リスティング広告を運用している大半の方が、リスティング管理画面の数値のみでその効果を判断し、改善・運用されていると思います。
集客露出とコンバージョン値は管理画面でも把握できるものの、ランディングページに着地したユーザーの動きまでは測ることはできません。
アクセス解析 Google Analytics ではコンバージョン測定機能も搭載されています。この機能を利用すれば、コンバージョンしたユーザーのサイト内アクセスデータを収集し、広告側の改善とサイト内の改善の両方を実施し、よりリスティングの効果を高めることができるようになります。
今回はGoogle Analyticsでのコンバージョン設定から、簡単な分析方法まで紹介したいと思うのですが、その前に、コンバージョンや設定することのメリットについてざっと説明していきます。
目次
○コンバージョン(CV)とは?
∟1.コンバージョンとは?
∟2.CVR(コンバージョン率)
○GoogleAnalyticsのコンバージョン設定
∟1.コンバージョン設定
○GoogleAnalyticsのコンバージョン分析
∟1.遷移分析
∟2.コンバージョン経路
∟3.ユーザー環境
∟4.アクセス元の地域
コンバージョン(CV)とは?
コンバージョン(CV)とは?
コンバージョン/CVとは、Webサイトを訪れた人が「会員登録」や「資料の請求」、「商品を購入」したりすることを指します。言い換えれば、Webサイトの運営側がユーザーに起こしてほしいと考える最終的なアクションのことをコンバージョンといいます。
Conversionは「変換・転換」を意味する英単語であり、そこから顧客のポジティブな転換、つまりビジネス側の望むアクションを顧客が起こすという意味で現在は用いられています。
当然ですが、扱う商品やサービスによってコンバージョンの定義はそれぞれ異なり、それゆえにWebサイトを運営する際はビジネスゴールを念頭に置きながら、何をコンバージョンにするか突き詰めて決定することが大変重要になってきます。
なおコンバージョンは、たどるルートから次の2つに分けられます。
●直接コンバージョン
Web上の広告からサイトを訪れたユーザーが、その後一度も離脱せずにコンバージョンに至ることを直接コンバージョンといいます。
代表的な例として、検索結果に表示されるリスティング広告をクリック、サイトを経由してコンバージョンに至るというものがあります。
●間接コンバージョン
一度はWeb上の広告をクリックしながらも、そのときはコンバージョンせずに離脱。しかし再度Webサイトを訪れてコンバージョンすることを、間接コンバージョンと言います。
コンバージョンにいたる経路は様々で、直接コンバージョンだけではその全体像を押さえることはできません。はじめから購買意欲のあるユーザーは、広告をクリックしてダイレクトにコンバージョンに至るでしょう。しかし、そのような直接コンバージョンだけに焦点を当てていると、見込み客や潜在的な顧客層、つまり商品やサービスを知らない層へのアプローチがおろそかになってしまいます。
間接コンバージョンはそういった機会損失を減らし、ニーズを喚起させる施策(たとえばコンテンツマーケティング)への指標として大きな役割を持ちます。
※広告を見ただけでクリックをせず、他のルートを辿ってコンバージョンする「ビュースルーコンバージョン」なども、ある種の間接コンバージョンといえるでしょう。(広告を見た相手に、どれだけ印象を与えられたか図る指標になる)
CVR(コンバージョン率)
Webサイト上へのアクセスに対し、どれだけコンバージョンしたかという割合をCVR、コンバージョン率として計測することができます。
・CVR=コンバージョン÷アクセス数
なお、分母のアクセス数は何に主眼を置くかで変わります。
Webサイトを訪れた一人ならば、
・CVR=※ユニークコンバージョン÷ユニークユーザー(UU)となり、
分母にセッション数、あるいはPV数を置くのであれば、
・CVR=コンバージョン÷セッション(PV)数となります。
※ユニークコンバージョン:Webサイトを訪れたユーザーが商品を2つ購入した場合、普通コンバージョンは2と計測されますが、ユニークコンバージョンは1と計測されます。言い換えれば、ある一定の時間内にコンバージョンに至った訪問者の数が、そのままユニークコンバージョンになるということです。
CVRは、施している対策が効果的にコンバージョンへとつながっているか計るための大切な指標です。そして、コンバージョン獲得をWebマーケティングのひとつのビジネスゴールにしている場合、CVRを高めていくことが非常に重要になってきます。
Google Analyticsのコンバージョン設定
リスティング広告では、「コンバージョンタグ」と呼ばれるタグをサンクスページ(商品やサービスの取引が完了した際に表示されるページ)に設置し、コンバージョン測定を行っています。
このタグは正確にコンバージョンを測定できる一方、ユーザーの行動回遊までは分析できないことから、ランディングページを改善するために必要なユーザーのアクセスデータまでは取得することはできません。
リスティング管理画面から取得できるキーワードデータ(クリエイティブデータ)と、Google Analyticsから取得できるユーザー行動データの2つデータを元に、より良い広告運用とユーザー体験を阻害せず行動喚起を誘発するランディングページの構築を図りましょう。
(「Google Analyticsのコンバージョン設定」における補足画像は一部を除いてGoogleアナリティクス旧バージョンのものです。ご了承ください。※なお、コンバージョン設定フローはほとんど変わっていません)
コンバージョン設定
GoogleAnalyticsのコンバージョン測定は「指定したURLのアクセス数」が元になって算出されます。リスティング広告はビーコンタグのアクセス数がベースになりますのでサンクスページにタグを設置すれば設定完了ですが、AnalyticsはサンクスページのURLを設定する必要があります。
対象となるGoogle Analyticsアカウントにアクセスします。
