(この記事は2014年9月に掲載されたものを2019年6月に加筆・修正したものです)
ここ最近コンテンツマーケティングの注目度が高まり、ベンダーやツールが出始めています。
主に英語圏、とりわけ米国発のツールが流通していましたが、最近では日本国内でも開発&提供が始まっており、日本語で安心して使えるツールを選ぶことが出来るようになりつつあります。
今回はコンテンツマーケティング施策を行う上で便利なツールを紹介したいと思います。
なお、コンテンツマーケティングに関してはコチラをご覧ください⇒コンテンツマーケティングとは? よくわかる解説と押さえるべきポイント
目次
○コンテンツマーケティング施策は運用が大変
○ワークフロー・タスク管理系ツール
∟Backlog
∟チャットワーク
○効果測定系ツール
∟Market Engine
∟Raven Tools
∟keywordmap
∟Content Force
○まとめ
コンテンツマーケティング施策は運用が大変!
インターネット広告やSEOなどとは異なり、コンテンツマーケティングはマーケティング調査、企画の後に、最も工数のかかる「コンテンツの作成」という工程があります。
実際に頭で考え、手を動かしてコンテンツを作成していただくと実感できると思いますが、予想以上にコンテンツを作るという作業は工数がかかるものです。
ライティングにおいても毎日継続して様々なテーマに合わせて記事を書き、コンテンツ内容を補足する画像を準備、そしてCMS上で公開するという作業は慣れても多くの時間を要します。
また、直ぐに結果が出づらいコンテンツマーケティングは、どうしても決裁者の理解が無いと効果が出る手前で打ち切りという判断に陥ってしまうケースが大いにあります。
コツコツと丁寧にWebサイトをコンテンツで育てていくには、多くの工数(予算)確保とライターの協力、決裁者の理解が必要なのです。
参考:コンテンツマーケティングが失敗する4つの理由
ツールで解決出来ること
予算の確保や上司、決裁者の理解は説明や説得が必要ですので、「ツール」では直接解決出来ませんが、それ以外であればツールを上手く利用することで解決できます。
ワークフロー
コンテンツマーケティングが最も時間を要するのがワークフローです。
特にコーポレートサイトやブランドサイトなどで展開するコンテンツの場合、マーケティング部署とは別に法務や広報にもコンテンツ案の確認&承認を取らなくてはならいケースが多いです。
また、Webサイト上に記事を多数投稿し見込・潜在顧客層を獲得していくタイプのコンテンツマーケティング施策の場合、コンテンツの数が重要KPIのため、1日に数記事分の確認を依頼しなければなりません。
メールやExcelで管理すると、どのコンテンツがいつ承認されたか、いま誰がライティングしているのか複雑かつ煩瑣になり、管理が出来なくなる、もしくは「管理」という本来時間をかけるべきでは無い箇所に多くの時間を割いてしまうこともあります。
効果測定
コンテンツマーケティング効果測定の指標が複数存在するため、データ集取だけでも多くの時間を要します。
リスティング広告の場合は、管理画面上からimpやCTR、CPC、CV、CPA等をワンクリックで確認でき、数分でおおよその状況は把握できます。またSEOにおいても、最も重要指標が「検索順位」のため、順位チェックツール等を用いて順位をモニタリングすれば事足りるでしょう。
しかしコンテンツマーケティングの目的は新規潜在顧客層との接触および育成&ファン化のため、これといって1つのみの重要指標が存在しません。複数の数値をかき集め、各数値の変動からコンテンツマーケティングの成果を想定していく必要があります。
したがって、効果測定を行うためには複数の数字を様々な形に加工し、つなぎ合わせなければなりません。このような作業は複数のツールを横断しながらExcelで行うのが基本であり、多くの工数(時間)を要する作業です。
手軽にチェックできないため、結局は後回しになり、重要な効果測定業務を疎かにしてしまうケースがよくあります。
ここで活躍するのが効果測定用ツールです。
異なる複数の効果測定データを自動的に収集し、加工&表示してくれるツールを利用すれば毎日の効果状況把握は簡単に出来ます。
これにより、本来人間(担当者)が行う成果の判断と時期戦略の立案といった「考える」所により多くの時間を割くことが可能になります。
機械に出来ることは機械に任せ、人間しか出来ない仕事に時間を割くためにも効果測定ツールの導入は必須でしょう。
ワークフロー・タスク管理系ツール
Backlog
Backlogとは有料のプロジェクト管理ツールです。
元々はプログラミングのチケット駆動開発向けに開発されたツールであり、今やWeb事業会社であれば大半の所は利用しているぐらい有名なツールです。
Backlogの長所は、誰でも学習が必要なく使える直感的で簡単なインターフェースと、実用的な使い方にも応える多彩な機能にあります。
本来はプログラミングのチーム開発向けツールとして開発されたため、スケジュール機能やバージョン管理、バーンチャート機能など複数人で開発するために必要なワークフロー機能を備えています。
コンテンツマーケティング施策では「課題機能」をフル活用!
