2019年3月14日前後、Googleは公式にコアアルゴリズムのアップデートを行いました。その影響から、非常に大きな規模で順位変動が発生し、3月は検索結果(SERPs)の不安定な状態が長らく続きました。今回は、当該アップデートとその影響下にあったSERPs変動に関する調査・分析のレポートをしていきたいと思います。ぜひご覧ください。
(当記事の作成には細心の注意を払っておりますが、あくまでも推測の域を出ないものであり、情報の正確性、有用性、確実性、適合性、合法性、最新性について、当社は一切の保証を与えるものではありませんので、ご了承ください。)
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目次
○SERPs変動・コアアルゴリズムアップデートの概要
○発生SERPs変動概要
○変動調査
○海外情報
○まとめ
SERPs変動・コアアルゴリズムアップデートの概要
3/14、Googleのコアアルゴリズムアップデートに対する調査結果概要
❐ 大規模サイトで変動の影響が大きく、ポータル、コンテンツメディア、サービスサイトに限らず影響を受けている
❐ 2018年8月1日のアップデートで影響の受けたサイト、YMYL領域のサイト、地域が関連するクエリで検索結果に表示されるサイトで影響を受けた可能性がある
❐ 一方で、8月に発生したYMYL領域サイト向けの局所的なアップデートというわけではなく、全カテゴリに対するアップデートである可能性が高い(美容・医療系のサイトだけでなく、全カテゴリのサイトにて変動を確認)
❐ 上昇サイト・下落サイトともに、大規模サイトでの影響が大きい傾向にある
❐ アップデートを実行したランキングファクターの再調整の可能性
・被リンク評価の変更
∟低品質な被リンクに対する厳格化
∟特定リンクの構成比が高いサイト、自社サイトからの画一的なリンクを低く評価
❐その他変更要因の可能性
・テキストコンテンツのSEO価値の再向上の可能性
発生SERPs変動概要
GoogleがMarch 2019 Core Updateをリリース
Googleは2019年3月14日にMarch 2019 Core Updateをリリースしたと言及。
アルゴリズムのアップデートにより検索結果に影響があったと考えられます。
Keywordmap(キーワードマップ)におけるSERPs変動の観測
▼Webマーケティング調査・分析ツールである「Keywordmap」の「SERPs変動」機能による観測(計測期間は2019/2/10~2019/3/20)
2019年3月14日~3月15日の期間、平均順位変動値4.0を超えるSERPs変動を観測しています。
その他ツールによる観測
▼海外サードパーティのSERPs変動観測ツールでも、一様に3月初頭からSERPsの変動が確認されています。
海外のSERPs変動チェックツール“MOZ”では、3/1、3/4、3/12、3/26で変動を観測。
期間がやや異なるのは、計測ツール、あるいは変動の時差と想定されます。
海外のSERPs変動チェックツール”Algoroo“では、3/1~2、3/12~14で変動を観測。
期間がやや異なるのは、計測ツール、あるいは変動の時差と想定されます。
海外のSERPs変動チェックツール”RankRanger”において、 3/2、3/8、3/12~14、3/27に変動観測。
期間がやや異なるのは、計測ツール、あるいは変動の時差と想定されます。
ヒットキーワード数変動ドメイン
キーワード数の増減が顕著なドメインについてレポート。
・計測期間(3/12 ~ 15)
大手メディアサイト、通販サイト、SNSなど、大規模サイトのヒットキーワード数の変動率が大きい。
・計測期間(3/27 ~ 30)
大手メディアサイト、地図系サイト、求人サイトなどのヒットキーワード数の変動率が大きい。
変動調査
大規模サイトの変動が顕著
3/14のコアアルゴリズムアップデートに関して、変動が確認できるカテゴリ・サイトは以下となる。
▼大きな変動を確認できたカテゴリ
EC(総合系)、求人(総合系)、求人(ジャンル特化型)、大規模ポータル、医療・美容・健康、辞書
▼小さな変動を確認できたカテゴリ
EC(ジャンル特化系)、旅行(DB系)、旅行(メディア系)、グルメ、金融
出典:Keywordmap
「ECモール領域(総合系)」におけるヒットキーワード数と想定流入数推移
Amazonを除いて3/14前後に緩やかな変動が確認できます。
・メルカリ、ヤフーショッピング、ヨドバシカメラは、3/14前後に減少している。
・一方で、ワウマ、楽天市場は、3/14前後に増加。
「旅行領域(DB系)」におけるヒットキーワード数と想定流入数推移
全体的に長期的な変動は確認できるが、ゆるやかな変動となっているようです。
3/14前後にエクエスペディア、4トラベルで、他サイトと比較して大きな下落が見られるが、他業界と比較すると変動率は小さい傾向。
「大規模ポータルサイト領域」のヒットキーワード数と想定流入数推移
全サイトにて3/14前後で変動を確認できます。
増加・減少サイトいずれも存在し、ご覧の通りヒットキーワード数・想定流入数が2倍近く増加したサイト、1/2程度に減少したサイトもあり、その変動幅は比較的に大きいように見受けられます。
「医療・美容・健康系メディア領域」のヒットキーワード数と想定流入数推移
全サイトにおいて、3/14前後で大きな変動が確認できます。
ご覧の通り、増加・減少サイトいずれも存在し、増加サイト・減少サイトともにその変動幅は比較的に大きい。
▼ポイント
⇒大きな変動を確認できるサイトには、「医療・美容・健康」のようなYMYL領域も含まれれますが、求人系やポータルサイトのような非YMYL領域でも大きな影響を受けたサイトが存在しています。
また、比較的大規模サイトの変動率が大きい傾向にあるようです。
