先日、サムライト株式会社が1.2億円を調達したニュース が話題となりました。
日本国内でもコンテンツマーケティングやオウンドメディア構想が流行りだし、早くも大型調達成功のニュースはこのマーケットを活発化させる非常に良いニュースでした。
今後、コンテンツマーケティングに関わる様々なビジネスや提供会社が日本でも生まれ、コンテンツマーケティング市場そのものが活発化していくことでしょう。
さて今回は、この業界が如何に変化していくのかを見るため、コンテンツマーケティングの最先端を行っている米国の業界を調べ、非常に大まかではありますが業界・サービスマップを作ってみました。
米国のコンテンツマーケティング業界マップ あくまでも私の独見でまとめた業界・サービスマップになりますので、正確かは分かりませんが、参考になれば幸いです。
コンテンツ制作に特化したクラウドソーシング コンテンツ代理制作サービスが存在する理由とは にも記載しましたが、より多くのコンテンツが必要となった現在、自社内で全てのコンテンツをなかなか出来る事ではありません。
しかし、ブログ向けの記事をプロのライターさんに依頼してはコストが合わず、コストを下げるために一般的なクラウドソーシングサイトで不特定多数の人に依頼しても品質が保証されず、Webライティングを意識した文章が必ずしも上がってくるとは限りません。
そんな市場のニーズから生まれたのがWebライティングに特化したクラウドソーシングサービスです。
Zerys は依頼したい文章の品質や、SEOを意識したWebライティング、ライターの実績などを指定してライティングタスクを発注する事が出来ます。Zerysは一般的なクラウドソーシングサイトとは異なり、執筆タスクに特化している為、タスク依頼画面ではWebライティング要件に関する詳細な指示をタスク内容を指定する事がはじめから出来るようになっています。
まさにコンテンツを必要としている企業に合わせたかのようなWebライティング専用のクラウドソーシングサービスが生まれています。
指定出来るタスク内容: ・文字数 ・アウトプット形式 ・キーワード(主にSEO向け) ・キーワードの含有率 ・価格(1文字単位の価格) ・文章のスタイル(ですます・でだ調等) ・主語の指定(当社、弊社、私、俺などの指定)
又、執筆に特化している事もあり、ライターのプロファイルデータベースがかなり充実しているのも特徴です。過去の実績だけではなく、ライティングテストの点数や得意なライティングカテゴリ・業界、得意な執筆形式、学歴・資格などが記載されており、ライティングを選ぶ基準として利用できます。
主なサービス例: ・Zerys ・Skyword ・Textbroker
▼ライティングクラウドソーシング企業の規模一覧
マーケティングオートメーションツール 顧客の初回接触から始まる営業活動を支援するマーケティングツールです。
ランディングページ制作機能から、ブログ設置、SEO、Eメールマーケティング、リード管理(CRM)、アクセス分析ツールまで搭載されているツールです。この領域ではプレイヤーの企業規模が比較的大きく、先日上場したHubspotやMarketo、IBM、Oracleなどが代表的な企業になります。
コンテンツマーケティングでは、見込顧客になる前の段階から顧客に接触し、アプローチに掛かる為、異なる様々な要望を持った顧客一人ひとりに個別で営業活動を行っていく必要があります。
この様な個別のマーケティング(One to One marketing)では、顧客情報の管理と、個々の顧客に適したマーケティング活動を都度実施し、それらを分析し改善していく必要があります。これらマーケティング活動は非常に複雑ですが、マーケティングオートメーションツールを利用する事により、工数負荷を最大限まで削減し、One To One Marketingを実施する事が出来ます。
主なサービス例: ・Marketo ・Hubspot ・Oracle
動画配信、最適化プラットホーム インバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングといったコンテンツを提供し、顧客に興味関心を引き出すマーケティング手法が注目される中、コンテンツの提供方法として「動画」が注目されています。
今まで動画の配信と言えばYoutubeやViemoなどのC2C型動画共有サイトが主流でしたが、これでは動画によるユーザーの反応を詳しく分析できませんでした。
