オウンドメディアを長年運営すると、サイト内に貯まった記事ページからの内部リンク効果で、一覧ページやタグページの検索順位が上昇し、流入数が増え始める事があると思います。一定のサイト規模に達すると、記事ページと合わせて一覧ページの流入貢献度が高まります。
しかし、この「一覧ページ」は何も施さないで置くと、SEOに於いてネガティブとして捉えられる「重複コンテンツ」や「類似コンテンツ」と評価され、結果的に本来得ることが出来る流入を逃してしまう事もあります。
今回は、Googleに正しく認識される為の、ページ送り(ページネーション)に対するSEO施工をまとめてみたいと思います。
ページ送りに対するSEO施工
【その1】「prev/next」とcanonicalを併用

複数に分割されているページ送りを、ページ個々でインデックス登録させる方式です。rel=next/prevを用いる事で、連続して繋がるページの関係性を検索エンジンに伝えます。
最もオーソドックスな施工であり、価格.comやamazon.comなどSEOを企業戦略として取り組んでいるWebサイトの多くはこの方式を採用しています。
Googleが公式的に推奨しており、多くのWebサイトが実装反映しています。
又、各ページを個々でインデックス登録させる為、例えばユーザーがページ送りの2ページ目に含まれているキーワードと同じ単語をGoogle検索した際、検索結果に表示されるのも2ページ目になります。
prev/nextで各ページの関連性を指定する際、そのURLを正規化する事はできません。たとえGoogleBotがアクセスしたページ送りのURLにPHPSESSIONなど不要なパラメーターが付与さていても、prev/nextではそのパラメーターを引き継ぐ必要があります。この際、重複インデックス登録を排除する為に、各ページの正規化されたURLをCanonicalで指定します。
参考:
・[Google公式]コンテンツをページ指定する
・[Google公式]正規 URL を使用する
【その2】View-All方式

全アイテムを1つのページに掲載する「View-Allページ」に対して、複数ページに分割された個々のページ送りからCanonicalを向ける施工方法です。
Webサイトの特性上、各一覧ページに表示する全アイテム数がそれほど多くない場合、View-All方式が利用でき、SEOとしての効果もより受ける事が出来ると考えられます。
この方式はページネーションに限らず、様々なシーンで利用できます。
例えば、ホテル評判サイトがあり各ホテルに対するユーザーの口コミが投稿できるサイトがあるとします。ユーザーが投稿する口コミ文章が平均的に少ない場合、それら口コミを個々のページとしてインデックス登録する事はページの品質の観点からも最善とは言えません。
この際利用できるのがView-All方式です。個別の口コミページから全口コミを一覧で掲載したページに対しCanonicalを向ける事で、低品質コンテンツ(1口コミしか掲載されていないページ)を排除する事が可能です。
その他に、個別の口コミページを初めからインデックス登録させない、もしくはそれらページへのクローラーアクセスを予め禁止するといった方法も取れます。
参考:
・View-all in search results
【その3】1ページ目のみインデックスを保持し、それ以降は削除

1ページ目のみをインデックスに登録させ、2ページ目以降のページネーションはインデックスから削除する施工方法です。
一覧ページで獲得するキーワードを、そのページが(タイトル文や内部リンク等を通して)主として強調しているキーワード以外は順位上昇を図る必要性が無い場合、あえて2ページ目以降をインデックス登録から外します。
この施工方法は、ここ2年くらいから大手Webメディアで見られる様になり、特にオリジナルコンテンツを大量に保持し、記事ページ1枚が獲得するキーワード数(幅)が多いWebサイトでは利用される傾向にあります。
又、各Webサイトは独自のSEO戦術を反映しており、あるWebサイトでは2ページ目以降はRobots.txtを用いてクローラーの回遊を排除する所もあれば、2ページ目以降のアクセスは許可し、クローラーの回遊導線としての機能は維持するWebサイトもあります。
Googleは公式的にこの手法を推奨してはおらず、独自のSEO戦術でもあります。
【その4】1ページ目にすべてのページ送りインデックスを統合する

複数のページ送り(ページネーション)のインデックスを1ページ目にCanonicalで統合する方法です。
rel=canonical 属性に関する 5 つのよくある間違いにも記載がある様に、1ページ目にCanonicalを向ける事はGoogleも「間違い」として記載しています。
本来のCanonicalの仕様から考えると、確かに分割された全アイテムの一部しか掲載していない1ページ目に他ページ目からCanonicalを向ける事は、Canonicalの正しい利用方法では無いように考えられます。
この議論は多くのWebForumでもなされており、Googleの非公式かつ正常の使い方では無いため、懐疑的な意見が多いのも事実です。
しかし、実際の検索結果を見ると、Googleアルゴリズムはある程度のテーマ一致が認められる場合、Canonicalによる統合案を認め、インデックスを再編しています。再編されると、Canonical統合先のテーマ性が更に強調される為か、複数のケースで順位上昇が発生する事もあります。
日本国内でも、SEOを企業戦略として取り組んでいる一部Webサイトではこの方式をとっており、全く異なるページからのCanonicalでもGoogleが処理し、結果的に順位が上昇したケースもあります。
Googleの公式的な利用方法では無いため、いつしかこの手法で上昇していたキーワードの順位が止まる可能性もあります。
参考:
・What is the best solution for pagination- rel=canonical or “noindex, follow”?