最近、日本でも一般的になりつつあるクラウドソーシング。日本国内のメジャーどころと言えばランサーズやCrowdworksなどが有ります。
ホームページ制作やロゴ制作、システム開発、SEO、リスティング運用などパソコン上で出来る事なら全て依頼する事が出来、企業から個人の方まで利用するまでになりました。
クラウドソーシングの一番のメリットは、やはり価格の安さにあります。本来は代理店や製作会社などに依頼(発注)する物を直接個人と個人がやりとり出来、又コンペなどでクオリティの良いアウトプットを全世界のクリエイターから募集する事が出来ます。しかし、クラウドソーシング市場も一般的になり、供給より需要数の方が増えている現在、平均単価も以前より高い傾向にもあります。
当然、クオリティがすばらしい制作物を作って頂くクリエイターの方には、それに見合った対価をお支払いするべきですが、ちょっとしたプログラミングやコーディングなどは発注側の予算より大幅に高い価格の場合があります。
そこで今回はより安価で仕事発注が出来る「Freelancer.com 」をレビューしてみたいと思います。
クラウドソーシングを使う目的 弊社Webサービス「ContentForce」の一部機能を今回は外注しました。
人的リソースの関係上、一部機能を外注しリリーススケジュールを短縮する事が今回の外注目的です。当初は日本国内のクラウドソーシングサービスを検討しましたが、想定費用が計画よりも大幅に上回っており、断念せざるを得ませんでした。
そこで検討したのが、「Freelancer.com」です。
Freelancer.comはオーストラリアに本社を置くクラウドソーシングサービスサイトです。Webサイト言語が英語の為、オーストラリアのみに限らず、英語圏すべてのフリーランサーの方が仕事を応募してくれます。
Freelancer.comの類似サービスとしてODesk.comがありますが、今回ユーザー数が多く、依頼したい内容と類似した案件が多数あったFreelancer.comを選びました。
Freelancer.comでクラウドソーシング 依頼した内容 データ加工スクリプト(PHP)を依頼しました。
言語による制限が無い箇所の為、英語圏のエンジニアでも対応可能な箇所であった事、利用するライブラリとAPIのドキュメントが英語で豊富に用意されていた事があり海外への発注も問題なしと判断しました。
↑類似案件を探して、発注内容をコピーしてプロジェクトを作成する事が出来る
発注時に重視・気をつけた事 APIに知識があるユーザーに絞った 今回の発注内容は、あるAPIを利用しデータを抽出、加工する箇所がありました。
APIは独自の仕様が用いられており、一定の知識・知見がないと直ぐには取り掛かれない内容でした。納期を重視していた為、新たな学習が不要なフリーランサーを予め選別しました。
選定方法 選別方法としては、ユーザーのプロフィールから特定APIの利用履歴があるユーザーと、類似案件を探し実際にタスクを受注&高評価を得たユーザーのリストを作成しました。
後は直接それらユーザーに対して案件提案依頼を貰う形式を取り、最終的に1人を選ぶフローをとりました。
発注内容は詳しく記載 クラウドソーシングでトラブルになるのが完成品のミスマッチです。発注側の案件説明不足によるものが多く、結局完成しなかったり、途中でプロジェクト自体が頓挫してしまうケースもあります。
言葉が異なると尚更トラブルになると思った為、英語で分かりやすく案件説明を書きました。
その際、下記に気をつけて案件説明を書きました。
納期を明確に記述 何日までに何を誰がどうするかを明確に、時系列で書きました。
例) ・First Output(Send the output to us) – due to 2014.05.21(You) (第一納品を我々に送付する:期限14.5.21(貴方)) ・First review of code (Give feedback to you) – due to 2014.05.22(Us) (第一納品をレビューし、修正箇所を伝える:期限14.5.22(弊社)) ・Fix the code if needed(Send the fixed one to us) – due to 2014.05.24(You) (必要に応じて修正し再納品:期限14.5.24(貴方))
マイルストーンを細かく設定 「発注」→「納品完了」までのチェックポイント(マイルストーン)を明確に設定しました。
また、明確に設定しすぎてこちら側のメリットしかない場合、ユーザー(仕事を受けて頂くフリーランサー)のモチベーション低下を避けるためにもマイルストーン通過後、前金の支払を設定しました。
ある程度コードを完成させたユーザーであればよっぽどの事が無い限り放棄しないと考え、一部マイルストーンに前金での支払を設定しました。
ゴールを明確に記載 最終的にどの様なコードが欲しいか明確に記載しました。その際、絶対に外せない箇所を文面化し、発注側と受注側の最終ゴール(アウトプットイメージ)のズレを無くす様にしました。
又、類似サービスのURLを伝え、実際の動きなども見ながらイメージしてもらう様にしました。
↑受注者とのやりとりは略全てチャットで完結
納品物のクオリティ 納期、質共に満足いく物でした。
日本と受注者の国の間には大きな時差がありましたが、実際に依頼した(日本側の)時間が遅く、翌日起床後には納品されている状況にはグローバルな発注のメリットを大きく感じました。
受注者は既にFreelancer.comで多数の実績があり評価も高かった為、納品までの対応、段取りも素晴らしく、質問にも丁寧に答えてくれました。
同様なプログラミングを日本国内で発注していた場合、数倍のコストと時間が掛かっていたと思うと、今回のFreelancer.comでの発注は正解でした。
まとめ 発注前は、ちゃんとやりきってくれるのだろうか?品質は担保されるのだろうか?受発注で必要なコミュニケーションは成り立つのだろうか?など不安は沢山ありましたが、問題なくあっさりと終わりました。
海外のクラウドソーシングは「言葉」という大きなハードルがありますが、言葉の問題点以外はむしろメリットが多い様な気がします。
世界中の受注者が参加しており、日本では低価格帯でも国によっては高単価案件として取り合ってくれます。又、非常にマニアックで狭い領域の技術依頼でも世界を見れば得意とするユーザーが多数おり、技術に関する事前説明を省いても問題なくタスクをこなしてくれます。
お金だけのメリット以上に時間、技術のメリットも受ける事が出来るクラウドソーシングは有効活用しない手は無いと思います。