今や企業にとってホームページを持つことは当たり前であり、むしろ持っていない会社の方が珍しい程でしょう。しかし、Webサイトを作成しただけでは誰も見に来てくれません。「コンテンツ+集客力」の2つが揃って初めてWebサイトは効果を発揮します。
今回は手軽に始める事が出来るリスティング広告、その中でもGoogleAdwordsの始め方を説明したいとおもいます。
(※2014年に書かれた記事を加筆・修正しています)
目次
1.リスティング広告(PPC広告)とは
2.Google Adwordsの出稿手順を理解しよう
3.自社の強み・訴求ポイントを見つけよう
4.リスティング広告を出稿する準備をしよう!
リスティング広告(PPC広告)とは
2つの広告配信サービス
リスティング広告=「検索エンジンの結果ページに表示される広告」というイメージが強いですが、実は2つの広告配信サービスの総称です。
検索連動型広告
リスティング広告の代表的な広告が「検索連動型広告」です。検索結果ページの上下、横サイドに広告として表示される物です。
検索ユーザーが検索した単語に連動して関連する広告を掲載する配信手法であり、商品やサービスに対するコンバージョン意欲が高いユーザーのみに配信出来るというメリットがあります。
↑PC向けのリスティング広告
↑スマートフォン向けのリスティング広告
コンテンツ連動型広告
ユーザーが訪れた配信先サイトのWebページに関連する広告を表示する配信手法です。GoogleやYahoo!JAPANと提携しているWebサイトの表示先ページ内容にマッチした場合のみ広告が配信されます。
↑コンテンツ連動型広告配信例:掲載先コンテンツとマッチしている広告のみを配信している
提供元プラットフォーム
リスティング広告とは検索エンジン会社が提供するインターネット広告の一つです。日本のネット広告では最もポピュラーな広告であり、多くの企業が顧客集客に利用しています。
日本国内には多数に検索エンジンが存在しますが、リスティング広告は「Yahoo!プロモーション広告」と「GoogleAdwords」の2つになります。両方のリスティング広告プラットフォーム上に出稿すれば略日本すべての検索エンジンをカバー出来る事になります。
↑Yahoo!プロモーション広告とGoogleAdwordsの掲載パートナー例
リスティング広告のメリット
費用対効果が高い
リスティング広告の最大のメリットは「キーワード単位で広告が出せる」事にあります。
販売している商品やサービスに興味のある顧客が検索するキーワードのみに広告出稿出来る為、見込顧客対してのみ広告費を投下する事が出来ます。の為、集客コスト(広告費)に対する効果(コンバージョン)は非常に高い傾向にあります。
リスティング広告以外のインターネット広告はユーザーを限定して出稿する事が難しい為、お金をかけて集客したユーザーの内、一部しか商品・サービスに興味を示さず、リスティング広告よりも費用対効果が悪いケースもあります。
当然ながらリスティング広告も不得意領域がある為、リスティング広告=万能ではありません。最近でDSPやRTB等のアドテクにより検索連動型広告以外にも費用対効果が高い配信手法が登場しています。また、各広告媒体の得意領域が異なる為、プロモーションの目的に応じて各媒体を有効利用していく必要があります。
少額から始められる
リスティング広告は最低1,000円から始める事が出来ます。
↓最低前払い金額
Yahoo!プロモーション広告(リスティング広告)・・・3,000円
GoogleAdwords・・・1,000円
又、リスティング広告の課金金額は広告のクリック数と、クリック時のキーワードの入札額によって決まります。出稿までは無料で出来、クリックされた時点で課金が発生します。予算に合わせて広告の出稿を調整できる為、少額から始める事が出来、予算を超えた場合は直ぐに出稿を停止する事が出来ます。
リスティング広告は出稿のコントロールが容易い為、効果の悪いキーワードの出稿を停止したり、掲載を再開したり出来ます。
又、自社サイトで販売している商品が品切れになった場合やセミナーの応募者数が定員を超えた場合などにも直ぐに管理画面から配信を停止できる為、無駄な広告費を浪費する事がありません。
自分で出来る
「広告を出す」となると広告代理店に依頼をして、クリエイティブの作成から露出までを任せるといった形式でした。
インターネット広告も同様に大手メディアサイトの純広出稿やタイアップ広告等の出稿には必ず代理店を通す必要があり、コストも時間もかかりました。しかしリスティング広告は広告掲載主である検索エンジンと直接やりとりが出来る為、マージン(手間賃)がかからず、気軽にサクッと始める事が出来ます。
当然ながら、リスティング広告は運用力が求められる広告です。したがって運用ノウハウが広告効果・成果を大きく左右する為、予算が大きい場合は専門のコンサルティング会社や運用代理店に任せる方が良い場合もあります。
