アクセス解析「GoogleAnalytics」を導入しているWebサイトは多いですが、殆どが使いこなせず取り敢えず導入しているだけではないでしょうか。
しかし、アクセス解析の一番の醍醐味は、デーから分かった事を改善施策に反映し、効果を最大化する事にあります。データを集めているだけ、もしくはそれらデータを眺めているだけでは何の意味も成しません。
今回は、コンテンツマーケティングに於けるGoogleAnalyticsの見方と、改善施策に反映する方法を紹介したいと思います。
GoogleAnalyticsの見方
GoogleAnalyticsで最低限見るべき箇所
多数の切り口でデータを閲覧出来るGoogleAnalyticsですが、コンテンツマーケティングでは下記指標を中心にデータを分析します。
コンテンツマーケティング施策に於けるGoogleAnalytics確認箇所:
●どこから来たか?(集客口)
どの集客口がコンテンツマーケティング施策に於いて最も貢献しているか確認します。検索エンジン経由が一番流入数が多い場合、検索エンジン最適化が正しく機能し、Google等からコンテンツが評価されている事が分かります。
Facebook等が最も流入数に貢献している場合は、コンテンツ内容がソーシャルメディアと相性が良い為、今後はソーシャルメディア上での露出を強化すると更に集客数の拡大が図れる、等の現状を掴むことが出来ます。
●どれだけのユーザーが閲覧したか?(集客数)
これはページ単位のアクセス数です。公開したコンテンツが如何に顧客獲得に貢献したかを測る一番分かりやすい指標です。GoogleAnalyticsでは「セッション数」に該当します。
せっかく作り上げたコンテンツでも殆ど集客出来ていなければ貢献していないもの同然です。貢献度が高いコンテンツと低いコンテンツを見比べ、低いコンテンツの改善箇所を探ります。
●どれだけの間、ユーザーはそのページを見たか?(滞在時間)
コンテンツがユーザーに刺さり、「良いコンテンツ」として機能したか否かを測る指標です。アクセス数は多いにも関わらず、平均滞在時間が数秒と明らかに読まれていない場合は、内容を見直す必要があります。
●ユーザーは他ページも見たか?(PV数)
ランディングページの平均ページビュー数です。顧客を直ぐに手放してしまっているページと、他ページにも誘導し更にWebサイト、ブランドを知ってもらえるように貢献出来ているページかを判断する指標です。
●そのページ経由でコンバージョンは発生したか?(コンバージョン)
Webマーケティングの最終成果視点であるコンバージョンに寄与しているページを測る指標です。
その他にもユーザー遷移やデバイス別の値など見る箇所は多数ありますが、全体像を確認するだけであれば上記項目で十分でしょう。
GoogleAnalyticsからデータを抽出しよう
早速GoogleAnalyticsで各コンテンツページがどのくらいWebサイト集客に貢献したかを見てみましょう。ここではランディングページのデータを対象とします。
行動>サイトコンテンツ>ランディングページ の順でクリックします。
コンテンツマーケティング施策箇所が特定のディレクトリもしくはURLで分けられている場合は、URLで検索し、コンテンツマーケティング施策箇所のみを表示するようにします。
初期の状態では多数の項目が表示されていますが、主に見る箇所は下記の通りです:
セッション数 … 集客数です。上記例では、最も多く集客しているページは622セッション獲得しているのに対し、同じ時に公開した他のコンテンツは33セッションしか獲得していません。
新規セッション率 … 新規の顧客を獲得出来た比率です。率が高いほど新規顧客開拓に貢献しており、逆に低いほど既存・既知顧客との接触が大半という事が分かります。この値でページの貢献度を完全に測ることは出来ませんが、コンテンツマーケティング施策の最大の目的が「対象顧客母数の拡大」であれば評価指標の一つとなります。
ページ/セッション … ページにランディングした1ユーザーあたりのページビュー数です。2以上であれば、そのページにランディングした全てのユーザーが他のページも見たことになり、誘導に成功していると分かります。
平均セッション時間 … ランディングしたユーザーがそのページに滞在した平均時間です。読み物系のコンテンツなど、ページの内容を理解するのにある程度読み込む必要がある場合で、平均セッション時間が短い場合はそのコンテンツが読まれていないと分析する事が出来ます。
目標の完了数 … GoogleAnalyticsで設定した目標(=コンバージョン)数です。そのページ経由で発生したコンバージョン数が表示されます。
ランディングページ>流入元メディア
顧客に接触したページが分かった所で、どの経路が集客に貢献しているか見てみましょう。
セカンダリディメンションを「メディア」に選択します。
すると、ページURIの横に参照元メディア名が表示されます。同じページでも流入元メディアによって各指標数値が大きく異なります。
(上記例の場合、大半の集客元がorganic(=自然検索)経由という事が分かる。)
メディア毎でランディングユーザーの動きの違いを見つけ出し、最適なコンテンツ公開対象や改善箇所を探します。
ブラウザ上ではURLを軸にデータを見ることが難しい為、一度Excel上でピボットテーブルに組み直した方が見やすくなります。
アクセスデータから分析してみよう
GoogleAnalyticsからダウンロードしたデータを元に各ページの状況を把握し、顧客創造に貢献しているページや改善点などを解析していきましょう。
ランディングページデータ
ランディングページは顧客と初めに接触するページです。コンテンツで顧客を惹きつけているか否かを分析します。
ランディングページで分析する項目は主に下記の通りです:
●セッション数(集客数)
セッション数が多いページはどこか?
