「せっかく記事をアップロードしたのに、なぜかGoogleの検索結果に出てこない…」
「自分では質の高い記事なのに、順位が上がらない..」
検索順位はウエブマスターの意図とは異なる結果を出すことが大いにあります。
なぜその順位なのか客観的に定量的に測れたら、改善点も見つけやすい事でしょう。
今回はGoogleの検索順位と連動して見る事ができる評価指標があるか調べてみました。
順位決定アルゴリズムが複雑化し、実際の検索順位と想定される順位決定要因に一貫性や法則性が見出しにくい状況にあります。
実際、コンテンツマーケティングだけで本当に集客できるのか、Googleが導入を推奨しているSSL化は本当に順位上昇に寄与しているのか?など順位に関する疑問は尽きません。
唯一Googleが表示している定量的評価値であったツールバーPageRankも更新を停止。
これにて、完全にGoogleが順位決定に使用している定量的指標を得る手段が無くなりました。
では、Google以外の企業が公開しているバックリンクの評価値はどうでしょうか。
今現在、独自のクローラーと算出アルゴリズムを運用している企業は5社あります。(バイドゥ、Naver等は除く)
APIを公開しているのはMajestic.com、Ahrefs.com、Moz.comの3サービスになります。
API経由で大量のデータ取得が可能で、過去類似した実験が行われているMozを選びました。
参考:評価指標主導型SEOのためのmozRankとPageRank(
Mozscape APIの価格表です。
Low Volumeプランの場合、月額500ドル(5万円)で50万URLのリクエストが可能です。
Page Authorityの説明ページにもあるように、MozのメトリックスはGoogleの検索順位アルゴリズムを意識した作りとなっています。
月1回のMoz LandScape indexの更新と合わせて、各MozMetricsのアルゴリズム更新が行われ、現在のGoogle評価に合わせる形で各指標を算出しているのでは無いかと思われます。
Moz.comは自社クローラー(RogerBot)を用いて全世界のリンクデータを独自に保有し、独自のアルゴリズムを通して各指標を算出しています。
決してGoogleや他検索エンジンとデータが連動している訳ではありません。
では、各指標を説明します。
●Page Authority
リンク数やMozRank、MozTrustやその他多数の要素によってMozが独自に算出する単体ページ評価値である。0~100の間で評価される。値が高いほど、ページ(URL)単体の評価は高い事になる。
Page Authority@moz.com
●Domain Authority
ドメイン全体の評価値。被リンク数やMozRank、MozTrust、ドメイン配下にある全ページの評価など対象となるドメインの全評価を総合的に表した値。0~100に間で評価される。値が高いほど、ドメイン(Webサイト)全体の評価が高い事になる。
Domain Authority@moz.com
●MozRank
リンクポピュラリティを表す値。対象となるページが受けるリンク数や品質によって算出される。0~10で示され、数値が高いほど多数・高品質な被リンクを受けている事になる。ページ(URL)単位のMozRank(mR)とドメイン単位のMozRank(DmR)がある。
MozRank@moz.com
●MozTrust
リンクの「信頼度」を表す値。教育機関や公的機関など信頼性が高いWebサイトからの被リンクによって変化する。MozRankと同じく0~10で評価される。ページ(URL)単位の値とドメイン単位の値(DmT)の2つがある。
MozTrust@moz.com
今回は調査方法として、特定のキーワードを検索し検索結果に表示されるURLを1位~60位分まで取得。各URLの指標と順位の相関性を見ます。
調査キーワードは無作為に894個選定しました。すべて検索ボリュームが10以上あるキーワードに限定しました。
表の項目の説明
PA・・・ Page Authority
DA・・・ Domain Authority
DMozRank・・・ ドメインレベルのMozRank
Dmoztrus・・・ ドメインレベルのMozTrust
MozLinkCnt・・・ 被リンク数
各値の算術平均値を順位毎に並べてみます。
順位と各Moz指標を並べた表です。
この表だけを見ると順位が上昇するに連れてPageAuthorityも増加し、順位が下落する事でPAも低下しています。
その他の指標は特に連動性は無いように見受けられます。
次に1キーワードの検索ボリュームが10000以上の場合の指標と順位の表です。
所謂ビッグワードと呼ばれるキーワードが対象となります。
PAに微かな相関は見られますが、先ほど(総計)の様なひと目で分かるような強い相関は見られません。
検索ボリュームが1ワードあたり10000以下のものに絞ったケースの表です。
先ほどの表とは異なり、非常に分かりやすい相関がPAと順位に見られます。又、MozRankやMozTrustにも同様に順位との相関が現れました。
ビッグワードよりミドルワード以下の方がページ単位の評価が検索順位に大きく影響する為でしょうか。
逆にビッグワードは大手老舗サイトなどドメイン評価値が高いサイトが占有している為なのかもしれません。
更に絞ったケースではどの指標に変化が現れるでしょうか。
1ワードの検索ボリュームが1万以下で、尚且つ2語掛け合わせキーワードの場合、検索順位とPA、MozRank、MozTrustに強い相関性が見られます。
やはりテール系キーワードはページ単体の評価が順位にも大きく影響してくる事になるのでは無いかと考えられます。
又、各ページが受けている被リンク数(平均値)は順位と最も相関性が無いのも特長です。
上図は各キーワードセグメントとMoz指標との相関関係数をまとめた表です。
どれもPAやDA、DmTに強い相関性が見られる一方、被リンク数にはさほど相関が見られません。
さらにビッグワード(検索ボリューム1万以上)の場合、ページ(URL)単体のリンク評価(MozRankやMozTrust)は殆ど相関が無い一方、ドメイン単位のリンク評価は重要な要素(DmR、DmT)である事が分かります。
Mozの指標と合わせてソーシャルシグナルと順位の相関もみてみましょう。
全URLのFacebook(いいね、シェア、コメント数)やツイッター、Google+の値を取得しました。
上の図を見ると、一見関連性があるように思えますが、実際には特定のURLが爆発的なシェアやいいねを獲得しており、平均値の数字が飛び跳ねているだけでした。
又、過去GoogleのMatt氏もソーシャルシグナルを順位決定要素には利用していないと断言しています。
参考:Google「Twitter や Facebook ソーシャルシグナルを検索順位に利用していない」と明言
又、FacebookのURL投稿も「l.php」というページを一度還す構造となっており、Facebookはl.phpへのアクセスを禁じている為、バックリンクとしての効果は無いと考えられます。
又、SSL化が検索順位の決定要素になるとGoogleは発表しましたが、今回取得したURLのHTTPS数と順位をみても、相関はほぼありませんでした。
まだHTTPSによる評価の係数値が大きくないのかもしれません。
参考:HTTPS をランキング シグナルに使用します
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最後に:
今回は検証を目的にMoz値やソーシャルシグナルと順位の相関を調べてみました。
MozのPAが検索順位と相関があるのであれば、上がらない理由などを探る際に利用してみても良いかもしれませんね。
※Mozの指標はツールバーからも確認できます。
※当記事で紹介している内容は、弊社独自の見解による物です。情報の正確性、有用性などについて一切の保証を与えるものではありません。 あくまでも参考としてご覧ください。