何時間も掛けて書き上げたコンテンツを無許可で転用し、挙句の果てにPV数まで奪われてしまう、そんな事が最近ではよく聞くようになりました。
Webでは簡単にコンテンツをコピーできてしまう為、良いコンテンツほど勝手に「パクられる」という事も。
著作権による法的処置は取れないけど、勝手な盗用は止めたい時に出来る処理を説明したいと思います。
DMCA侵害でコンテンツの削除依頼を出す方法
国内の法人事業者による著作権侵害の場合、法的に処置を依頼する事が出来るかもしれません。
しかし、Web上には連絡すら取ることが難しい個人や法人による著作権の侵害もあります。ドメインのwhoisが隠されていたり、外国人による運用だったりと、削除を依頼する事が出来ないWebサイトも多く存在します。
法的拘束力を持って対処できない場合、集客元となる主要のプラットフォーマーに対し、該当するWebページをプラットフォーマーから削除する事を依頼し、対処するのが一般的です。
FacebookやTwitter、Googleなど主要となるプラットフォーマーは、米国の著作権保護法であるデジタルミレニアム著作権法(DMCA)を準じており、DMCAで定められた著作権侵害が見られる場合、Google検索結果やFacebook投稿などプラットフォーム上から当該のコンテンツを削除します。
参考:デジタル ミレニアム著作権法
コンテンツをコピーする大半の目的が、そのコンテンツで集客しマネタイズ化(アフィリエイトや広告など)する事にあり、主要なプラットフォーマーから削除される事はある種の阻止力とも言えます。
では、DMCAを用いてコンテンツを盗用から守る方法を説明します。
【1】チェックするコンテンツ(Webページ)を抽出する
コンテンツの数が少なかったり、盗用されるコンテンツを既に知っている以外は、そもそも盗用されているかを調べる必要があります。良いコンテンツ程、放置しているだけで盗用されてしまう可能性があるので、先ずは自社コンテンツが盗用されていないか確認します。
記事数が多いWebメディアは一つ一つ手作業でチェックする訳には行きません。そこで今回は盗用の可能性があるコンテンツ(Webページ)をGoogleアナリティクスを使って抽出します。
転用されやすい・されている可能性が高いコンテンツ(WebページURL)を抽出するには下記2つの方法を利用します:
抽出方法その1:アクセス数が多いコンテンツ(人気コンテンツ)
人気があるコンテンツは良質な内容である事が多く、ソーシャルメディア上でよくシェアされたりします。目立つほど盗用される可能性は高まります。
そこでアクセス数が多いコンテンツのWebページURLをGoogleAnalyticsから抽出してみましょう。
Googleアナリティクスにアクセスし、行動>すべてのページ の順にクリックします。
セッション数の降順で並び替える事で、よくアクセスされている(PV数がある)記事のURLを抽出できます。アクセス数を元に並び替える事で、人気のあるコンテンツを上から順に抽出できます。
抽出方法その2:以前よりアクセス数が減少しているコンテンツ
以前まで一定のアクセス数を安定して獲得していたページが、ある日を境に流入数が減少していたら要注意です。
他のWebサイトに転用され、オリジナル元ページの検索順位が下落している可能性もあるからです。もしくは、一時的にソーシャル上で拡散したものの、その記事を大手まとめサイトが引用した為、ソーシャル上の拡散が奪われている可能性もあります。
Googleアナリティクスを開き、行動>サイトコンテンツ>ランディングページの順にアクセスします。
例として、期間比較を「直近の1ヶ月間」と「2ヶ月前の1ヶ月間」を選択し、「適用」をクリックします。
並び替えの種類の「変化量」を選択します。
「セッション」をクリックし、変化量が減少した順に並び替えます。
変化率が大きく低減しているWebページほど、当月と2ヶ月前を比較し大きく流入数が減少しているページになります。
尚、変化率だけで判断するのではなく、実際の変化数(増減数)も見ます。同じ変化率の減少でも、もともの流入セッション数が少なければ、単に一時的な増減であると判断できるからです。
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以上、Googleアナリティクスを用いて盗用されやすい、もしくは盗用されている可能性があるWebページのURLを抽出します。
【2】無断コピーされていないかチェックする
チェック対象となるWebページのURLを抽出したら、実際にそれらWebページのコンテンツが無断で引用されていたり、盗用されていないかを確認します。
今回は、弊社の文章コピーチェックツールを使いたいと思います。
対象となるWebページから、メインコンテンツ(文章)をクリップボードにコピーします。