コンテンツマーケティング施策では主に「課題管理」を利用します。「課題」とは言わばタスクと同義語であり、Backlogを利用すれば、1つの課題を複数人で解決することが可能になります。
コンテンツマーケティングでは、この「課題」を「1記事」として見なします。
まず、マーケティング施策の立案者(Webマーケ担当者)がコンテンツ案を考え、それぞれのコンテンツ案をBacklog上で課題として登録していきます。
課題登録が完了後、コンテンツ案の確認&承認を取るのに必要な人物(上司や法務担当等)に課題をBacklog上から送信します。課題を受け取った確認者(上司など)は各コンテンツ案の内容を確認し、コメントで承認、非承認を伝え、BacklogからWebマーケ担当者に送り返します。
その後、Webマーケ担当者はBacklog上から承認をとれた案件をライターやクリエイターに送信(発注)し、コンテンツ制作に入ります。
上記作業ではメールやExcelでも可能です。しかしながら、メール等でやりとりを行うと、コンテンツ案件毎にやりとりや承認履歴、修正指示を追うことが難しく、また案件単位で進捗を一覧化出来ないため、管理業務に多くの時間を割くことになります。
Backlogを利用することにより、それら管理業務が簡略化され、よりスムーズにコンテンツの承認、受発注、公開作業が出来ます。
・参考:Backlogの料金
チャットワーク
チャットワークとはブラウザベースのコミュニケーションツールです。
MSNメッセンジャーやSkypeと同じく、登録した友達とチャットが出来るサービスです。
チャットワークの便利な点は、手軽に使える「軽さ」とタスク機能です。
チャットワークはWebブラウザベースのチャットサービスのため、普段利用しているWebブラウザから簡単にアクセスし、チャットすることが出来ます。いちいち専用のソフトウェアをダウンロードし、インストールする必要がありません。
IDとパスワードさえあればどのパソコンやデバイスからも同じ環境にアクセス出来、すぐにコミュニケーションを始める事が出来ます。
タスク機能
チャットワークには「グループチャット機能」と「タスク機能」があります。
チャットワーク上でコンテンツマーケティング関係者全てと友達になり、グループチャットに招待します。
そのグループチャット内でタスクを担当者に対して割り振り、進行状況などをフローとなるチャットを通して確認し合います。
タスク機能で案件の確認や発注作業の管理を行い、コメントや修正指示はチャット機能を利用する事で大まかなワークフローは構築できます。
効果測定系ツール
コンテンツマーケティングの効果といっても様々なKPIが存在します。
必要となる全ての値を毎日収集するのは時間がかかり、それら数字を読み解くのも大変です。最低限抑えておくべき数字をツールを利用し確認出来るようにしておきます。
Market Engine
Market Engine(マーケットエンジン)は自社・競合サイトの検索順位を自動取得し、SEOパフォーマンスからタスク進捗まで一元管理できるマネージメントプラットフォームです。
Market Engineには多数の効果測定機能がありますが、コンテンツマーケティング施策に活用できるのは以下の機能になります。
検索順位のモニタリング
指定したキーワードのSEO検索順位を毎日取得し、レポーティングしてくれます。
検索エンジンは今やとても重要な流入元です。コンテンツマーケティングも検索エンジンを無視することは出来ません。獲得したい見込顧客が検索するであろうキーワードの順位が何位に位置しているのかはコンテンツマーケティングの重要効果指標になります。
コンテンツを公開しても順位が圏外であれば、検索エンジンにまったく評価されていないことが分かり、ただちに改善施策を立案し実施する必要があります。
この順位データの取得ですが、かなり時間がかかる作業になってしまうこともあります。手動でひとつひとつ確認するのは現実的ではありませんが、専用ツールなどを常に起動させておくのも費用がかかります。
Market Engineであれば登録、追加した重要キーワードの検索結果データが毎日記録されます。キーワード単位で順位データ(推移)を確認できるので、自社サイトのどこに変動があったのかを即時に発見することが可能です。また、過去1年まで遡り(エンタープライズプランは2年)、登録キーワードごとの検索結果データが保存されるので、自社サイト・競合サイトの検索順位変動観測だけではわからない新興サイトの発見が可能になります。
