米国10月9日、マーケティングオートメーションソフトウェア会社のHubspot社がニューヨーク証券取引所に上場しました。
当初の公開価格25ドルから大きく伸ばし、32ドルにてスタート。1株31ドルの場合、時価総額は9.41億ドルにまでになり、ここ最近続いているボストン発テック系企業の上場シンボルともニュースでは書かれるほどです。
Hubspotはインバウンドマーケティングの代名詞的存在であり、今回の上場はWebマーケティング自体がインバウンドマーケティングに傾いている一つの象徴なのかもしれません。
今回はHubspotとは何が出来るサービスなのか、簡単にまとめてみました。
Hubspot
Hubspot社とは2006年に設立されたマーケティングオートメーションソフトウェアを提供する会社です。
主力商品であるHubspotはブログやランディングページ、SEO、Eメールマーケティング、アクセス解析が1つのソフトウェアで行えるツールです。大きなマーケティング予算を持つことが出来なかった中小企業を対象に、1つのソフトウェアでWebマーケティングを一気通貫で出来るようにしたのがHubspotの始まりでした。
その多機能な機能とHubspot社自身が行っているインバウンドマーケティングも功を奏し、今では米国に限らず全世界で利用される超有名なSaaSプロダクトになりました。
Hubspotの思想
インバウンドマーケティングの先駆けであるHubspotは設立当初から、潜在顧客を優良顧客に創造していく事で収益の最大化を図るマーケティング手法を基本としています。
したがって、新しく追加される機能も顧客育成に関わる、インバウンドマーケティングに則するものであり、この基本概念は変わっていないません。
つい先月新しくリリースされたCRMも、あくまでも軸はインバウンドマーケティングであり、MarketingPlatformで獲得した顧客リードを育てていく一ツールとしての位置づけに見受けることが出来ます。
Hubspotの商品とは
Hubspot社の主力商品で、マーケティング全てをオールインワンで行えるように設計されたソフトウェアです。数多くの機能が備わっていますが、一部機能を説明したいとおもいます。
ブログ
コンテンツマーケティング施策で必要となるオウンドメディアとしてビジネス向けブログを開設できます。
よくある無料のブログサービスとは異なり、はじめから「ビジネス向けのブログ」として設計されており、企業のブログメディアとして適したサイト構成とテンプレートが用意されています。
又、画像の加工機能やスマートフォン向けHTMLテンプレート、多種多様な入稿テンプレート、SEO機能、SMM機能、コンテンツ管理機能などオウンドメディアを構築&運営するに必要なほぼ全てを備えています。
出典:http://www.hubspot.com/products/blog
SEO
インバウンドマーケティングに於いても検索エンジンからの集客は重要である事から、検索エンジン最適化を支援する機能も充実しています。
効果測定 … キーワードの順位を測定し、グラフで表示する機能。
キーワード調査ツール … 対策KWのSEO難易度と訪問数を表示。
競合サイトの順位比較 … 競合他社のWebサイトの検索順位を毎日取得。日次単位で勝敗推移を表示。
キーワードサジェッション … 対策すると良いキーワードを提案してくれる機能。
ページパフォーマンスレポート … ページ単位でSEOのパフォーマンスを分析。欠陥があれば警告してくれる。
トラフィックレポート … キーワード単位でオーガニック経由のトラフィックをレポーティングしてくれる。
ページ診断機能 … ページを分析し、SEO上の改善箇所を提案。
ソーシャルメディアマーケティング
作成したコンテンツの告知・拡散を目的としたソーシャルメディアへの投稿機能からソーシャルメディア上の見込顧客ユーザー管理、ソーシャルメディア上の反応分析(定性分析)、Webサイトに訪問した事があるユーザーのソーシャルメディアプロファイリングを備えています。
又カレンダーと連動したコンテンツ管理やソーシャルメディア分析の機能も果たします。
リード管理
メールアドレスなど獲得したリードを管理し、有効活用を支援する機能です。
単純な個人情報一覧管理ページではなく、ユーザー毎に過去の動きや反応を全て追うことが出来、一人ひとりに合ったマーケティング(One to One)を支援します。
又、強力なフィルター検索機能を備えており、狭いセグメントのユーザーのみを絞り特定のマーケティング施策を打つ事も出来ます。
他社のCRMともデータ連動ができ、既存の顧客情報と共に最適な営業をかける事ができます。
ランディングページ作成
多数のマーケティングキャンペーンを実施しようとした際、自ずとキャンペーン毎に適したランディングページが必要となります。
Hubspot Landing Page機能では、HTMLを記述すること無く、Wordドキュメントで文章を書く感覚(WYSIWYG)でランディングページを作成できます。又、ドラッグアンドドロップでレイアウトを変更したり、リード獲得に必要なフォームの自動設置、分析機能も完備しています。
CTA最適化
CTA(コンバージョンボタン)の効果測定、改善機能です。
色や装飾、文言、大きさなどを自由に選択し、ボタンを作成できます。設置後、ボタンによるクリック数やコンバージョンはすべてボタン毎に計測され、より効果が出るCTAのパターンを探し出す事が出来ます。
出典:http://www.hubspot.com/products/calls-to-action
その他、EメールマーケティングやCRM同期、CMS、分析機能があり、Hubspot1つですべてのWebマーケティングを完結できる程の機能を有しています。
又、先月米国で開催されたINBOUND(インバウンドマーケティングのカンファレンス)でHubspot社が発表した新商品CRMとEメール管理ソフトウェアを合わせると、現在は3商品を提供しています。
インバウンドマーケティングがスタンダードに!?
2012年前後から日本でも「インバウンドマーケティング」という言葉をよく目にするようになりました。
スマートフォンとソーシャルメディアの普及に伴い、ユーザーの情報の接し方が劇的に変化し、消費のスタイルそのものを変えてしまいました。今コンバージョンする直前のユーザーのみを集客するマーケティングでは、以前のような売上拡大は見込めなく成ったとも言えます。
ここで注目されたのがインバウンドマーケティングです。しかし、インバウンドマーケティングは顧客を創造する事で収益最大化を図る手法である為、潜在顧客から顧客へと育成するのに多大なる時間とコストがかかります。
また、初回接触から最後のコンバージョン、そしてリピートまで永遠と顧客を追い続け、最適なコンテンツやオファリング、告知を個別に行う必要がある為、専用のツールが必要でした。
そこで登場したのがマーケティングオートメーションツールです。初回接触から顧客の追跡、都度のオファーメールの送信、顧客の管理などを一気通貫で出来るツールベンダーが生まれ、市場を席巻し始めています。
2012年ころから大手ベンダーも次々にマーケティングオートメーション企業を買収したり、今回のHubspotやMaketoのような専門ベンダーが上場し始めています。
まだマーケティングオートメーションの波は始まったばかりですが、この日本でも近い将来スタンダードとなり、より顧客に合わせたコンテンツの提供が求められるのかもしれません。