そこで登場したのが、B2Bに特化した動画の配信、分析、最適化を行えるWebサービスです。
一般的な動画共有サイトとは異なり、動画の配信(ホスティング)はもちろんの事、配信後の分析機能がとても充実しています。
例えば、Wistia の場合、動画の再生率から動画再生が進むにつれユーザーの継続再生維持率がどの様に変化するのか、どの時点でユーザーが動画に飽きて再生を止めてしまうのか等、ユーザーが動画を目にした時に起こすアクションを数字として分析できます。
又、ユーザーの行動から分かってきた傾向から、再生ボタンの色や形を変更したり、サムネイルを変えてみたりとその場で最適化施策を反映したりする事が出来ます。また、アクセス解析機能を備えており、どういったユーザーがサイト内を回遊し、いつどのタイミング(ページ遷移)で動画を再生し、コンバージョンしたか等も分析する事が出来ます。
主なサービス例: ・Wistia ・vidyard ・vidcaster
▼動画マーケティングプラットホーム企業の規模一覧
マーケティングダッシュボード Googleアナリティクスやツイッター分析、PPC分析、ウエブマスターツールのメッセージ管理など本来は複数の画面をまたいで閲覧、操作するものを1つの画面で出来るWebサービスです。
コンテンツマーケティングの利用シーンとして、コンテンツ毎の評価分析を行う事が出来ます。この分析は、ページが検索エンジンからどう評価され順位が動き、どうソーシャルシグナルメディア上で拡散し、集客やコンバージョンに寄与したか分析します。
本来、この様な分析は、多数のツールとデータを駆使して作成します。Googleアナリティクスからアクセス解析データをダウンロードし、又ソーシャルメディアの値をURL毎に一つ一つ取得し、検索エンジンの順位を調べ、それら別々のデータをExcelで突き合わせ、現状を把握したり、因果関係を分析したりします。この作業には非常に多くの時間を要しますが、ダッシュボードツールを使う事で数クリックで欲しいデータを抽出し、現状把握や分析する事が出来ます。
主なサービス例: ・Moz ・Raventools ・Ginzametrics
▼マーケティングダッシュボードベンダーの規模一覧
ソーシャルメディア管理・マーケツール コンテンツマーケティングにとってソーシャルメディアでの拡散、管理、分析は重要です。
しかし、多数の記事を一つ一つ管理し、配信からその後のユーザー反応分析まで行うと多数の時間と工数を要します。
これは、サイト規模(コンテンツ公開数)が大きくなればなるほど、工数がかかる作業です。しかし、ユーザーと直接接触するソーシャルメディアだけに、その扱いは慎重に行わなければなりません。
そこで活躍するのが、ソーシャルメディアの管理・マーケティングに特化したツールです。
例えば、Hootsuiteの場合、TwitterアカウントやFacebookページのフォロワー管理や、予約投稿、ブログとの連動投稿、ユーザー反応の分析やレポーティングなどソーシャルメディア運用に関わる複数のタスクを1つの画面で行えます。
もちろんの事、国内外のメジャーなソーシャルメディアには対応しており、FacebookやTwitter、Mixi、Pinterest、Foursquare、Google+など複数のソーシャルメディアを1つの画面で一括管理する事ができます。
主なサービス例: ・Hootsuite ・Sprout Social ・Buffer
▼ソーシャルメディア管理・マーケツールベンダーの規模一覧
ネイティブアド配信プラットフォーム ネイティブ広告とは、インターネット広告の一種で、表示先のWebサイトに自然とデザイン的に同化し、ユーザーに継続的に記事情報を提供し続ける広告の事です。
一般的な広告とは異なり、ネイティブアドの目的はあくまでも集客数の増加にあります。
ネイティブ広告は、今まで存在した広告枠の規格に沿わず、配信先のWebサイトのデザインに同化します。見た目は、広告があたかもそのWebサイトのいちコンテンツの様に見えます。
ユーザーの多くはWebサイトに居続ける事を目的とはしておらず、あくまでも欲しい情報をより多く探す事に注目しています。
したがって、次見た情報が異なるサイトであったとしても、適切な形でユーザーの体験を遮ることなく、誘導出来れば、より多くのコンテンツをユーザーに提供し、顧客育成を図る事ができます。
