先週、米国Google社が決算を発表し、純利が5%減少したと発表しました。
1年程前から発生していたCPCの下落は下げ止まったものの、市場の評価は厳しい物になりました。
日本のソーシャルニュースメディアNewsPicksでは、今回のGoogle社の決算に対し著名人や経営者からGoogleの衰退をイメージさせるようなコメントも多数あり、インターネット上のトラフィックの流れが大きく変化していると感じたニュースでした。
実際に弊社でもコンテンツマーケティングのコンサルティングを行う中で、ここ1~2年でトラフィック元が大きく変化している事に感じていた所でした。
前から言われていた事ですが、スマートフォンとソーシャルメディアによって今まで当たり前であった「検索」のパワー自体が薄れ始めているのかもしれません。
今回は、今年2014年の集客の考え方を書きたいと思います。
スマートフォンはインターネットに次ぐ衝撃
私自身はインターネット業界に初めて飛び込んだのが2009年でした。
当時はフィーチャーフォン向けGoogleAdwords運用コンサルティングを行っており、莫大な広告費消化とうなぎ登りに上がっていくコンバージョン数の多さを目の当たりにし、ネットビジネスとモバイルの凄さに呆気にとられていました。
既にiPhone3Gが日本でも発売されていましたが、携帯では圧倒的にフィーチャーフォンが多く、「公式サイト」の集客数は凄まじい物でした。
この時のGreeやモバゲーのDeNAもフィーチャーフォンにフォーカスし、大きく収益を伸ばしました。
しかし、Androidの登場やキャリアの販売方針の変更もあり、急激にスマートフォンが市場に浸透し、その後のネットビジネスを大きく変えていくことになります。
スマートフォンの普及
2010年、私の地元に久しぶりに帰省した時に電車の車内で見た光景が非常に印象的でした。昨年までスマートフォンを手にしている人は少なかったにも関わらず、1年経ち地元に帰省すると周りに多くが東京と同じくスマートフォンを持っていたのです。
当然、その変化は私の仕事でも露骨に現れてきました。それまで担当クライアントサイトのコンバージョンの大半がフィーチャーフォンで獲得出来ていたのが、2010年の後半からインプレッション数が昨月比でみるみる減少し始め、慌ててスマートフォンへの予算配分を見直したほどです。
当時のモバイル業界は(あくまでも私の経験ですが)、モバイルの支配者的な存在であったキャリアを味方につければ非常に上手く行きました。面倒なデジタルコンテンツの課金もキャリアが代行して回収し、公式サイトになればキャリアのポータルサイトから大量のトラフィックを獲得出来ました。
しかし、キャリアによる制限を受けないスマートフォンはモバイルユーザーの「アクセスの仕方」そのものを大きく変え、同時に業界の力関係も大きく変わりました。
ソーシャルメディアの台頭
2009年当時は未だミクシィがソーシャルメディアの主役であり、周りの知人は皆ミクシィでお互いの近況を知らせ合っていました。
当時Facebookの様な実名制のソーシャルメディアは日本では流行らないと言われていましたが、今となってはその逆になり、Facebookは日本でも爆発的な普及を見せました。こうなると、リアルの交友関係がネットにも持ち込まれ、これまでリアルの場で発生していたコミュニケーションがネットでも出来るようになりました。
Facebookは人間の根本的な欲求である承認欲求や知人とのコミュニケーションを巧みに扱い、多くの人が近況や考えを様々な形でFacebookに投稿する習慣を作り上げました。
アプリ
又、スマートフォンの登場によって生まれたのがネイティブアプリです。
iTunesとSDKが開放され、一斉に世界中の優秀なクリエイターが挙ってアプリを作り、公開しました。それらアプリは巨大なゲーム業界までも脅かす程の巨大市場になり、今ではアプリ1つで上場出来てしまうくらい大きな影響力を持つほどになりました。