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【事例】医療系サイト
弊社が支援しているクライアントの医療系サイトに関して、コアアルゴリズムアップデートが日本で反映された3/14前後で以下のような変動が確認できました。
▼特定の医療系「単一キーワード」の順位の大幅下落 (掛け合わせキーワードでは大幅な順位下落は無し)
医療系単一キーワードA,Bの順位は3/14以降で下落して、一気に100位圏外となっています。
一方で、他キーワードとの掛け合わせでは依然として5位圏内にとどまっており、影響はほとんどないように思われます。
▼医療・美容領域にて、対象サイトの構造、上位獲得サイトとの差分を確認したところ、以下仮説を想定しました。
① 低品質な被リンクを獲得しているため評価されない
② 特定ドメインからの被リンクの構成比が高い(全体の約90%)ため、評価されない
③ 画像が少なく、テキストが多いページほど評価されやすい
上記仮説に対して妥当なSEOとして、現状では被リンクの否認(①)、および排除(②)。また、テキストメインコンテンツへUI改修(③)などが考えられます。
調査内容
仮説の裏付けとなる調査内容が以下になります。
①低品質な被リンクを獲得しているため評価されない
クライアントサイトの被リンク元を確認したところ、低品質なリンク(ページが存在しない、何も記載のないコンテンツ)を多数確認。
医療・美容系サイトにおいて、3月14日アップデート以降で、順位上昇サイトの被リンクはドメインランクの高いものが多く、弊社クライアントサイトを始め下落サイトでは、被リンク元ドメインの評価が低い傾向にあり、低品質な被リンクをリンク否認することで対応しています。
②特定ドメインからの被リンクの構成比が高い(全体の約90%)ため、評価されない
医療・美容系サイトにおいて、3月14日アップデート以降で上位表示されているドメインでは、被リンクの上位構成比の平均が1位18%、2位10%、3位9%で分散している傾向であるのに対し、弊社クライアントサイトは1位、2位だけ89%と全体構成比が高くなっています。
⇒上位の被リンクは2ドメインとも自社管理ドメインからのフッターリンクのため、リンクの削除を提案しました。
②※非YMYL領域(専門EC)での事例
Instagramとほぼ同一のコンテンツを保持するUGCサイトからの被リンクが全体の22%(最多)を占め、ターゲットページ(リンク先ページ)が「2」とほぼ固定されています。
なお、当該サイトでも3/14前後のアップデートでSEO評価がやや下落しています。
③画像が少なく、テキストが多いページほど評価されやすい
医療・美容系サイトにおいて、3月14日アップデート以降で上位表示されているドメインでは、テキストに対する画像の割合が低いことを確認しています。
⇒テキストメインのコンテンツが上位になる傾向。検索上位ページコンテンツが含む要素(内容)を加えるなどのUI改善を提案。
【その他要因】E-A-Tの評価について
以上の図から、2018年8月のアップデートに影響を与えたと考えられる、E-A-Tに関連するコンテンツ・ページの存在有無は、当該医療領域において今回のアップデートでは影響を受けていないものと想定されます。
調査・分析のまとめ
弊社事例より、3月14日に発生したコアアルゴリズムアップデートでは、以下の変更が加えられたと推察することができます。
▼被リンクの評価方法が変更・より厳格化された
∟ドメイン評価の低い、低品質なドメインからのリンクが多いサイトが低く評価される可能性
∟特定ドメインからのリンク構成比が高い場合は、低く評価される可能性
∟自社サイトからの画一的なリンクが低く評価される可能性
▼ユーザビリティ評価方法が変更となった
∟テキスト含有率が大きいページが高く評価される可能性
∟ SEOにおけるテキストコンテンツの評価再向上
▼E-A-Tに関係するコンテンツ・ページの有無の影響はない(または極めて小さい)と想定
海外情報
3月26日、Search Engine RoundtableのBarry Schwartz氏がコアアルゴリズムアップデートの調査結果を公開しています。
今回のコアアルゴリズムアップデートは、2018年8月のアップデートと同様に、YMYL領域に影響するアップデートであると考えられている中、Barry氏の調査したウェブサイトの内、31.7%がHealth(健康)領域のサイトで、8月のアップデートよりも10ポイントも少ないという結果が出ています。
したがって、実際は広い範囲のサイトが影響の対象となっているのではないか、とBarry氏は述べています。
出典:Revealing The Google March 2019 Core Update Survey Results
・Health分野のサイトが全体の31.7%ですが、
・Content(コンテンツ) 19.2 %
・E-Commerce(ECサイト) 15.9%
の順に多い結果となっています。
影響サイトのカテゴリはさらに広く、必ずしもYMYL領域におけるアップデートではない可能性が指摘されています。
まとめ
3月14日にリリースされたコアアルゴリズムアップデートは、大規模サイトを中心に広範囲へ多大な影響を及ぼしました。
YMYLに該当するようなサイトが数多く影響を受けてはいますが、他の領域に位置するサイトも少なからず変動があったという事実は、コアアルゴリズムアップデートを考える上でのポイントでしょう。
ネガティブな影響を受けた際のSEO的な対策として考えられるのは、弊社クライアントの事例から紐解きますと、「被リンクを精査すること」と「テキスト量を念頭に入れたコンテンツの見直し」、が妥当であると思われます。被リンクに関しては、低品質だった場合、否認や排除などで対策すると良いでしょう。
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