一々取得する手間が完全に省略できるので、工数削減に大きく貢献することでしょう。
キーワード・ページをグルーピングして分析が可能
なお、Market Engineでは複数のキーワード・ページグループを作成することができます。
サイト構造、各カテゴリ、注力キーワード、各キーワード領域(地域)といったグループを作成し、モニタリングすることで、グループごとに効果検証や変動調査を行うことが可能になります。
ピンポイントでモニタリングが実現できますので、調査分析の工数を大幅に削減できるでしょう。
GAとSCの連携:レポーティング工数の削減
Market Engineでは『Google Analytics』と『Google Search Console』を連携させることで、より正確な調査・分析を実現しています。
『Google Analytics』×『Google Search Console』×『検索順位』を一元管理することで、これまで効果検証やレポーティングに掛かっていた業務時間が大幅に短縮されます。セッション数や直帰率などの検索トラフィック、検索順位推移、クリック数やインプレッション、CTRといったコンテンツマーケティングの効果検証に必要不可欠な指標のレポーティングがワンクリックで出力されるというのは、工数削減に大きく寄与することでしょう。
競合状況の把握
Market Engineは自社Webサイトのデータだけではなく、指定した競合Webサイトの検索順位も取得できます。また、キーワードグループやページグループなど、細かいセグメントを設定するだけで、自社・競合の比較が可能になります。
重要キーワードの順位を競合他社と比較することで、競合他社との集客数(ポテンシャル)の差を把握し、自社の課題を明らかにすることが可能です。戦略を立案する上で大いに活用できるでしょう。
参考サイト:Market Engine
Raven Tools
Raven toolsとは米国製のマーケティング統合管理プラットフォームです。
SEOのデータ収集から、ソーシャルシグナル比較や、リスティング広告データ、アクセス解析、ソーシャル投稿、リスティング広告調整操作など、本来は複数のプラットフォームを横断的に利用しなければならないことを、すべて1つのプラットフォームにまとめることができます。
Raven toolsはあくまでも統合プラットフォームであり、Raven toolsで何か新しいことが出来る訳ではありません。Google AnalyticsやAdwords、Facebook等の管理画面からそれぞれ取得出来るデータをユーザーに代わって取得し、加工してくれます。
※ログイン作業が面倒でなければ、複数回各管理画面にログインし、横断的にデータを取得&Excelで加工すれば事足りるかもしれません。
キーワードランキング情報
Raven toolsでは検索エンジン上のキーワード順位を閲覧することが出来ます。
キーワードと順位、クリック数が一覧化されひと目で順位状況を確認することができます。
しかしながら、Market Engineと比較するとRaven toolsの順位データはGoogle Search Consoleの検索クエリーデータをそのまま表示しただけになるため、ユーザー側で指定したキーワードの順位を正確に取得することはできない可能性があります。
参考:米Raven Tools、Googleオーガニック検索順位データの提供中止を発表
レポート生成ツール
Ravent社が今最も力を入れているのがレポート作成ツールです。
▼サービスリリース紹介ムービー
紹介ムービーの中では代理店による利用をメインとして設計している様に映ります。
レポート生成ツールは決められたレポート内容を定期的に自動生成し、メールなどで送付してくれる機能です。Reven toolsはPPC広告やアクセス解析等の管理画面を横断的渡り、データを収集&加工出来る為、Webマーケティングに必要なレポートをワンクリックで作成してくれます。
コンテンツマーケティングのみならず、リスティング効果やソーシャルメディア効果なども合わせてレポーティングしてくれます。
keywordmap
keywordmapは、SEOやコンテンツマーケティングの効果を最大化させる便利な支援ツールです。
自社サイトや競合サイトの調査分析をサポートしたり、コンテンツの設計支援、PPC広告の調査分析、ユーザーニーズの抽出・可視化などがおもな機能になっていますが、視点を変えれば、効果測定のツールをとしても活用することができます。