キャリアの努力も有り、日本国内では一気にスマートフォンの保有率は高まり、国民全員がスマートフォンを手にするほどまでになりました。
そうなると、日本国内でも1億近い顧客がアプリを使える・使おうとします。そうなると変化するのが、情報を集める方法です。
ユーザーが何かを知りたいという要求があって初めて行動に出る「検索」とは異なり、アプリなどを通して得られる情報の多くが受動的であり、FacebookやTwitterはその代表例でしょう。
スマートフォンというデバイスを手にした事により、わざわざパソコンの前に座らなくともインターネットにアクセス出来、アプリを通して簡単にソーシャルメディアやゲームにアクセス出来るようになりました。
この情報の接し方の変化はコマースにも大きな機会を作りました。商品やサービスを販売する企業側もユーザーの検索や行動を待つのではなく、潜在顧客層と接触できる場所が出来、その場所で如何に顧客と接触し、認知してもらうかがネットマーケティングの成功可否を大きく決める様になりました。
2012年は転換期
検索エンジンが普及するまではYahoo!等のポータルサイトがWebの入り口でした。
しかし、Googleという検索エンジンが登場し、その流れは大きく変わりました。そして、「検索」自体が世界中に習慣として定着し、物事を調べる時にはネット検索が当たり前となりました。
そして今、スマートフォンアプリとソーシャルメディアはその流れを大きく変えています。
トラフィック元が変化すると同時に、人々が世界中の情報に接する時のタイミングやキッカケも大きく変わろうとしています。
知りたいという要求があって初めて発生する「検索」から、いつでも流れてくる「流れるコンテンツ」へと情報の接し方が変化しています。
実際の変化
大手生活情報サイトA
上記はあるメディアサイトのアクセス元です。(GoogleAnalytics参照)
メディアサイトAは大手Webメディアで、トラフィックの半数以上がリファラー経由と非常に珍しいトラフィック構成をしているWebサイトです。
又、リファラーの大半がスマートフォンニュースアプリのSmartNewsやグノシーで占められています。
中堅ビジネスノウハウ系サイトB
上図のサイトBはここ半年でソーシャル経由の流入数が急増したWebサイトです。
元々は検索エンジン経由の流入数が全体の大半を占めていましたが、現在は3割程度まで落ち込んでいます。
決して検索エンジン経由の流入数が減少した訳では無く、ソーシャル経由の流入数が急増した為、全体構成の比率が変化した為です。
変化している例
実際に今、顧客と企業はどの様に接点を持っているのでしょうか。
「パソコン販売会社」と潜在顧客である「ビジネスマンAさん」の例を見てみましょう。
FacebookやTwitter等、毎日ソーシャルメディアと接している方であれば何度か友人がシェアしているコンテンツを見たことがあると思います。
そのコンテンツによって、企業のブランドやWebサイト(ブランド)を認知し、実際の購入時に少なからず影響を与え始めています。
上記は飽くまでも例ですが、実際にこの様な見込顧客との接触が多数発生しています。
生活に密着した「スマホ」というデバイスの普及と、十分なユーザー数が各ソーシャルメディア上に揃った今、ユーザー一人ひとりがネット上で発言出来るようになり、コンテンツを共有する様になりました。
又、そのコンテンツを評価し、悪い評価も良い評価も瞬時に広まり、信頼・信用の構築に大きく影響するようになりました。
まとめ
ここ数年でインターネット上のトラフィックの流れが大きく変化しています。
そして、今までトラフィックの殆どを握っていた「検索」が次の世代へとその主役を渡しているのも確かな動きです。
コンテンツが主役の時代へ
Webサイトやコンテンツを評価するのはクローラーといったコンピュータでは無く、リアルに繋がっている人です。
ユーザーを理解し、ユーザーに支持されるコンテンツを作り、正しい場所で正しいタイミングに発信していく事が今後のマーケティングになる事でしょう。