以上の他にも広告運用改善がし易い面や、広告を表示するユーザーをキーワードだけではなく地域や趣味嗜好で更にセグメントを細分化したり、純広の様に他のWebサイトに自社の広告を掲載したり(プレースメント)と様々な機能があり、少ない予算で見込顧客を集客出来る広告としては非常に優秀な媒体です。
Google Adwordsを出稿してみよう
リスティング広告を出稿できる検索エンジンは日本国内でも多数ありますが、多くの検索ユーザーを抱えているGoogleAdwordsとYahoo!プロモーション広告が最もポピュラーです。今回はGoogleの検索結果及びGoogleのパートナー検索エンジンサイト(@niftyなど)にリスティング出稿が出来るGoogleAdwordsに広告出稿する方法を説明してみたいと思います。
アカウントの開設
ますはじめに、Google広告の申し込みページにアクセスします。
ここでは、ログインメールアドレス、パスワード、お支払い情報などの登録を行っていきます。
既にGoogleアカウントにログインしている必要があるので、Googleアカウントを持っていない方はこちらでアカウトを作成しておきましょう。
最近では申込時に7500円分のクーポンを貰えるキャンペーンを行っている見たいです。2500円を支払えば10000円分の広告出稿が出来ますので、是非使ってみましょう。
アカウント構成の仕組み
アカウント設定が完了したら、次は「キャンペーン」を作成していきましょう。
リスティング広告はキーワードと広告文が一致していないと効果を発揮しない為、キーワードと広告文をまとめるグルーピング(区分)を行う必要があります。
上記例はパソコン販売サイトの例です。「パソコン 業務用」で検索するユーザーと
「ゲーム パソコン」で検索するユーザーは目的が異なる為、その異なる目的ごとに広告文とランディングページURLを変える必要があります。
ユーザーは検索エンジン上の結果画面に表示される文章を見て、自分が探している情報か否かを瞬時に判断し、クリックしています。広告がユーザーに表示された時点で訴求しなければ、優良見込顧客を他社に奪われてしまいます。
訴求する為にはキーワード毎に訴求箇所を変えた広告文を表示する必要があり、2つのグルーピングを利用し、キーワードと広告文をまとめます。
グルーピングの種類
リスティング広告では「キャンペーン」と「広告グループ」の2種類のグルーピングがあります。
最も大上段に位置するのがキャンペーンです。キャンペーンは配下に存在する全広告グループ、キーワード、広告文の配信ON・OFFや、1日の予算、配信スケジュール、配信先ネットワーク、配信先の地域を管理します。
キャンペーンの下に位置するのが広告グループです。広告グループはキーワードと広告をまとめる役割があり、キーワードが検索ヒットした場合、同一広告グループ内にある広告文が一緒に表示される仕組みです。広告グループでは配下の全キーワードのCPC(上限単価)と配信ON・OFFを管理します。
各階層で行う設定をまとめると以下のようになります。
キャンペーン
・掲載ON、OFF
・1日の予算
・配信地域、言語
・配信先ネットワーク
・配信頻度、スケジュール
広告グループ
・掲載ON、OFF
・入札上限単価
・クリエイティとKWのグルーピング
キーワード
・マッチタイプ
・入札価格
・URLの設定
広告文
・タイトル
・説明文
・表示URL
・URLの設定
キャンペーン分けを行う事で、キーワードの集客力や収益力毎に最適な予算を投下し、限られた広告予算で最大限の効果を生むことが出来ます。
入稿作業
アカウント構成が理解できたので、入稿作業を入っていきましょう。
今回は検索連動型広告のみに配信するので、タイプ「検索ネットワークのみ」を選択します。
当該キャンペーンの1日の予算を指定します。
次に広告グループを作成します。
広告グループ名とキーワードをまとめたリストを予め作成しておき、順に入力していきます。
広告グループ(キーワード)とセットで入稿する広告原稿を入力します。
入稿が完了したら、広告掲載が開始されますが、入稿後直ぐには掲載されません。
必ず広告文、キーワード、ランディングページ、支払情報などの審査が入り、審査通過後初めて掲載されます。
自社の強み・訴求ポイントを見つけよう
リスティング広告はキーワード単位で広告を配信する事ができます。キーワードは顧客の意志を反映している為、自社の商品・サービスと一致するユーザーのみに絞って配信しないと広告効果を下げてしまいます。
どの様な顧客が市場には存在するのか、自社と競合の違いをどの様にアピールしていけば良いのかしっかりと分析し、最適な広告配信を行いましょう。
↑検索キーワードはユーザー(見込顧客)の意志です。
自社の強みとマッチする顧客を見つけよう
