Webマーケティングに於いてキーワードの分析は顧客を知ることであり、マーケッターにとっては重要な調査タスクでもあります。
キーワード分析の多くが、Adwordsキーワードツールを用いた検索エンジンマーケティングを中心とした物が多いですが、TwitterやFacebook、口コミサイトの普及により、ユーザーの意思や声がといったキーワードをソーシャルからも調べる事ができる様になりました。
今回は、無料で出来る、Twitterを使ったキーワード分析を紹介したいと思います。
検索エンジンとソーシャルメディアの違い
両者の違いは、ユーザーの行動目的にあります。
検索エンジンの場合、ユーザーが何かを知りたい、何かを調べたいという明確な目的が生まれた瞬間、ユーザーの強い意思と共に検索行動が起こります。したがって、購入や申込に対するコンバージョンの確率(CVR)が高いと言われています。
ソーシャルメディアなどの書き込みは、ユーザーが書き込む際、検索の様な明確な意思はありません。思ったこと、感じたことをその場でつぶやいたり書き込んだりするのがソーシャルメディアの役割なのでしょう。
つまり、検索エンジンベースでキーワード分析をした場合、問題や●●したいと言った能動的な意思を持った顧客の分析はできますが、その手前にいる潜在層までは把握できない事もあります。
ユーザーの反応や潜在的な欲求を探すには、Twitterや口コミサイトからのキーワード分析が最適でしょう。
Twitterからキーワード分析をしてみよう!
ツイート文章から、キーワードの抽出と潜在的な要求などを分析してみましょう。
今回は題材としてレンタルオフィスの運営企業のコンテンツマーケティング例に分析してみました。
では、順を追って分析手法を説明したいと思います。
(1)主軸キーワードをTwitterで検索する
ツイッターにアクセスし、右上にある検索窓に主軸キーワードである「レンタルオフィス」を入力します。日本語のツイートだけを検索対象とする場合は、「lang:ja」と合わせて入力します。
(2)出来る限り下にスクロールする
あまりスマートなやり方では無いですが、出来る限り下にスクロールし、多くのツイート文をブラウザ上に表示させます。
インフルエンサーや著名人など特定ユーザーのツイート文だけを対象としたい場合は、TwimeMachineを使うと良いでしょう。
(3)ツイート文をExcelにコピー
ブラウザ上に表示されたツイート文をコピーし、Excelに貼り付けます。
(4)抽出したツイート文を精査
コピーアンドペーストしたツイート文には不要な文字列や隙間などが混じっています。
Excelの並び替えなどを用いて、類似している文章を削除しましょう。
Excelの重複削除機能を使って、リツイートされている重複文章を一括で削除。
↑不要な文章を削除し、クリーニングが終わったツイートデータ
(5)KHCoderにデータを取り込む
ツイート文から出現率が多い単語を解析します。
今回はテキストマイニングソフトのKHCoderを使いました。
KHCoderをインストールしたら、起動します。
新規プロジェクトを作成し、先ほど抽出したツイート文のテキストファイルを読み込みましょう。
(6)前処理を実行
データのローディングが完了したら前処理を実行し、形態素解析を行います。
(7)出現頻度が多いキーワードを抽出
ツール>抽出語>抽出語リスト を順にクリックし、出現頻度が多いキーワード150個をExcelにアウトプットします。
上のExcelは抽出頻度が多いキーワードフレーズの一覧です。
ユーザーがツイートした文章から多い順にキーワードと出現回数を表示してくれます。
このデータを見るだけでも、潜在顧客層やニーズはどの様なキーワードで現れているのが見えてきますね。
(8)品詞ごとにキーワードを抽出
抽出語のオプションにある「品詞別」にチェックを入れると、各キーワードが品詞ごとに分類されてExcelで出力されます。
上の図は、サ変名詞と形容動詞のキーワードの一覧です。
サ変名詞はユーザーがレンタルオフィス(今回の調査主軸KW)に対して何を求めているのかという「目的」が見えてきます。
形容動詞はユーザーや潜在顧客がレンタルオフィスに求める「条件」が何なのかが分かります。
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以上の様に、ツイッターから文章を抽出し、品詞ごとに分解、出現頻度順に並び替えるだけでも、潜在ユーザーは何を求めているのか、商品やサービスの反応や声はどういったものか、潜在的なニーズは何か、など色々分析できます。
より正確な分析をする為には
今回はツイッターの検索画面から文章をコピーし、形態素解析しましたが、実のところデータ量が少ない為、100%正確なユーザーの声を分析する事はできません。
ツイッターの場合、過去のツイート文をダウンロードする為には専用のAPI(Firehouse)に接続する必要があり、その権利を保有している企業もごく一部に限られています。
※個人ではStreamAPIが利用可能だが、このAPIでもリクエストできるツイートデータは一部のみに限られる
調査工数をできるかぎり抑え、正確な分析をされたい方は専用の調査BIツールを利用する事をおすすめします。
参考:
・クチコミ@係長
・BuzzFinder
まとめ
●潜在層をより深く知るためにはソーシャルメディアや口コミサイトからのキーワード分析も必要である。
●ツイッターはユーザーの思ったこと、感じた事を書き込む媒体である為、顧客の声や潜在的なニーズを発掘できるメディアである。
●KH Coderを利用する事で、簡単にテキストマイニングが出来る。
●出現頻度順、品詞ごとに分析するとインサイトが見えてくる。
●より正確な分析をするのであれば、専用ツールを使うと良い。