普段何気なく検索バーに打ち込んでいるキーワード。
近年スマートフォンの普及により、PCとは異なる、“モバイル端末ならではの検索クエリ”の種類は年々変化しています。
また、Googleも「できる限り即座に(ユーザーが求めている情報の)検索結果を提供する」という価値観に合わせて、様々な検索機能の充実を図ってきました。
今回は、モバイル端末で使われる検索クエリの種類、Googleが打ち出している最新の検索機能についてご紹介します。
検索クエリとは?
その前に、まず「そもそも検索クエリとは何か?」といったところから、説明したいと思います。
検索クエリの定義は、「ユーザーが検索する際に打ち込む言葉・フレーズ」です。
ユーザーの検索意図を言語化したもの、つまりユーザーの悩みや興味関心をそのまま表しているキーワードのことを指しています。
例えば、ひどいニキビ跡に悩まされている人であれば、「ニキビ跡 消す」「ニキビ跡 治療」「ニキビ跡 隠し方」
北海道の観光スポットについて知りたい場合は、「北海道 観光」などがそれにあたると考えられます。
ユーザーの目的に合ったコンテンツを提供するためには、モバイル端末独特の検索クエリを理解する必要があります。
消費者行動分析サービスを提供する「ニールセン株式会社」が発表した、最新のインターネット利用動向では下記のような結果が出ています。
・2015年4月時点で、PC利用者数が約5100万人に対し、スマートフォン利用者数は4,823万人と、5,000万人に迫る規模に成長
ニールセン株式会社「最新インターネット利用動向」
このような事実から、スマートフォン利用者数がPCを超える日も近いことが予想されます。
よって、モバイルユーザーの意図から外れたコンテンツを提供することは、「インターネットユーザーの半数を切り捨てること」を意味するため、
Webビジネス関係者にとってモバイル端末対応は早急に対策しなければならない課題となっているのです。
Knowクエリ(Information Intent)
検索クエリの1つである「Knowクエリ」は、あるトピック・話題について「知りたい」という意図を表すクエリです。
例としては、「エルビス・プレスリー」「トヨタ自動車」「リオデジャネイロ」のようなキーワードです。
しかし、クエリの指す範囲が非常に広いため、簡潔でシンプルな回答では足りず、そのクエリに関する網羅的な内容をカバーしたものでないと検索意図に応えられません。
また、ユーザーにとって求めている回答は異なるため、正しい回答自体も存在しません。
これのモバイル版クエリが「Know Simple クエリ」です。
「Knowクエリ」が指し示す範囲が広いのに対し、「Know Simple クエリ」はユーサ?ーか?「特定の答え」た?けを求めているクエリを指しています。
例えば、「エルビスプレスリー 曲」「トヨタ自動車 株価」「リオデジャネイロ 人口」と検索すると、下記のような検索結果が表示されます。
このように、モバイル端末にも収まる短く簡潔な回答が「Know Simple クエリ」にあたります。
Doクエリ(Action Intent)
「Doクエリ」は、商品やサービスの購入・取引など、実際に起こそうとするアクションを表したものです。
主なアクションとしては、ソフトウェアのダウンロード・購入、アプリの実行などが挙げられます。
クエリに置き換えると、「インディジョーンズ DVD 購入」「美容室 予約」がそれにあたります。
これをモバイル端末に置き換えたものが、「Device Actionクエリ」です。
「Doクエリ」と異なるのは、「Doクエリ」が外部とのやりとり(インターネット上でのアプリの実行など)の中でそれに関連するアクションを起こすのに対し、
「Device Actionクエリ」はスマートフォン自身に自分の機能を「実行させる」クエリを指しています。
特徴としては、「OK Google」「Hey、Siri」のような掛け声と共に、明確なアクションや
動詞・動作を表す言葉などをクエリとして用いる点です。
具体的な例が、下記になります。
「お母さんに電話」
スマートフォンの音声検索に対して、「お母さんに電話」と呼びかけると、スマートフォン自ら電話機能を立ち上げて、電話帳に「お母さん」と登録されている人物を電話をかけてくれます。
「目覚ましを午前7時にセットして」