コピーチェックすると、自社Webサイト以外にも類似度が「高」のWebサイトが複数表示されました。先ずは他サイトと一致する箇所を「類似箇所」をクリックして、確認してみます。
上図の結果を見ると、コンテンツ全文では無く、一部を抜粋している可能性があります。リンク「一致文」をクリックし、一致する文章を一覧で表示させます。
「G検索」をクリックし、一致している文章を実際にGoogleで検索します。
上記の様に、検索結果に表示される文章が連続して太文字になっている場合、盗用もしくは抜粋の可能性が高いです。実際にアクセスし、内容を確認します。
尚、「抜粋」自体は著作権保護法上、認められている様です。Web上の情報を見る限り、主従の関係が明確であり、引用元が従の関係性であれば、法的には問題ない範囲での抜粋として認められるとの事。
※私は、法律に関しては素人です。。。
参考:
・転載、引用、盗用 区別のつかない人が意外に多い
・著作権法ガイド(無料引用のルール)
明らかに盗用と思われるWebページが無いかを確認します。主従の関係性が殆ど無く、明らかな盗用と思われるページや、一部リライトはしているものの、殆どのコンテンツが盗用と分かるページのURLを記録します。
尚、当コピーチェックツールはFacebookやTwitterなどもある程度検索範囲となる為、Facebookでまるごと文章が投稿されている場合も検知します。
【3】Webサイトオーナーに削除依頼を出す
先ずは、Webサイトのオーナーに連絡を試みて、コンテンツの削除や修正を依頼します。
連絡先が分かる場合は、直接連絡します。連絡先が分からない場合は、ドメインのwhois情報を見てみると良いでしょう。
DomainTools.comにアクセスし、対象となるWebサイトのドメインを検索します。whois情報をドメインレジストラの代行情報にしている場合以外、ドメイン登録者や所有団体、レジストラなどが分かります。
管理者や技術管理者のメールアドレスが記載されいる場合は、そのメールアドレスに連絡を取ります。
↑core-j.co.jpのwhois情報。登録者やレジストラなどが分かります。
もし、公開コンテンツがブログサービスなどのWebサービス上で公開されている場合は、運営元企業に連絡し、削除を依頼します。
参考:
・Ameba 権利者向け窓口
・Blogger/BlogSpotに対する削除依頼
【4】それでも削除対応されない場合は、DMCA侵害による削除依頼
連作先がわからない場合は、Webオーナーに連絡しているものの、反応や対応が見られない場合は、各プラットフォームに対しDMCA違反の疑いを報告します。
ここでは、Googleのウエブ検索に対する削除依頼の出し方を説明したいと思います。
ウエブ検索からの削除依頼をGoogleに送る
オンラインフォーム著作権侵害の報告: ウェブ検索にアクセスします。尚、このフォームにアクセスする為には、Googleアカウントのログインが必要です。
↑氏名やメールアドレスなどの情報を入力します。
↑盗用されている箇所や内容を記述します。文章コンテンツの場合、どこから始まる文章が盗用なのか記述すると良いでしょう。
↑自社WebサイトのURLを記述します。(掲載が許可されている=オリジナル元)
↑文章コピーチェックツールで抽出し、盗用していると断定できるURL(掲載しているWebページのURL)を記述します。
↑最後に各宣言と署名日を記述し、間違いが無いことを確認したら「送信」をクリックし、削除依頼を申し立てます。
↑削除依頼を送信すると、メールによる状況通知とは別に、Web上から削除用ダッシュボードで申請状況を確認できます。
尚、DMCA法に基づく削除依頼をした場合、chillingeffects.orgに申請内容が掲載されます。掲載内容には申請者の氏名や申請内容、削除希望のURLなどが公開され、誰でも検索・閲覧できる状態にあります。
その他、メジャーなオンラインプラットフォームはGoogleと同じようにDMCA申請フォーラムを用意しています。
参考:
・Facebook – 著作権報告フォーム
・Twitter – 著作権侵害について報告する
・Youtube – 著作権を侵害したコンテンツに対する削除通知の送信
・Bing – Notices of Infringement
まとめ
●コンテンツの盗用や無断引用は頻繁に起こっている
●Googleアナリティクスなどを用いて、盗用される可能性の高いWebページを調べてみる
●コピーチェックを使って、無断利用しているコンテンツを探す
●Webオーナーや(ブログサービス等の)プロバイダーに連絡を試みて削除を依頼する
●DMCAに基いて、GoogleやFacebook等のプラットフォーマーに削除依頼を出す