コンテンツWebメディアサイトで老舗の「Allabout」は、日々Webマーケティング施策を行い、新しい集客方法を開拓しているWeb事業社です。
今回は、Allabout社が実施した「サイト内の記事をまとめるキュレーションサイト」の事例を研究しましたので、一部紹介したいと思います。
Allabout社の自社記事オンリーのキュレーションサイト
専属のガイドが生活や暮らしに役立つコンテンツを提供するAllaboutですが、2014年ごろからまとめコンテンツというメディアを運営しています。
コンテンツは、本体サイト内にあるガイド記事をまとめたキュレーションページです。
過去ガイドさんが執筆した記事を、様々な切り口で分かりやすくまとめ、数百文字の説目文と共にページ化する事で、まとめサイトのコンテンツを作成している様です。
現在、まとめサイトは同一ドメイン内のサブディレクトリとして運営されていますが、ページの目的やユーザーへの情報内容、体裁はまるで「別のサイト」として位置づけられているような印象です。
Allaboutのガイド記事は、その情報量の多さや専門性の高さから、情報の質が良い記事ではありますが、その品質を担保する為に、1記事あたりの制作費も非常に高額であると想定されます。
その様な状況の中で、Naverまとめ等に代表されるようなキュレーションサイトが、膨大なトラフィックを非常に安価で獲得しはじめている事が話題になってきました。記事制作のハードル(コスト)の低さと集客確度の高さから、様々なキュレーションサイトが生まれています。
又、Allabout社のビジネスモデルは広告販売であり、その広告価値を大きく左右するアクセス数・PV数はAllabout社にとって非常に重要な指標であると思われます。
既に存在する情報やコンテンツを「キュレーション」という見せ方でまとめる事により、新たなガイド記事を作ること無く、低コストで素早くページを制作でき、より多くのPVやアクセスを獲得できるメリットがあるのでは無いかと考えられます。
集客効果の調査
Allabout.co.jpのアクセス状況をSimilarWebで見ると、アクセスの7割以上がオーガニック検索経由である事が分かりました。
オールアバウト社の江幡社長のインタビューでも、Googleと共に伸びてきたことを強調している事から、検索エンジン流入を極めて重視しており、コンテンツメディア事業者としてSEO(検索エンジン最適化)を日々実施しているのではないかと思われます。
参考:オールアバウトCEO、江幡哲也氏インタビュー
しかし、低単価で素早くコンテンツを作成できるというメリットがある反面、いままでAllaboutが続けてきた高品質で情報性が高い記事コンテンツでは無い形式の為、重要指標であるアクセス数が獲得出来るのでしょうか。
又、他社のまとめ系記事は、その分かりやすさと「まとめる」事による利便性の高さによって、ソーシャルメディア上で多くシェアや拡散される傾向にあります。
実際にオールアバウト社のまとめサイトは、ソーシャルメディア上でどの様な反響を得ているのでしょうか。
検索エンジン上の評価(順位)
調査を行うべく、まとめ記事を無作為に150ページ抽出しました。このページの集客状況や反響をしらべ、本施策の集客効果を測ってみたいと思います。
先ず、検索エンジン経由の集客獲得力を調査します。調査対象として選んだページのtitle文から、対策している・集客しているキーワードを機械的に抽出していきます。
参考:形態素解析を用いたKW抽出方法
上の円グラフは、調査キーワードの順位計測結果です。
約2割強が1ページ目(10位以内)にランクインしており、2ページ目以内であれば、全体の4割近くがランクインしている事になります。
上の表は、個別の検索順位結果です。
「新入社員 エクセル」や「ショートムービー 感動」など、検索が発生し得るキーワードで1位など上位順位を獲得しています。
ソーシャルメディア上の反響
上グラフは、調査対象150ページのソーシャルシグナルをまとめた物です。
1/3以上近くが、ソーシャルシグナル(いいねやシェア数)を10~20個獲得しており、また獲得ソーシャルシグナルが10個未満のページも全体の1/3程度ある事が分かります。
一部ページではいいね数が1000以上を超えるなどの大反響を得ているページも複数あります。
実際にソーシャルメディア上で大きな反響を得た記事は、どの様な流れで拡散へと繋がっていったのでしょうか。『エクセルで差をつけろ!新入社員・必修記事』でその流れを見てみましょう。
このページは14年3月30日が最終更新日となっており、恐らく公開されたのも同じ日時でしょう。
一番始めの着火剤となった要因は分かりませんでしたが、記事公開後1週間経過し、はてなブックマークのホットエントリーにランクインしています。
そして、4月7日の0時ごろにはてぶホッテントリツイッターでURLが通知。多くのフォロワーを持つインフルエンサーなどがリツイートし、はてぶツイートだけでも31回リツイートされる結果に。
当日の朝方(8時ごろ?)にはスマートニュースで掲載された事によるツイートの爆発的な伸びを見せており、瞬間的アクセス数が急増したと思われます。
又、上のグラフにある様に、スマートニュースからのアクセス数が大量に発生したと想定される4月7日には、はてなブックマーク数も急増している事から、当日のホッテントリ入りし、1日中はてなブックマーク一覧の上部に掲載されているたと想定されます。
これにより、瞬間的かつ膨大なトラフィックを4月6日~8日にかけて獲得したのでは無いかと考えられます。
すでに存在するガイド記事を「まとめる」という形式でリ・イノベーションしているWebマーケティング施策の成功事例ではないかと思います。
過去に作った記事を分かりやすくまとめ直す事で、再度人々の興味関心を引き出し、ソーシャルメディア上で拡散を図る。既存コンテンツを別の形で再利用する事で、低コストかつ素早く、アクセス数の増加と認知度の向上が期待できる施策だと思います。
まとめ
●Allabout社は既存ガイド記事をまとめるサイトを作っている
●ページの内容は、ガイド記事を特定のテーマでまとめる「キュレーション記事」である
●検索エンジンの順位は、意外にも高い。オリジナル性のコンテンツを付け加えなくとも、上昇できているページもある。
●まとめる事で、過去作成したページに対してユーザーの興味関心を再度引き起こしている
●瞬間的かつ膨大なアクセス数の創造にも成功している
今回は、勝手ながらAllabout社の施策事例をまとめさせて頂きました。
この施策はオリジナリティ・情報性が高い記事コンテンツを大量に保有しているWebサイト事業者や、ブロガーさんには参考にできる施策化もしれませんね。
※当記事で紹介している内容は、弊社独自の見解による物です。情報の正確性、有用性などについて一切の保証を与えるものではありません。 あくまでも参考としてご覧ください。