サイトのインデックス数は、オーガニック検索経由での流入に大きな影響を及ぼします。ユーザーの役に立つ高品質な記事ページがたくさんインデックスされれば、1つ1つのコンテンツから流入が獲得でき、Googleから「良質なコンテンツを多く持つサイト」として、サイト自体の評価値が上がります。
しかし、「とにかく記事(ページ数)を大量生産すれば良い」という話ではありません。コピーコンテンツなどの低品質な記事を量産しても、SEOの観点から見るとまったくメリットはなく、逆にサイトの評価値を下落させてしまう恐れがあります。
今回は、弊社のクライアントの中から、メディア系サイトでインデックス化率が急落した事例について、その原因と対策をご紹介します。
【目次】
1. 記事ページのインデックス化率が減少
2. インデックス化率が下がる原因とは?
3. インデックスされていないページはどこか?
4. サイトマップで送信されていたのはサマリーページ
5. その後の効果検証の結果
6. インデックス化率減少まとめ
記事ページのインデックス化率が減少
今回の例は、女性向けメディアサイトを運営しているお客様です。ペルソナは10代後半の若年層~30代女性が対象で、作成している記事は恋愛から美容・メイク、ファッションなど、女性ユーザーを重視したテーマを扱っています。
●コンサルティング前の状況
通常、このようなメディアサイトではエディターの他にSEOの専任者がいて、対策キーワードの選定や記事の効果測定などを担当していますが、弊社がコンサルティングに入る前は、特にSEOに関する取り組みは行っていませんでした。
基本的な構造化SEOの実装は済んでいるものの、コンテンツSEOに関しては社内でのノウハウや知識がない状態で、編集部でキーワードのみ選定し、その後は担当ライターが自由に執筆を行っているような状態でした。
●記事ページでのインデックス化率が下落
ところが、ある時期を境に、記事ページにおけるインデックス化率が急激に下落していることが判明しました。Search Consoleで確認したところ、サイトマップで送信済みのページとインデックスされているページの間で3倍以上の乖離が見られ、「送信済み:3万以上」のページを送信したにもかかわらず、インデックス登録済みのページは9,000~1万弱と、1万ページ以上の開きがある状態でした。
しかし、サイトへの影響として流入・順位に大きな変化はなく、インデックス化率が下落し始めた期間とそれ以前の期間で数値を比較しても、流入数・順位共に横ばいの状態でほぼ変化はありませんでした。
インデックス化率が下がる原因とは?
そもそも、インデックス化率(インデックス数)はなぜ落ちるのでしょうか。
●サイトに対するGoogleの評価値の変化
インデックス化率が落ちる原因は、低品質コンテンツの量産やブラックハットSEO、スパムリンクなどでサイト自体の評価が下がってしまったからです。低品質サイトと認定された場合、「ユーザーの欲している情報を持たず、役に立たない記事を保持している」として、サイト全体の順位も変動します。
しかし、今回の場合は、順位・流入のどちらにも変化がなく、以前と同じ横ばいの状態であるため、Googleから何らかのペナルティを受けた可能性は低いと考えられました。
そのほかにも、大量の記事ページからインデックスを削除することで、インデックス化率が下がることもありますが、こちらも直近で大幅にnoindexを付与したことはなく、こちらについても可能性は低いと考えられます。
インデックスされていないページはどこか?
そこで、サイトマップで送信されているURLの中から、実際にインデックスされているページとそうでないページを抽出し、その差分を比較する方向で調査を実施しました。
方法としては、Search Consoleの「クロール」から「サイトマップ」を選択します。
そこから、インデックス化率が著しく低いURLを3,000個ほど抽出し、専用ツールでインデックスの有無を確認しました。
サイトマップで送信されていたのはサマリーページ
●調査でわかったインデックスされていないページ
<インデックスされていたページ>
通常の記事ページ(テキストコンテンツが記述されている本文)
例)/article/記事ID/ /archive/記事ID/
こちらは実際のSERPsでもURL・タイトルで検索すると表示されました。
<インデックスされていないページ>
記事のサマリーページ(記事本文ではなく、記事の初めのリード文のみが表示されている要約ページ)
例)/summary/記事ID /outline/記事ID/ /short/記事ID/
こちらは実際に検索をしてみても、インデックスされていないのが確認できました。
●想定される要因
この結果から想定されるのは、「記事ページにインデックスが移ったことによって、サマリーページのインデックス化率が落ちているのではないか?」ということです。
本来ユーザーにランディングさせたいページは記事本体ページですが、実際はサイトマップ上でサマリーページが送信されており、クローラーが回遊した際に本文ページを発見し、そちらをインデックスしたため、サマリーページのインデックス化率が急落したという要因が考えられました。
つまり、今回の原因は低品質コンテンツの生産による事象ではなく、サマリーページのインデックスが記事本文のページに移行したことによる事象であると仮説を立てました。
●サイトマップ送信するページを変更
この仮説を立てた後に、実際にサイトマップ送信するページをサマリーではなく、記事本体ページ(ユーザーにランディングさせたいページ)に変更し、再度サイトマップを送信しました。
その後の効果検証の結果
●サイトマップ送信するページを変更した後のインデックス化率
サイトマップで記事本体ページを記述・送信してから、1カ月後に再度インデックス化率を調査したところ、送信ページの約9割がインデックス完了になっており、無事に記事ページがインデックスされていることがわかりました。
インデックス化率減少まとめ
今回の事例では、直接流入数や順位に影響はありませんでしたが、本来ユーザーにランディングさせたいページをきちんとサイトマップに記述することが大切です。サイトマップへの記述が、いち早くページをインデックス登録させることにつながります。