【SEO】自然検索獲得キーワード
keywordmapの一機能「【SEO】自然検索獲得キーワード」は、自社および競合サイトが自然検索で獲得しているキーワードを分析する機能です。調査したいドメインのサイトURLを入力すると、そのWebサイトが獲得している(上位表示される)キーワードが一覧で抽出されます。また、キーワードごとに検索件数やCPC(クリック単価)、競合性、想定流入数、そしてそのキーワードの出どころであるランディングページが同じように表示されます。
なお、抽出したデータは、CSV形式でダウンロードできるので、そのままレポートとして利用することができます。
このことから、獲得しながらも見落としていたキーワードや、多くの検索流入を得ているコンテンツの発見に役立つのですが、一方で効果検証として使うことも可能です。
たとえば、コンテンツマーケティングの一環として推進しているオウンドメディアにおいて、ある一定の期間ののち、Webサイト全体でどれくらいキーワードを獲得できたかどうか確認することができます。もちろんそれぞれのキーワードによりますが、ひとつでも多く獲得できれば、それだけ検索流入口が増えるので、全体的な獲得キーワード個数を把握しておくことは大切でしょう。キーワード個数が減っていれば、それ相応の対策をとる必要があります。
また、この【SEO】自然検索獲得キーワード機能では、Webサイト全体だけでなくWebページ単位で調査することが可能です。つまり、作成したコンテンツが、狙った通りのキーワードを獲得できているかどうか、およびそれらキーワードの順位の変動、そして予期せず獲得したキーワードについても確認することができます。
キーワードベースで、作成したコンテンツの効果検証ができるので、リライトの判断も迅速に行うことができるでしょう。
もちろん、上述した方法でリライトの成果が出ているのかどうかについても知ることができるので、コンテンツ作成からリライトまでこの機能を挟みながら、効果検証を行ってPDCAサイクルを回すことができるようになります。
(※コンテンツ作成・リライトの際には、keywordmapでユーザーニーズや競合を分析すると、より効果を高めることができます)
参考:keywordmap
ContentForce
ワークフロー・タスク管理機能
各コンテンツ(記事)のライティング前の確認&承認作業から、ライティング後の記事内容の承認や修正指示を行うことができます。
コンテンツマーケティングに特化したプラットフォームのため、コンテンツマーケティング上で発生する承認やフロー毎に案件(タスク)の進捗状況を一覧で確認することができます。
また、承認作業や修正指示出しはワンクリックで直感的に行えるので、普段の業務に負荷を掛けずにコンテンツマーケティング施策を各自実施できます。
アクセス状況
すでに導入しているGoogle Analyticsと連動できます。
▼ダッシュボード
Webサイト全体の流入状況を確認できます。サイト全体の集客数の変動をひと目で把握できます。
▼コンテンツマーケティング箇所の総計状況
Google Analyticsのデータからコンテンツマーケティングを実施したページのみのデータを抽出し表示します。
これにより、膨大なアクセス解析データから純粋なコンテンツマーケティングによる成果を把握することができます。
▼検索順位データ
コンテンツマーケティングの主軸キーワードの順位を毎日モニタリングし、レポーティングしてくれます。
膨大なキーワードの順位状況をひと目で理解出来るよう、キーワードのグルーピング機能及び積み上げグラフでの表示ができます。
そのほかソーシャルシグナルのデータ計測やページ単位のアクセスデータを閲覧&ダウンロードすることが出来ます。
まとめ
コンテンツマーケティング施策は、PDCAサイクルが最も求められるマーケティング手法ではないかと思います。
時間と工数がかかる上に効果が出るまでに多くの時間を要するのがコンテンツマーケティングです。
しかし、辛抱強く見込顧客に対して良質なコンテンツを提供し続け、ユーザーの反応を分析&改善することにより、徐々に目に見える効果が生まれ始め、企業にとって重要なマーケティング施策になっていきます。
ツールをうまく利用し任せられるところはすべて任せ、人間しか出来ない仕事に時間を割き、良質で顧客に喜ばれるコンテンツを作っていきたいものですね。