コンテンツマーケティング施策のKPIである集客数にどれだけ貢献しているかをページ単位で把握します。
どのメディア経路が最も送客しているか?
参照元メディアで分類した際、集客しているページは多くの流入をOrganicから獲得しているのに対し、集客出来ていないページはOrganicからも殆ど流入を得ていないケースがあります。このケースの場合、集客数が少ないページの大半が検索エンジンの評価が低く、キーワードで上位表示出来ていない事があります。
集客に貢献しているページと、そうでは無いページの違いは何か?
集客しているページと、そうでは無いページを分類し、ページのコンテンツや作りに違いがあるのか、流入元に大きな差があるのか分析します。
●直帰率・ページ/セッション数
《全ページ、同様の数値の場合》
誘導導線が設置されているか? 機能しているか?
表示箇所やリンク文言などを変更し、数値が変化するかテストし、改善していきます。
《各ページによって数値が大幅に異なる場合》
誘導導線に違いはあるか?
ページの内容と誘導導線の関連性はあるか?
一部ページは直帰率が低く、別のページへ誘導できているのに対し、同じコンテンツマーケティング施策のページでも著しく直帰率が高く、訪問してきたユーザーの大半が別のページを見ること無く帰ってしまうケースがあります。この場合は、先ず直帰率が高い・低いページをグルーピングし、それら2つのグループの中で直帰率に関する要素に違いがあるかを確認してみましょう。
例えば、直帰率が低いページはコンテンツの中に補足データとしてサイト内の別ページへのリンクが挿入されており、ユーザーはコンテンツを読む過程で別ページに遷移していたり、お勧めページとして表示されている他のページが今閲覧しているページの内容と類似・補足関係にあったり、とユーザーが継続的に情報を閲覧した導線作りに成っていたりします。
これに対し、直帰率が高いページは導線とコンテンツ内容の関係性が極めて低いケースなど、Webサイト内の情報をもっと見たいと思わせる様な導線が築けていない場合があります。
直帰率が高かったり、ページ/セッション数少ないページのみに対し、誘導導線の関連性を見直し、テストを繰り返すなどの関連性の改良施策が必要です。
●平均セッション時間
流入メディア毎に違いはあるか?
オーガニック経由の訪問キーワードは内容と一致しているか?
参照メディアによって平均セッション時間に大きな違いがある場合は、ユーザー意図が流入元によって大きく違い、よって情報の捉え方も違う場合があると想定出来ます。
検索エンジン経由はユーザーが既に知りたい情報をキーワードで明確に指定する為、知りたい情報に応える事が求められます。求めている情報(キーワード)とページの内容が違うとユーザーが少しでも感じると、直ぐに帰ってしまいます。ソーシャルメディアの場合は、ウォールに流れている情報に興味を持ち流入する為、ユーザー側から情報を知りたいと言う明確な欲求はありません。単に時間潰すしなのかもしれませんし、情報に少し興味があるので読んでいるだけなのかもしれません。
いずれにせよ、参照元メディアでユーザーの意図やコンテンツに対する欲求が異なる為、セッション時間にも差が出る場合があります。
上記を考慮し、例えば検索エンジン経由からのセッション時間が極端に短い場合は、内容を見直し、コンテンツの始めに結論を記載する等、ユーザーの求めている情報に直ぐ応える文章構成に書き直す必要があります。
コンテンツの作者(内容)によって違いはあるか?
文章やコンテンツトピックの選定、タイトル文、画像選定などコンテツの作者によって大きく変わります。同じ内容を書いていても、文章の面白さや情報性は作者によって雲泥の差が出るほどです。一部の作者のみ平均セッション時間が短い場合は、その作者のコンテンツがユーザーに支持されていない可能性があります。今一度、この作者のコンテンツを見直し、コンテンツ構成や文章の書き方・テーストに改善点があるか分析する必要があります。
▼実際の数字を分析した例
青枠のランディングページ:
最もセッション数が多いページ。集客には貢献している。しかし、コンテンツ量が多いにも関わらず、平均滞在時間が20秒と短く、殆ど読まれていない事が分かる。又、ページ/セッション数も1に近い事から、他ページへの誘導も苦戦している。
赤枠のランディングページ:
セッション数はそれ程多くなく、集客貢献度も低い方に分類されるページ。しかし、滞在時間が1分30秒とコンテンツを読むのに十分な時間で閲覧されており、又ページ/セッション数も3ページあり、他ページへの誘導に貢献している事が分かる。
上記2つのページが別ページに誘導したセッション数で見ると、青枠は53、赤枠は45になる。集客数は青枠が最も多いが、集客した総顧客数に対し、別ページに誘導し多くの情報をユーザー毎に対して伝える事ができたページは赤枠になる。
まとめ
コンテンツマーケティングといえばコンテンツの「制作」に目が向けがちですが、他のWebマーケティングと同様に、分析→改善施策立案→実行とPDCAを回していく事で効果の最大化が図られます。ユーザーの取り方や感情まではアクセス解析から見ることは出来ませんが、手前の訪問数や滞在時間などはユーザーの反応を理解する重要なデータとなります。
GoogleAnalyticsのランディングページ箇所を見て、作ったコンテンツがどうユーザーに見られているか確認する事で、さらに良いコンテンツを作るヒントになると思います。