昨年の12月頃から日本国内でも適用が開始されたベニスアップデートですが、このアップデートによりKPIとしての検索順位が殆ど意味を成さない物になってきました。
弊社サービス「ContentForce」に於いても、Webブラウザで確認する順位とContentForce上の順位に大きな違いが出始めています。
今回はベニスアップデートによる順位計測に関して調査をしてみました。
地域によって検索結果が大きく異なる
東京、大阪、名古屋のGeolocationを持った3つIPアドレスから、同じキーワードのGoogle検索結果を取得してみました。
※2015年2月12日現在
検索ワード「アルバイト」のSERPs
1位のURLから、地域毎に異なる結果となりました。
又、3位以下には、検索した地域のIPアドレスに合わせた地域別のカテゴリページが表示されています。
SEO激戦区であり、変動が少ないビッグワードでも、検索する場所によってその順位は全然異なる検索結果となるようです。
<検索ワード「粗大ごみ 処理」のSERPs
このSERPsは検索する場所に大きく異なる結果となりました。
上位順位には検索元地域の市区役所のWebサイトが表示されており、ユーザーが居る場所に合わせた粗大ごみの処理方法に関するコンテンツを提供出来ているように見受けられます。
この結果を見る限り、Googleはユーザーの場所を極めて高く特定出来、その場所を認識した上で適切なコンテンツを選び出すアルゴリズムを作り上げたのだと思います。
検索ワード「引っ越し 見積もり」のSERPs
「引っ越し」という地域との関係が高いと思われるキーワードでしたが、地域毎による検索結果の変化はありませんでした。
Googleサジェスト上では「引っ越し 見積もり 名古屋」など地域ワードとの掛け合わせ検索クエリは発生しており、このキーワードと地域属性は密接な関係にあるとGoogleは認識出来ると考える事が出来ますが、結果的にはベニスアップデートによる順位変動は発生していない様です。
検索ワード「看護師 求人」のSERPs
一部順位の入れ替わりが発生していますが、ほぼ地域間の変化は無く、ベニスアップデートによる順位調整は受けていないキーワードと思われます。
看護師の求人という地域的な制約があるキーワードにも関わらず、特定地域に特化した業者が優遇されるような順位は今のところ確認できませんでした。
あくまでも考察ですが、「引っ越し 見積もり」や「看護師 求人」の場合、特定地域に特化した業者(Webサイト)が存在しない為、ベニスアップデートによる地域に特化したWebサイトを選定する事が出来ない状況に有るのではないかと考えられます。
アルバイトや粗大ごみ処理など特定地域に特化したWebコンテンツが多く存在し、十分に地域単位でSERPsを変化させる元がある為、ベニスアップデートが作動している可能性もあります。
その他様々なキーワードで調査しましたが、地域属性が強いとGoogleが認識しているキーワード以外は、地域ごとに順位の違いは見られませんでした。(調査n数:108)
今後のSEOのKPIとは?
以前から、ひとつの考えとして「検索順位はSEOの効果指標にな成り得ない」という考えがありました。
しかし、ある一定のサイト規模(ページ)が無い限り、多数のテールワードで集客を安定的に図るのは非常に難しいのが現状です。
又、コンバージョン数や売上高は、SEOによる集客力以上にWebサイト内のユーザービリティに大きく影響される為、順位を見ずに収益のみを見ていてもSEOの効果は正しく測定する事はできません。
したがってSEO施策の効果測定を正しく行うには、「検索順位」と「オーガニック流入」+「オーガニック経由の収益」の3つの指標で測るのが適切でしょう。
参考:Googleアナリティクスで地域別の流入数を調べる方法[ページ下部に記載]
ベニスアップデートに気をつけなければならない業種・キーワードとは
事業そのものが物理的な場所や地域に影響を受ける場合、SEOのキーワード順位もベニスアップデートによって地域ごとに変化すると考えられます。
例)不動産比較サイトやグルメサイト、美容室やヘアサロン、病院検索、宅配業者のWebサイト
又、1ヶ月前まではベニスアップデートによる影響をそれ程受けていなかった3語掛け合わせワード(スモールワード)も、ここ最近に成って顕著に影響を受ける様になりました。
↑一部ワードでは順位計測する場所(Geolocation情報を持ったIPアドレス)で圏外→10位以内→圏外を繰り返す現象が発生。
以上の様に、検索する場所やユーザーの検索設定によって順位が大きく異なる為、正確な順位を測る事がそもそも出来ない環境にあると思います。
順位のみを効果KPIとして追うことが意味を成さなくなった現在、順位以外の様々な指標を横断的に見て、そこからインサイトを発見し、効果の有無を判断するスキルが必要となってくるのでしょう。