今月、SEMリサーチで報告されたベニスアップデートですが、SEM系のブログや記事で地域ごとに検索結果が異なる事例が報告されています。
特にアルバイトやヘアサロンなど地域性が極めて強いビッグワードの場合、東京で検索した時と大阪で検索した時では1位~5位の順位がほぼ異なる検索結果もあります。
このベニスアップデートによって、今後のSEO対策にどの様な影響を与えるか想定してみました。
ベニスアップデートによって起こる問題点
正確な順位管理・計測が出来ない
Webメディアを運営している企業にとってはSEOは極めて重要なWebプロモーションであり、ビッグワードやコンバージョンワードの検索順位は重要なKPIでもあります。
これら重要キーワードの順位下落は、その後の収益額を大きく下げる為、Webメディア企業の大半は毎日数千ものキーワード順位を測定し、管理している事でしょう。
しかし、今回のベニスアップデート導入によって、その管理や取得方法も考えなおさなければなりません。
例えばアルバイト検索サイトの場合、「アルバイト」や「バイト」と言った単ワードからの応募者数(コンバージョン)は非常に多い事が想定されます。
転職などとは異なりアルバイトの場合、ユーザーの人生に対するインパクトは小さく、割りと気軽にユーザーは申込をする為、それ程ユーザーも条件などを組み合わせたキーワードで検索しないと想定されます。
この為、「バイト」という単ワードで如何に見込顧客層と接触するかが収益増減のポイントであり、「バイト」の順位はアルバイト情報サイトを運営する企業にとっては極めて重要な指標かと思われます。
同様に地域名を含まない「制服あり バイト」などの条件系キーワードも重要でしょう。
ベニスアップデートが導入されるまでは、地域(IPアドレス情報)ごとに検索結果が変化する事はありませんでした。
しかし、現在は日本国内の検索結果でも地域性を持つキーワードの場合、ユーザーの場所に応じて検索結果を変化させる傾向にあります。
この場合、まず初めに考え得るのが「順位測定」の問題です。
東京に本社を置く企業の場合、当然順位計測も東京(東京の地域情報を持つIPアドレス)で行っていると想定されます。この場合、東京で見た時は重要ワードが1位であったとしても、重要都市である大阪や名古屋、福岡、札幌、神戸などでは寧ろ順位が1位以下の場合もあるでしょう。
ベニスアップデートの本格導入により、この問題は顕著に現れると思われます。
なぜ重要ワード群は1位をキープしているのに、各都道府県からのアクセス数が減少しているのか!?といった事も発生しかねんません。
以上の様に、アルバイト情報サイトなど全国を商圏としている場合、東京からの順位測定では正確な集客力を測定・管理することは事実上出来ない状況にあります。
SEO施策を地域単位に考えなければならない
Googleが地域性を考慮し検索結果を変化させるようになった為、検索する地域毎に競合サイトが変化する事になります。
競合サイトが変化するという事は、当然対象となるランディングページへの施策も異なり、今までのようにドメイン単位やディレクトリ単位での施策立案や実施だけではカバー出来ない状態になると想定できます。
どの様な要素をGoogle地域属性として見ているかは不明ですが、各重要都市の検索結果を取得し、1位~10位にランクインするWebサイトの傾向などを分析し、その傾向や施策を自社サイトにも取り入れていく必要があるでしょう。
自社サイトに於ける地域性の重要性を把握する
今回のベニスアップデートによって、よりユーザーを意識したページやコンテンツの作成、構築が求められるようになりました。
Googleのユーザーファーストという思想を考えると、当然といった流れでしょうか。
しかし、Webサイトやコンテンツを提供する側からすると、より施策の難易度が高まり、かかるコストも増大する事を意味します。
すべての地域を考慮し、SEOやマーケティング施策を行う事は費用の面からしても無理があるでしょう。
では、実際に自社サイトに於いて「地域性」がどの位のインパクトを与えているかを把握する事から始めてみましょう。
Google Analyticsで地域別のアクセス情報を分析
アクセス解析ツールGoogleAnalyticsを既に導入している場合、過去ユーザーがどの地域からアクセスし、コンバージョンに至っているのかを解析できます。
集客>キーワード>オーガニック検索 の順でクリックします。
プライマリディメンションを「地域」を選択します。
上図の様に、ユーザーの場所毎(地域)にアクセス数やコンバージョン数を閲覧できます。
セカンダリディメンションでキーワードやランディングページURLなどを表示し、キーワードベースでの集客・コンバージョンインパクトを解析する事も出来ます。
更に詳細な地域(市区町村レベル)まで解析した場合は、プライマリディメンションを「市区町村」に設定し直します。すると、渋谷区や新宿区、守山区など市区町村単位でアクセス数やコンバージョン数などを解析できます。
リスティング広告の地域レポートを分析
過去、日本全国にリスティング広告を出稿している場合、リスティング広告の地域レポートを用いて、各地域の重要数値に対する影響度を分析できます。
Google Adwordsの場合、詳細分析>地域 の順でクリックすると、地域毎にレポートが表示されます。
表示項目に広告グループなどを含める事で、大枠キーワード単位でも分析できます。
Yahoo!リスティング広告(スポンサードサーチ)も同様に地域別のレポートを抽出できます。
Yahoo!リスティング広告の管理画面の上部にあるメニューバーから レポート>パフォーマンスレポート を順にクリックします。
レポートの種類を「地域別レポート」を選択します。
より詳細な地域名まで抽出すべく、表示切り替えに「都市」を追加します。
あとは生成する事で、Adwordsと同様に地域ごとのインプレッション数やクリック数、CVR、コンバージョン数などを分析できます。
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アクセス解析やリスティング広告レポートなどを用いて、地域毎の収益比率や影響度を把握します。
東京や大阪など一部の都市に収益が一極集中している場合は、今回のベニスアップデートはクリティカルな問題では現在の所無いと考える事も出来、逆に地方都市からの収益も全体の構成を大きく占めている場合は、ベニスアップデート対策をより重視するべきでしょう。
まとめ
●ベニスアップデートとは
ユーザーが検索した場所(その場所情報を持つIPアドレス)に応じて検索結果を変化させる。
●発生しうる問題点
1)順位測定が正しく出来ない
└順位測定が困難になる。東京で1位でも大阪では1位以下の場合もある。
2)同じワードでも施策が異なる場合がある
└競合サイトが異なるので、施策も自ずと異なる。
●先ずは自社サイトに於ける地域性の影響度を測る事から
1)GoogleAnalyticsで解析
└オーガニック>地域で計測可能
2)リスティング広告も合わせて見る
└Adwords、Yahoo!共に広告グループ単位で分析可能。