ある商品の購入をとっても、そこに纏わる顧客の要求は様々です。
例えば、自社でパソコンの通販サイトを運営していたとします。この際、リスティング広告ではどのようなユーザー(検索キーワード)を集客するべきでしょうか。
「パソコン 通販」や「通販 PC」などは見込顧客全般を対象としているので集客対象ユーザーになるかもしれません。しかし、「パソコン 通販」には価格面を重視しているユーザー、機能面を重視しているユーザーなど、パソコンを購入する際の判断材料が異なるユーザーが混在している事になります。
当然自社が販売しているパソコンが性能重視だが価格は高いパソコンの場合、価格面を重視して探しているユーザーには魅力的に映らず、購入してはくれません。
より広告効果を発揮させる為にも自社の強みとマッチするユーザー(キーワード)を探すことから始めます。
↑パソコンの通販をとっても多数の顧客像が存在します
↑自社の強みとマッチする顧客層を見極めます。上記例であれば、性能重視のユーザー
自社の強みを把握しよう
では、ユーザーに訴求していく自社の強みを書き出していきましょう。リスティング広告では自社の強みを主に3箇所に反映していきます。
1)キーワード
自社の強みを言語化したキーワードを抽出します。
例えば安さを強みとしている場合は、「格安」「激安」「安い」「破格」「プライスダウン」「ディスカウント」など例です。
2)広告文
ユーザーと広告主がはじめに出会うのが広告文(クリエイティブ)です。
ユーザーは1秒以内で探している情報(サイト)を検索結果から見つけクリックします。この際、競合他社より広告文で訴求出来ていなければ顧客を他社に奪われてしまいます。
3)ランディングページ
実際に広告をクリックしアクセス(来店)してきたユーザーに商品・サービスの紹介を行うのがランディングページです。
ランディングとは英語で着地(Landing)であり、クリックして着地するページという意味です。
キーワードと広告文で集客したユーザーに適切なWebページを表示し、ページ内で商品・サービスの売り込みを行います。この売り込み(営業)が弱いと直ぐにユーザーは元の検索結果に戻ってしまいます。
競合他社との差別化を図ろう
今や「検索」はごく当たり前となり、日本中の誰もが何かを購入したり検討したりする際、検索をして情報を収集しようとします。
レビューサイトやFacebookなどのソーシャルメディアにより多くのユーザーが商品・サービスに関する情報を多数しる機会が増えました。
こうなると、単に自社の良さ(強み)を売り込んでいるだけではユーザーに訴求出来ない場合があります。ユーザーが他社の商品情報も既に知っている場合、商品の紹介を行うだけでは比較対象が「価格」や「ブランド」に移ってしまうため、より差別化し自社の良さを伝えていかなければなりません。
この際必要となるのが競合分析です。自社の強みの中から競合他社には無い強みを見つけ、ユーザーにアプローチしていきます。
↑上記例の場合、直接の競合他社との違いは長期保証にありました。高価格帯のパソコンだからこそ、長期保証を付けることにより結果的に安く、そして安心して買って頂く事ができるのが自社の強みであり、差別化ポイント
リスティング広告を出稿する準備をしよう!
対象顧客と自社の強みが分かった時点でリスティング広告を出稿配信する為の準備に取り掛かりましょう。
出稿するには「キーワード」「広告文」「ランディングページ」の3つが必要となりますので、それぞれ作っていきましょう。
キーワードを抽出する
実際に見込顧客ユーザーが検索すると想定されるキーワードを抽出していきましょう。
キーワードマッチタイプ
リスティング広告では検索ヒットするキーワードのタイプが4つ存在します。
キーワードマッチタイプとは、ユーザーが検索したキーワードと広告主が入稿したキーワードの一致度に可変をもたせるか否かを設定する為の仕組みです。
↓主なキーワードマッチタイプ
キーワードマッチタイプ:部分一致
部分一致とは入稿キーワードと部分的に一致する場合、広告が表示されるマッチタイプです。関連語や同義語なども一致としてみなされるため、入稿キーワードには一切含まれていない検索キーワードでも広告が表示されます。
最も広告表示(インプレッション)が出来る反面、見込顧客とは異なるユーザーにも広告を表示し、集客したりする場合があります。
キーワードマッチタイプ:絞り込み部分一致
入稿キーワードの文頭に「+」を付与する事で、そのキーワードとユーザーの検索キーワードとの完全な一致を指定できる。「+」が付与されていないキーワードは部分一致による判定の為、上記例の様に「通販」とは異なる関連キーワードでも広告が表示される。
ユーザーの意図がまだ不明確な場合(掛け合わせキーワードを完全に洗い出せていない場合)は有効なマッチタイプと言えます。
キーワードマッチタイプ:フレーズ一致