「管理」をクリックします。
ビューの「目的」をクリックします。
「新しい目標」をクリックします。予めGoogle Analytics側で用意されている設定フォーマット「テンプレート」か、自分自身で設定する「カスタム」の2種類が選択できます。
コンバージョン内容に合うテンプレートもしくはカスタムを選択し、「次のステップ」をクリックします。
「名前」には分かりやすい様に、コンバージョンの内容を説明する一文を入力しておきましょう。
「タイプ」は、どの時点でコンバージョンと認識させるかを設定します。リスティング広告でコンバージョンと扱われている大半がこのタイプ上では「目標」に該当します。
コンバージョン地点(サンクスページ)のURLを設定します。
広告効果測定ツール等で追跡パラメーターが付与される場合などは、「先頭が一致」や「正規表現」を選択します。
上図は該当する例の一覧です。「○」となっている箇所はカウント対象となるパターンです。
続いて目標達成プロセスです。この設定は必須ではありませんが、ランディングページやコンバージョン遷移を改善する上では設定しておくと良いでしょう。
ランディングページに着地してからコンバージョンにいたるまで、ユーザーは複数のページを遷移すると思います。申し込みをしようと入力したユーザーが途中で離脱してしまうか否かを解析し、遷移改善のヒントを探します。
サンクスページ(目標達成のURLとして設定したページ)の直前の遷移までを設定します。
最後に「目標を作成」をクリックして完了です。
Google Analyticsの「コンバージョン」から設定した目標の値を閲覧できます。
Google Analyticsのコンバージョン分析
十分なデータが貯まったところで、分析をしてみましょう。
様々な分析方法がありますが、今回はその一部を紹介したいと思います。
遷移分析
どの遷移段階で見込み顧客が途中で止めてしまうか分析し、改善箇所を探します。
コンバージョン>目標達成プロセス を順にクリックします。
上図の例を見てみましょう。
入力フォームには1000人のみ込み顧客がアクセスしていますが、入力を終え次のステップに進んでいるのは10%しかいません。
しかし、一度入力フォームのステップを越えたユーザーの90%はコンバージョンしているということが分かります。
この状況からコンバージョンの阻害要因は入力フォームであり、ここの突破率を高めることがコンバージョン数の向上であるという仮説を立てることができます。
入力フォームにはできる限り顧客像を明確にするため、営業マンが欲しいと思われる情報項目を多数盛り込んでいました。しかし、実際にはWebからの問い合わせを受けた直後に営業マンが電話でヒアリングをするため、Webからの詳細情報は利活用されていませんでした。
コンバージョンの目的はあくまでも見込み客、リード獲得であり、顧客の情報収集は営業マンが電話で行うのが営業フローであったことに気づき、入力フォームの項目を必要最低限にしました。
新しい入力フォームで実際に運用し、遷移率がどう変化するか見てみましょう。
コンバージョン経路
コンバージョン経路では、コンバージョンしたユーザーがどの経路を遷移しコンバージョンに至ったか分析することが出来ます。
今でこそアトリビューションという考えがリスティング広告でも浸透してきましたが、リスティング管理画面上で真っ先に見られるのが直接コンバージョン値です。
しかし、潜在顧客層などを対象とし、顧客の育成を図る段階での集客は直接コンバージョンに寄与しないため、「予算の浪費」として見られる場合があります。
Google Analyticsのコンバージョン経路を使えば、コンバージョン数が多いユーザー経路を解析でき、最も良いプロモーション経路を分析することができます。
上図の例の場合、最も多くもコンバージョンを生み出している経路は有料検索(リスティング広告)を2~3回通して遷移している事が分かります。
直近のコンバージョンワードと、その手前で集客しているリスティングキーワードの組み合わせて、最も多くコンバージョンを生み出しています。
GoogleのAnalyticsとAdwordsを連携すると、経路別のAdwordsキーワードを閲覧できます。
コンバージョンを最も生む経路キーワードを割り出し、この経路キーワードパターンの露出量を増やしたり、CPC調整による掲載順位の上昇させ、コンバージョンの拡大を図ります。
ユーザー環境
スマートフォンやPC、ブラウザ、インターネット回線によってもランディングページの見え方や、入力フォームの操作性は大きく異なります。
ユーザー環境ごとにコンバージョン率や直帰率、滞在時間などを解析し、効果が乏しい環境を見つけ出します。
行動>サイトコンテンツ>ランディングページ を順にクリックします。
設定したコンバージョン数が他のアクセス解析値と共に表示されます。
上図はスマートフォンの画面解像度別のコンバージョン比較です。大画面のスマートフォンが次々登場し、これまでよりも大きな画面でランディングページが閲覧される様になり、以前のスマホ向けランディングページが必ずしも適切ではない可能性が生まれました。したがって、これらの値を用いて分析していくことにしましょう。
セカンドディメンションで様々な項目を選択できます。上図はアクセスしたユーザーの携帯電話モデル名です。iPhoneによるアクセスが圧倒的に多く、コンバージョン率も最も高いことが分かります。
アクセス元の地域
ユーザーのアクセス元別のデータ(地域データ)を閲覧できます。
Google Adwordsでも地域名毎にデータを閲覧できますが、Adwordsはコンバージョンベースであり、Webサイト内のユーザーの動きまでは追えません。
一方で、サイト内の動きが追えるAnalyticsでも同じように地域ごとにデータを解析が可能です。さらにコンバージョンデータをAdwordsから抽出することで、Analyticsデータと突き合わせ、地域ごとの詳細な分析も可能です。
もちろんここで紹介しただけなく、そのほか様々な調査・分析ができます。まずはコンバージョン設定を済ませ、データを見ることからはじめてみましょう。