被リンク調査ツールOpenSiteExplore に新機能「Spam Score」が搭載されました。
説明ブログ記事 によると、「Spam Score」とはスパム被リンクとして疑わしい度合いを測る数値指標であり、この数値を用いる事でサイトが受けている被リンクの中から悪質なリンクを探し出すことが出来るとの事。
使い方によっては被リンクペナルティの解除をよりスピーディーに、正確に行う事が可能です。又、定期的にOSEのデータとSpamScoreをモニタリングする事で、ネガティブSEOからの自社サイトを保護する事も可能です。
今回はOSEのSpamScoreの説明と、被リンク解除に於ける自動化に関して説明したいと思います。
OSEの「Spam Score」 SpamScoreとは、自社サイトが受けている被リンクの中からスパムリンクとして疑わしい度合いを表す数値指標です。
OSE にアクセスし、自社サイトのドメインを検索してみましょう。すると、以下のように被リンクが一覧で表示されます。
一覧化された被リンクURLの横に表示される0~17の数字がSpamScoreです。
Mozの説明によると、下記レンジでスパム度合いを測る事が出来るとの事。
■低リスク – 0~4の間 ほぼリスクが無い被リンク。自然的に発生した被リンクであり、Googleによって評価されるリンクの可能性が高い。 スパムリンクである可能性は7.5%未満と極めて低い。
■中リスク – 5~7の間 一部疑わしいリンクはこのレンジに該当する。 スパムである可能性は11.4%~30.6%の間である。SpamScore「7」と表示されるリンクは目視で確認した方が良いだろう。
■高リスク – 8~17の間 スパムリンクの可能性が非常に高い。 SpamScoreが11以上になると、90%以上の確率でスパムリンクである。
各リンクの詳細ページを見ると、なぜそのSpamScoreが付与されたのか詳しく記載されています。
上図は、SpamScore8と評価されたドメインの評価詳細ページです。17個の判断指標からScoreが導き出されており、そのドメインがどの判断指標に該当しているのか確認出来ます。
過去Web上に作られてきたSEO向けの衛星サイトや低品質リンクとしてGoogleに認識されたサイトをMozが独自に標準化し、判断指標として仕組みを組んだのだと思われます。
一部、私の見解も踏まえて説明します:
■Low MozTrust or MozRank Score Moz社が独自で算出するリンク評価値「MozTrust」および「MozRank」が低い場合、スパムリンクの可能性があると認識するようです。 以前、検索順位とMoz評価値の相関関係を測りました が、過去Moz社はGoogleの評価(アルゴリズム)を研究し、Googleと近いリンク評価アルゴリズムを保有しています。そのMoz評価値があまりにも低い場合は、Googleも低品質リンク(スパムリンク)として認識する可能性が高いとしているのではないかと思います。
■Thin Content 被リンク元ページ(サイト)のコンテンツが少ない場合、これに該当します。 Web上に溢れているSEOの順位上昇を目的としたサテライトサイトは、人間が見る為には設計されていません。したがって、必要最低限のページのみを用意し、リンクジュース(PageRank)を渡す為だけにサイトが作成されます。この為、自ずとサテライトサイトのコンテンツ量(ページ数)は少なく、それらコンテンツは品質も低い傾向にあります。
以上から、Moz社は独自のアルゴリズムで各ページのコンテンツ量を測り、Thin(薄い)コンテンツを多数保有しているサテライトサイトはこのフラグに該当します。
■TLD Correlated with Spam Domains SEOを目的とした衛星サイトは、極力コストをかけない形で作成されます。ドメインもコストの一部であり、価格が安いドメインはスパム衛星サイト用としてよく活用されます。
例えば、一時期格安で登録できた.asiaや.bizなどがその例でしょう。もちろん、.asia自体が良くない訳ではありません。他の疑わし項目にも該当し、尚且つこのドメインTDLの判断フラグにも該当する場合、スパム被リンクの可能性が更に高くなるという事でしょう。
■Domain Name Contains Numerals ドメイン名に数字が入る場合、この評価フラグに該当します。 このフラグの説明文には「スパムリンクを発するサイトドメインの多くが数字を含む」とあります。これもTLDの判断フラグと同じく、過去の傾向を見ると衛星サイト用に取得されたドメインの多くに数字が含まれていた為だと思われます。