入稿キーワードを「”」で囲みます。入稿したキーワードとユーザー検索キーワードと完全に一致した場合のみ表示されます。また、入稿キーワードと一致すれば、前後に他キーワードがあった場合でも広告は表示されます。尚、キーワードの順序が異なる場合は表示されません。
キーワードマッチタイプ:完全一致
入稿キーワードを「[]」で囲みます。完全一致は名の通りユーザー検索キーワードと入稿したキーワードが完全に一致した場合、広告が表示されます。前後に他キーワードがある場合などは広告は表示されません。
キーワードマッチタイプ毎にメリット・デメリットがあります。完全一致は見込顧客に限定して広告を表示できるものの、キーワード出稿していないユーザーには広告を表示しない為、広告主がまだ知らない潜在顧客を取り逃す事になります。(機械損失の発生)
これに対し、部分一致は潜在顧客層まで広告を配信する事が出来、新たな顧客(キーワード)の発見につながりますが、顧客となるユーザー以外も広告集客する事になるため、全体の転換率は下がり、費用対効果も下がる傾向にあります。
広告予算やリスティング広告での出稿目的などを考慮して都度正しいキーワードマッチタイプを選択するようにしましょう。
キーワードの抽出
実際にExcelを使ってキーワードを書き出してみましょう。
↑Excelを利用してキーワードをカテゴリ分類毎に書き出す
2語以上の掛け合わせ検索向けのキーワードは、掛け合わせツールを使います。
・掛け合わせツール:KARABINER
↑KARABINERを利用し、掛け合わせ元となるキーワードセットをテキストボックスに入れ、Genを押すと掛け合わされたキーワードが表示される
掛け合わせが終わったキーワードはExcelに貼り付けます。又、どのキーワード区分と掛けあわせたか分かるようにグループ名を付けておきましょう。
広告文を作ろう
検索結果ページに表示される広告文を作ってみましょう。
広告文の文字数ルール
広告配信プラットフォーム毎に広告文のルールが異なります。
Yahoo!プロモーション広告
タイトル文・・・全角15文字
説明文1・・・全角19文字
説明文2・・・全角19文字
表示URL・・・半角29文字
Google Adwords
タイトル文・・・全角15文字/全角30文字
説明文1・・・全角19文字/半角38文字
説明文2・・・全角19文字/半角38文字
表示URL・・・半角35文字
広告文は見やすく、分かりやすく記述しよう
広告文はユーザーと企業が出会う最初の接点であり、短い文書で自社の魅力を伝えなければなりません。ユーザーは検索結果ページを1秒以内で内容を判断し、探している情報にマッチしているサイトをクリックする為、訴求ポイントを分かりやすく記述します。
検索結果ページには競合他社がひしめき合っています。多数の競合から自社を選んでもらえる様に、ユーザーと意図(キーワード)と自社の強み・訴求ポイントをマッチさせ、広告文で伝えていきます。
広告文は「図化」しよう
リスティング広告(検索連動型広告)は基本的にプレーンテキストの文章型広告しか掲載できません。ひと目で広告文の内容と自社の強みをユーザーに理解してもらえるようにする為には、文章を図化する必要があります。
図化とは記号を利用して特定の単語を強調したり、漢字やカタカナ、ひらがなを用いてスペースを使わずに文章の区切りをつけたりする事です。
↑「の」で2つの単語を見やすく分けたり、()を使って強調
ランディングページを用意しよう
ユーザーが広告文をクリックしたどり着くページをランディングページと呼びます。このランディングページに記載されている内容とユーザーの意図(キーワード)が一致していないとユーザーは直帰してしまいます。
リスティング広告はクリック毎に課金が発生する広告(CPC広告)の為、集客したユーザーは出来る限りWebサイト内に滞在させ、自社の商品・サービスを購入してもらうような店舗(=ランディングページ)作りをしていきましょう。
ランディングページのチェックポイント
- ファーストビューにユーザーの探している情報があるか
- ユーザーの探している情報が一目で分かるか
- 自社の強みがファーストビュー内にあるか
- 検索キーワードとLP内容が一致しているか
- 購入・申込み時のユーザーの不安を解決出来る情報が用意されているか
- 購入・申込方法やボタン(CTA)が一目で分かるか
まとめ
今回はリスティング広告の基本として自社分析からキーワードの抽出、広告原稿の作成、アカウントの作成までを説明しました。
これでひと通り広告掲載は出来ますが、掲載開始後の効果分析やそれに伴う改善箇所の抽出、改善施策の立案、実行などリスティング広告を使いこなすには多数の作業とノウハウが必要となります。
しかし、代理店などに依頼する場合は一定の予算が必要となりますので、先ずは少額でリスティング広告がどんなものか見てみたいという方にはご自身で運用スタートしてみるのは良いかもしれませんね。