消費者向けの広報・PR戦略として、ソーシャルメディアの活用を検討する企業が多く見られます。ソーシャルメディアはまだ比較的新しいサービスと言えますが、国内でもFacebookはすでに約2,500万人、Twitterは約2,000万人、さらにLINEは約5,200万人ものユーザー数を誇ります。
さらにソーシャルメディアは海外へも開かれたサービスであり、企業としてもより多くの人々に自社の製品・サービスを広める上で、無視することはできないでしょう。さらにソーシャルメディア本体のみならず、連携する各種サービスもどんどん増えています。
ソーシャルメディアでの発信方法
各ソーシャルメディアでは、ユーザーに向けた広告配信サービスを提供しています。自社の製品・サービスに興味を持ちそうな層へダイレクトに広告が配信できるため、広告費を割く企業も増えているようです。
しかしソーシャルメディアでの情報発信方法は、それだけに留まりません。例えば次のように、多くの消費者を獲得するための便利な機能が設けられているのです。
Facebookページ(Facebook)
「いいね!」をした相手に、新しい投稿情報が自動で届けられます。商品・サービス情報だけでなく、ユーザーが興味を持つような付随情報を定期配信することで、ファンを増やすことが可能です。
スタンプ(LINE)
可愛らしい、あるいは使い勝手の良いスタンプを配布します。スタンプ利用をフレンドに限定。フレンドには自動で新規投稿が届くため、スタンプ利用者の数だけ情報の発信先が増えていくこととなります。
その他、Twitterでは投稿に興味を持ったユーザーからフォローされることで、その人へ自動的に継続して情報が届けられます。さらにLINEでも、繋がった相手に対し特別なクーポン券を配布するといった戦略が挙げられるでしょう。
情報発信しているだけでは意味がない
ソーシャルメディアで定期的な情報発信をすることで、満足してしまう企業が見られます。しかしそれでは、結果的に大きな成果を得ることは難しいでしょう。
例えばソーシャルメディア運用を始める初期段階では、まずユーザーの獲得が必要です。Twitterでフォローを行い「フォロー返し」を狙ったり、あるいはFacebook広告を出したりといった方法が挙げられるでしょう。もちろん既にユーザーを持つサービスならば、ユーザー向けにソーシャルメディア開始の通知を行うことも可能です。その際、いずれの場合でも、初期コンテンツとしてある程度の投稿を用意しておくことが望ましいでしょう。
こうしたユーザー獲得の手段を定期的に行っていれば、恐らくユーザーは増え続けていきます。しかしそこに、コストが発生していることを忘れてはいけません。広告費等が伴わないものでも、人的コストがかかっています。そのため、ユーザー動向について次のような点を分析していくことが重要です。
・何名のユーザーが離れてしまっているか(ユーザーの離脱)
・ユーザーの流入経路はどこか
・ユーザー獲得の手法別でどのくらいユーザーが得られているか等
特にソーシャルメディアの場合、最もメリットと考えられるのが情報の「拡散」でしょう。しかし流入経路が自社の広告等のみに依存している場合、ユーザーはソーシャルメディアで発信している情報に魅力を感じていないかもしれません。
獲得ユーザー数に対し離れてしまうユーザーが多い場合、いつまでもユーザー獲得にコストの投下が必要となってしまいます。理想は、やはりコスト投下せず、ユーザー同士の情報交換によってユーザーが増えていく状態です。
また、複数の方法でユーザー獲得を行っているのであれば、確度の高い方法へと少しずつシフトしていくべきでしょう。たいした成果が得られないものにコストを投じているのは、無駄以外に他なりません。際立った成果が見られなければ、新たな手法を検討することも必要となります。
ユーザーの動向からツボを知る
ソーシャルメディアで拡散を得るには、ユーザーにとって魅力的な情報を発信することが大切です。「面白い」「役に立つ」などの動機から、「他の人にも教えてあげたい」という気持ちを引き出せれば、ユーザーは拡散してくれるでしょう。
では、どのような情報が喜ばれるのか。それはユーザーの種別・属性によって異なります。そのため、ソーシャルメディア内におけるユーザーの動向を分析し、魅力を感じてもらえる“ツボ”を探し出すことが重要です。
そのためには、TwitterのリツイートやFacebookのいいね!やシェアなどの動向をチェックしましょう。
どのような内容に対して反響が多いのか。コメント等にも注意します。いくら盛り上がっていても、批判・炎上によるものであれば避けるべきです。同時に、その情報を発信した際の目的を考えなおしてみてください。
例えば「お役立ち情報」だと思って発信したものが、ユーザーから見ると「誰でも知っている情報」と捉えられていないか。あるいは女性向けに発信した情報に、むしろ男性が食いついていないかというような具合です。結果的に拡散が得られても、意図と違っていれば、いずれズレが生じ戦略にも影響が及んでしまいます。
また、単純な情報発信ではなく、ユーザー向けのアンケート等が喜ばれることもあるでしょう。一口に情報と言っても、さまざまな捉え方ができます。アンケートのようなユーザー参加型の投稿ならば、通常よりも多くのユーザーからコミュニケーションが得られるかもしれません。
このように、ソーシャルメディア戦略では分析が重要となります。試行錯誤しながら都度分析を行い、ユーザーに対しより有益な情報発信を行いましょう。
数重視の戦略では、すぐに飽きられてしまいます。一見ユーザーが多いようでも、リツイートやいいね!のような行動が得られていなければ、情報拡散という目的は遂げられていません。
もしソーシャルメディア戦略に伸び悩みを感じているのであれば、一度細かなデータを洗い出し、分析してみてはいかがでしょうか。