なぜ、数字が含まれるのかは分かりませんが、衛星サイトのコンテンツテーマをリンク先のサイト(キーワード)と近い、とGoogleに認識させる為にはドメインにもキーワードを含める手法が存在したのかもしれません。しかし、すでに対策キーワードを含んだドメインは取得されていた為、あえて数字を含めて取得したのかもしれません。
■Site Mark-up is Abnormally Small HTMLやCSS、JavaScriptなどを用いた装飾がさほどされていない場合、このフラグに該当します。 多くの衛星サイトは検索エンジンのみを対象としている事から、見栄えにはこだわらない作りになりがちです。ほぼテキストのみが表示され、たまにアンカーリンクで目的のサイトにリンクが向いているだけといった非常に簡素なHTMLで組まれます。
その他様々な評価フラグがあります。 存在するスパムリンク(サイト)をMoz社が分析し、共通点を割り出した結果、上記の様な17個の評価フラグが出来たのでは無いかと思われます。
Moz社はどの様にして「スパムスコア」を定義したのか? ブログ記事 によると、ドメインを50万個用意し、そのドメイン名に含まれるキーワードを抽出。そのキーワードでGoogle検索した際、1位~10位のページにランクインしないドメインをスパムとしてフラグを立てているとの事。
フラグを付け終えた50万ドメインからフラグ毎にある共通点を定量的に抽出し、その共通点をアルゴリズムに落としたのでは無いかと思われます。
尚、Moz社はこの調査を2014年の11月に実施しており、最新のペンギンアップデート(3.0)に準ずるものであると謳っています。
この「Spam Score」をどう使うか? スコアの判断指標は分かりましたが、どういった場合に利用すれば良いのでしょうか。
■不自然リンクによるGoogleからのペナルティを解除 現在、Google社は不自然なリンクを大量に受けているWebサイトに対して、検索順位を下げる制裁(ペナルティ)を加えています。
参考:このサイトへの不自然なリンク
ペナルティを受けた後、Webサイトの持ち主は不自然なリンクを取り外した上でGoogleに再申請を依頼する事ができます。この際、Webサイトオーナーは自ら被リンクを精査しなければなりません。Google社はどのリンクが低品質であるかは開示しない為、思い当たるスパムリンクをひとつひとつ探し、取り外す作業が必要です。
精査対象となるリンクが100個未満であれば、数時間で取り外し作業が終わるかもしれません。 しかし、ある程度運営している中堅以上のWebサイトであれば、数万~数十万のリンクが付いています。数万もあるリンクをひとつひとつ目視で確認する事は途方も無い作業であり、現実的ではありません。
ここで活躍してくれるのがこのSpamScoreです。SpamScoreである程度ソートし、疑わしいとOSEが判断したリンクのみに絞って精査する方がより効率的に出来ます。
もちろん、SpamScoreでソートしたリンクのみを取り外し若しくは否認しただけでGoogleのペナルティを解除できる訳ではありません。
しかし、数万ものリンクを何の手がかりも無く確認していくより、Googleの判断指標と近い位評価でソートした順に見ていく方が効率的に精査出来ます。
■Webサイトやドメインのデューデリジェンス 最近では、既に運営されているWebサイトを買収するM&Aのケースも増えてきました。Mery.jpの様な数十億円規模のM&Aから、数十万円単位のM&Aまで規模も様々です。
買収する目的は様々ですが、多くの場合サイトが持つ集客力を目的に買収する様です。
当然、買収するサイトやドメインが保有するSEO集客力は重要なサイト価値であり、その集客力が買収後も続くか否かを確かなものにする為にはWebサイトのデューデリジェンスが必要です。
このデューデリジェンスの際に利用できるのが「SpamSocre」です。 買収を予定しているサイトがどれほどの被リンクを受け、その被リンクはWebサイトの集客力にどの位影響を与えているのか調査をします。その際、SpamScoreが全体的に高い場合は、集客力の永続性は低く、買収にリスクが伴う事が予知出来ます。
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以上の他にも、様々なシーンでこのSpamScoreは利用できます。
リンクの可能性を分かりやすく定量的に評価するSpamSocreを使って、粗悪なリンクの発見やサイトの集客力評価など、いままで不明確であった内容をよりクリアに評価できる事でしょう。
OpenSiteExploreは有料のサービスですが、1ヶ月間は無料で利用できます。気になる方は是非登録してみてはいかがでしょうか。
参考:Mozサービスの価格一覧