、SearchMetricsの上昇推移と同じく、今年の5月から急激にオーガニック検索経由の流入数が増加しています。
今回の変動推移に対する個人的な見解
様々なWebサイトの変動を、SerpsモニターやSearchMetrics、SimilarWebなどを用いて調査してみましたが、8月下旬から9月初め頃にかけて発生している変動の多くは「下落よりの動き」が顕著に現れていた様な気がします。
7月15日~9月12日の間に上昇傾向にあるWebサイトの多くは、なだらかな右肩上がりの推移を継続的・安定的に見せているのに対し、下落傾向にあるWebサイトの多くは、8月上旬から緩やかに下落を初め、8月25日~9月6日までの間に小さく急降下しています。
上昇傾向にあるWebサイトは急激な変動を見せていない事から、今回の変動はコンテンツの品質が「低い」とGoogleが認識したページに対してのみ、一定の処置を課した(適用を段階的に進めた)可能性もあると考える事ができます。
しかしながら、下落傾向にあるWebサイト群と上昇傾向にあるWebサイト群の相関がハッキリと見えない為、どの様なコンテンツ(ページ)やWebサイト(ドメイン)が評価され、逆に評価されなく無ったのかと言うパターンが見えないのも事実です。
PandaUpdateの悪影響を受けてしまったら
もし、PandaUpdateの悪影響を受けてしまったら、どうすれば良いでしょうか。
先ずは、流入数や表示階数が大きく下落してしまった箇所から調査・分析すると良いでしょう。
Googleアナリティクス等のアクセス解析やサーチコンソールの検索アナリティクスから、流入数や表示階数が下落している箇所やページを見つけ出します。
例えば、ページやディレクトリに関わらず、サイト全体が下落しているのであれば、サイト単位のリカバリー施策を立案します。とあるページディレクトリや記事ページ群のみが下落しているのであれば、それらページの品質を見直す事でリカバリーできる方法を模索します。
闇雲にSEO施策を打つのでは無く、Googleが反応した箇所や内容を探しだし、ピンポイントで改善を実施した方がより早い回復を期待できます。
合わせて良質なサイトを作るためのアドバイスも確認し、自社サイトのコンテンツと照らし合わせてみると良いでしょう。
又、コピーコンテンツやサイト内の重複コンテンツの検出には、チェックツールCopyDetectでも可能です。
※SimilarWeb社およびSearchmetrics社から画面キャプチャーの掲載許可を頂いた上で、本ブログに掲載しています。