これは、収益の多くを広告に頼っているWebメディアにとっても朗報でもあります。大きなバナー広告など過去の煩わしい広告とは異なり、ネイティブアドはその姿形を広告とは感じさせない形で表示します。
また、リンク先のページも販売色が強いランディングページでは無く、あくまでも情報を提供する記事ページが大半です。
ユーザーにとって見れば、従来の広告として映るのではなく、「関連する・おすすめの記事」と言ったリンクに移り、リンク先のコンテンツもユーザーの興味関心が合致するコンテンツが選別されている為、ユーザーは継続してコンテンツ情報を得る事が出来ます。
↑sharethrough のイメージ画像。広告とネイティブの対峙
主なサービス例: ・Outbrain ・Taboola ・TripleLift
▼ネイティブアド配信プラットフォーム企業の規模一覧
SEOツール ソーシャルやアプリが集客を大きく担う今でも、検索エンジンは強力な集客エンジンなのは変わりありません。
せっかく公開したコンテンツでも検索エンジンに対しコンテンツを正しく公開しなければ、獲得できる集客も逃してしまう事になります。
そこで必要となるのが検索エンジン最適化(SEO)です。検索エンジンからより良い評価を得られる様にWebサイトを改修していく施策の事です。
その際に活躍するのがSEOツールです。SEOツールにはコンテンツを正しく検索エンジンに認識させ評価を得られるよう、改善箇所を自動的に探し出し提案してくれます。また、SEOの評価基準でもある順位計測も備えており、検索エンジンからの評価を日々把握する事が出来ます。
主なサービス例: ・Brightedge ・Web CEO ・Positionly
▼SEOツール企業の規模一覧
クラウドソーシング 日本でも一般的になったクラウドソーシングもコンテンツマーケティングビジネスに大きく関わっています。
コンテンツの執筆やインフォグラフィックの作成、外国語記事の翻訳、テープの書き起こしなどコンテンツ作成をアウトソースする先として活躍しています。
oDeskのArticle Writing Jobs では日々多くの執筆依頼タスクが世界中から入っている事が分かります。
コンサルティング会社・代理店 Webマーケティングのコンサルティング会社も大きな方向転換をし始めています。
最近ではコンサルティング会社自体がYoutubeやBlogを利用し自社のマーケティングを積極的に行い、顧客獲得を図ろうとしています。
英国大手のWebマーケティング会社distilled は、PPC広告運用やSEOコンサルティングを中心にコンサルティング事業を展開していました。米国Moz社と業務提携を結び、英国のみならず米国にも参入し、欧米圏では有名なコンサルティング会社として名を馳せています。
そのDistilled社がコンテンツマーケティングにフォーカスし始めている事が垣間見えます。
The Time For Content Marketing Is Now では、SEOと共にコンテンツマーケティングが必要性が書かれており、また他社の成功事例をもとにその有効性が記載されています。
もちろん、エディトリアルコンテンツは作ること自体が非常に難しく、また従来のSEOが全く不要という事ではありません。
SEOの重要性は今後も続き、クローラーの理解を助けるようなWebサイトを構築していく必要はあります。しかし、ZMOTにもあるように、ユーザーの情報の接し方が大きく変化し、そこにGoogleのアルゴリズムの変化が重なり、SEO自体もコンテンツマーケティングを無視できない状況にあるのは事実です。
各国のコンサルティング会社もコンテンツ制作のノウハウを構築し、インバウンドマーケティングやコンテンツマーケティングのコンサルティングサービスを提供し始めています。
まとめ 今回は、ざっくりですが、コンテンツマーケティングビジネスに関わる業界・サービスを調べてみました。
まだこの他にも関係するサービスや業界があるかもしれませんが、一つ分かったのは、非常に多くのサービスベンダーやコンサルティング会社がコンテンツマーケティングに向いていると言う事でした。
元に多くの投資金がこれらベンチャー企業に投入され、期待されています。
まだ日本では話題になり始めたコンテンツマーケティングビジネスですが、成長分野として期待が持てそうなビジネス領域な印象を受けました。