これも「単純な検索クエリではない」とGoogleは判断し、自分で自身に内臓されているアラーム機能を実行して、指定の時刻にセットしてくれます。
「日比谷公園の行き方は?」
現在地点から指定された場所までの移動距離と乗換案内が表示されています。
ユーザーはわざわざ乗換検索アプリを使用しなくても、Googleに呼びかけるだけで目的地への移動手段を知ることができるのです。
Goクエリ(Navigation Intent)
最後の「Goクエリ」は、特定のサイトやページ・スポットに行くためのクエリを表しています。
これには主に4つの種類があります。
Websiteクエリ
ユーザーが要求した特定のWebサイトを表示させるクエリのことで、主な例としては、「amazon」「youtube」などが挙げられます。
URLクエリ
「Websiteクエリ」がキーワード単位で特定のサイトを指定するのに比べ、「URLクエリ」は特定のページのURLを直接入力して表示させるクエリを指しています。
「amazan.co.jp」「amazon.com」など、間違って入力してしまった不完全なURLも、「URLクエリ」として認識されるのが特徴です。
実際にページがロードされず、機能しなくても、「ユーザーが特定のページを指定している」と理解されるためです。
Visit-in-Personクエリ
これはユーザーが「特定の場所に行きたい」という意図を表しているクエリです。
例えば、「フランス料理」「スタバ」と検索すると、スマートフォンの位置情報から近くにあるお店を探して、検索結果に表示してくれます。
この結果に表示されるためには、Googleマイビジネスで営業時間や定休日など必要な情報を過不足なく入力しておくことが必須です。
ユーザーの検索意図が複数ある場合
複数の意味・文脈を持つ検索クエリの場合は、地理や時間など様々な条件を考慮した上で、クエリの背後にある複数の意図とその割合を推測してくれます。
例えば、「豊田」であれば、地名の「愛知県豊田市」なのか、それとも自動車メーカーの「トヨタ」を指すのか、「豊田」という人物について知りたいのか、その時の状況によって検索結果は異なります。
まとめ
このように、スマートフォンなどのモバイル端末の普及によって、検索クエリのスタイルは変化してきました。
しかし、「検索クエリ」というユーザー視点での変化と同時に、その回答を提供する検索エンジン側でも時代の変化によって、様々な検索機能を生み出してきました。
そのもっとも有名な例が、音声検索です。
「Device Actionクエリ」で紹介したように、「OK, Google」の掛け声でスマートフォン自身が検索・アプリの実行などを行い、
ユーザーはフリックなどの追加の行動をする必要がありません。
Googleが2013年に発表した検索アルゴリズム「ハミングバード」では、
この会話型検索(Conversational Search)の処理能力が向上し、より速いスピードで、より正確な結果を返せるようになりました。
例えば、「What’s the closest place to buy the iPhone 5s to my home?(iPhone 5sを買える家からいちばん近い場所はどこ?)」というクエリがあるとします。
ハミングバード以前だったら、「iPhone 5s」と「買える」というキーワードに着目し、
iPhone 5sが買える「通販サイト」や「ショップのまとめサイト」を表示させたと予想できます。
しかし、ハミングバードアルゴリズムがアップデートされた現在では、
ユーザーの位置情報を特定し、そこから近いiPhone 5sの販売店舗を探し出してくれます。
「iPhone 5s」が特定の電子機器の名称であること、「場所」がスポットではなく、実際に存在する店舗であることなど、
言葉の裏の意味を理解・把握していることから、かなり高度なレベルまでアップデートされていることが分かります。
アメリカではすでに10代の半分以上が毎日音声検索を利用しており、その他の年代も約4割以上が利用していることが分かっています。
参考:MarkeZineニュース:10代の半数以上が音声検索を毎日活用、その利用シーンとは?
それに加え、今後ウェアラブルデバイスに続く、スマートデバイスなどの台頭により、音声検索はますます普及するでしょう。