最近では、オウンドメディアを持つ企業が直接外部のライターとやり取りし、企画や執筆を依頼する所も増えつつ有ります。
非常にまれなケースではありますが、納品記事の一部分が他の著作物をそのまま引用しており、その事がWebサイト掲載後に読者ユーザーや社内の指摘により判明する事もあります。
引用自体は著作権法第32条で認められている様ですが、無用なトラブルを避けるためには、事前に引用元の著作者に許可を取るのが良いでしょう。
「掲載後に外部から引用や盗用の可能性があると指摘が入った」といった事態にならない様、運営者は文章の校閲作業の際に、その文章がコピーコンテンツを含まないか否かを正確にチェックする必要があります。
Copydetectの「一文マッチ」ソート機能でコピペを検出
弊社では以前からコピーチェックツールを公開していましたが、部分的なコピペも出来る限り漏れ無く検知するべく、一致する箇所の文字数からコピーの疑いがある箇所を素早く探す機能を付け加えました。
コピーチェックツール『CopyDetect』では、実際に文章の中に一部コピーした文が混ざっている場合、正しく検知できるか見てみましょう。
Wikipediaの『Apple』のページから一文だけ引用し、オリジナル文章の文中に入れました。
全体の文字数が660文字の内、引用した文章の文字数は76文字でした。比率は12%程度になります。
Copydetectでコピーチェックをすると、類似度順に類似コンテンツを掲載しているWebページが一覧で表示されます。
先ほど一文を引用したWikipediaのページの類似度は13.4%と表示されました。もし、全文章の類似度だけでコピーの有無を判断していた場合、この引用を見逃していたかもしれません。
※Copydetectの類似度は、全単語数に対する一致する単語比率です。文字数ではなく、品詞別にカウントしている単語数で一致率を算出しています。
次に、「一文マッチ」をクリックします。
一文マッチとは、検査対象の文章の内、Web上と一致する文字が最も多い文章の文字数を表しています。「一文マッチ」をクリックし、文字数の降順に検索結果を並び替えます。
すると先ほど引用したWikipediaのURLが一番上に表示されました。「全文比較」をクリックし、一致する箇所を確認します。
先ほど引用した文がオレンジ色でマークアップされています。
一文のみの引用が疑われる場合、マークアップ箇所がGoogleキャッシュのURLにリンクされています。
Googleキャッシュのページには、コピーチェックで一致した文字と一致する箇所が様々な色で網掛けされます。
網掛けされる箇所が連続して続く箇所が引用した文になります。目視で確認すると、先ほどwikipediaから引用した箇所と完全に一致している事が分かります。
Googleキャッシュが有効では無い場合、ブラウザの検索機能を使って重複する文章を検索すると引用箇所がハイライトされます。
Copydetectの結果を元に、引用箇所の特定および引用文の範囲や量を確認します。
以上の様に、一文マッチでソートする事で、単語一致率では見逃してしまう部分的な引用も検知できます。
既存のコピーチェックツールでは部分的なコピペはすり抜ける
日本語を対象とした文章のコピーチェックツールはいくつか存在します。
多くのツールが「全文章と一致する単語の比率を元にコピーの可能性を測る方法」か、「句読点で文章を分けて検索し、一致するURLを抽出する方法」の2つのどちらかを検索方法として採用しています。
しかし、この検査方法では部分的なコピペを正しく検知できない可能性があります。
特に、検索対象となる文章と一致する単語数との比率を元にその文章がコピペである可能性を算出する方法の場合、元の文章量が非常に多いと、必然的に一致率は低減します。
この為、「類似度」を基準としたコピペ判断は、一文や二文のような、少ない文字の引用はコピー検知できない可能性があります。
最後は目視で確認するのがポイント
リライトした文章の場合、文章そのものが大きく書き換えられていたり、新たな文字が付け加えられるケースがあります。
この場合、単語単位の一致有無だけでは正しくコピペを判定する事はできません。
記述されている単語は類似しているが、文章として並び順が異なる文章などの場合は、人による読み比べが必要です。
あくまでもコピーチェックツールは単語単位での出現類似が似ている文章を抽出する目的に留め、最後は目視による判断を行うコピー検査フローがより正確だと考えられます。
最後に
今回はツールを用いたコピペの検出方法を紹介しましたが、無用なトラブルを避ける上でやはり重要なのは発注時の内容やルールをしっかりと取り決める事に尽きます。
●引用はしても良いのか?
●引用した場合は記事の発注者にその旨を伝える必要はあるのか?
●引用箇所はWordでマークアップして伝える形で問題ないか?
●引用する際は、事前にその旨を発注者に伝え、引用内容に承諾が得られた段階で記事内に差し込む
以上の様な、引用や抜粋に対する取り決めを予め明確にしておくと良いでしょう。