最近注目され始めているコンテンツマーケティングですが、他プロモーションと異なり直接的な効果(コンバージョン)に寄与するまでに長期時間を要する為、効果測定指標の設定が非常に重要となります。
コンテンツマーケティングのデメリットとして効果が出るまでに時間がかかる上、継続的な実施が必要となります。
単にコンバージョンのみを追った場合、効果が出始める手前で「効果無し」と誤った判断をしてしまう事もあります。
今回はコンテンツマーケティングの効果測定指標に関し説明したいと思います。
Webマーケティングファンネルを理解しよう
マーケティングファネルとは、集客から顧客化(コンバージョン)までのマーケティングフローを整理、設計したものです。
潜在顧客層との接触から始まり、集客、商品・サービスの理解、自社の理解、信頼、顧客化へとユーザーが進む過程をマーケティング手法にて設計する際に用いられる概念です。
マーケティングファネルは大きく3つのセクションに分けることが出来ます。
ToFu(Top of Funnel)
最初の顧客獲得パートです。
マーケティングファネルの最も上に位置します。顧客との初回接触を担当し、集客数の母数形成に大きく影響します。顧客と成り得るユーザーとWebサイトが初めて出会う箇所であり、ToFuで獲得できるユーザー数は最終的なコンバージョン数に大きく影響します。「面」を出来る限り大きく取り、集客数の最大化を図ります。
検索エンジンでZMOT段階で検索したユーザーをWebサイトやブログで集客する、ポッドキャスト・Youtubeを通してdirect流入を図る、インターネット広告経由で集客する等のケースが挙げられます。
ToFuコンテンツ例:
・ブログ
・ホワイトペーパー
・ハウツー系記事
・ハウツー系動画(動画共有サイトを活用)
・類似商品のレビュー記事
・ソーシャルメディアへの露出(投稿)
・ゲスト投稿
・インフォグラフィック
・用語集
・ポッドキャスト
MoFu(Middle of Funnel)
商品・サービスや企業の理解、信頼獲得をするパートです。
訪問してきたユーザーにWebサイト内のコンテンツを通して情報を伝え、商品やサービス、企業への理解促進を図ります。これにより、ユーザーの興味関心は高まり、信頼の強化(コンバージョン促進)へと繋がります。
MoFuコンテンツ例:
・導入事例、ケーススタディ
・導入、購入による効果データ(法人であれば稟議・決裁に必要となる情報)
・デモアカウント、デモ画面(実際の使用感)
・クイック料金見積もり(見積金額をその場で表示)
・競合他社製品との比較コンテンツ
・購入ガイドライン
・同業他社からの推薦コンテンツ
・著名人、有識者からの推薦コンテンツ
・製品開発者のコンテンツ(開発秘話など)
・代表取締役社長の挨拶(創業から製品に対する想い等)
・社員採用ページ(社員の顔、会社の実態が見える)
例として動画を用いた商品紹介や事例紹介、企業概要ページ、社員の顔が見える採用情報ページ、ニュースレター、IRページなどが挙げられれます。
BoFu(Bottom of Funnel)
信頼を獲得したユーザーを転換(コンバージョン)させるパートです。
既に商品・サービス・企業を理解し、ある一定の信頼があるユーザー層が、再度のコンバージョンまでに至るフローの事です。CTAの最適化(EFO等)やCRM等を用いて見込み顧客(リード)へのフロー営業、無料トライアルによる申込障壁の低減などを用いて転換率の向上を図ります。
BoFuコンテンツ例:
・無料体験トライアル
・テストモニターの募集
・クイック料金見積もり(見積金額をその場で表示)
・既存顧客の導入事例紹介(動画、写真付きで紹介)
・メールによるフォローアップ営業
・DM、電話などによるフォローアップ営業
他改善施策例:
・EFO(申込みフォームの改善によるCVR向上)
・SSL証明書の導入
・プライバシマークの表示
コンテンツマーケティングの効果・評価指標はどこに置くべき!?
上記マーケティングファネルで考えると、コンテンツマーケティングが活躍する箇所は「ToFu」になります。
他ブログ記事「コンテンツマーケティングとは!?」にも記載していますが、コンテンツマーケティングの強みは潜在顧客(見込顧客)とZMOTの段階(早期段階)で接触出来る所にあります。
まだ購入・申込の意図は無いが、今後コンバージョンする可能性が高い潜在顧客層に対しコンテンツを用意する事で、早期段階から顧客に対し商品サービスのブランド認知や、メールアドレス獲得を得て営業を図るための集客窓口を築く事が出来ます。
MoFuやBoFuに於いては、サービス内容の伝達方法(動画や事例の用意)や信頼性向上のし掛け(プライバシマーク表示やSSL導入、取引先一覧、顧客による導入事例紹介、会社社員の顔写真付き紹介ページ等)など、すでに訪問している見込顧客を如何にコンバージョンへ誘導するかがポイントであり、KPI(効果指標)をこの部分に置く必要があります。
コンテンツマーケティングの効果指標(KPI)
最終的なコンバージョン地点によってKPIとなる計測項目は異なりますが、概ね下記項目になります。
コンテンツの量
コンテンツマーケティングを実施する上で最初の難関となるのが、「量」を担保できるか否かです。
いくら高品質なコンテンツを1つだけ用意しても、そのコンテンツが生み出す利益はどうしても限りがあります。
リスティング広告などの広告経由による集客とは異なり、コンテンツマーケティングは小さい集客口を継続的に作り続ける事で、安定した優良見込顧客を集客を図れる所にメリットがあります。
この為、内容の充実さやユーザーの要望にこたえているコンテンツを作る事は当然重要ながら、それらコンテンツを安定して継続的に作り上げていく体制が必要となります。
KPIの一つとして、「公開・提供するコンテンツの量」を期限付きで定め、社内運用で回していく必要があります。
上記表の様に、社内でコンテンツを作成する場合は「誰」が「いつ」までに「何本」公開するのかをスケジュールと共に数値で策定し、管理していく必要があります。
「まずは、はじめて見てから様子を見る」と言った形でスタートした場合、十分な量がなかなか集まらず、効果も見えづらい為、結局途中で頓挫してしまうケースがあります。
以上から、「コンテンツの公開数」は重要KPIとして追う必要がある指標です。
流入数、検索順位
最も明確な指標として「流入数(トラフィック)」があります。
コンテンツマーケティングの一般的な集客口は「検索エンジン経由」と「ソーシャルメディア経由」の2つがあります。作成したコンテンツが何人の顧客を集客しているかを「流入数」で計測し、Webサイトへの集客貢献度を図ります。
「新規訪問率」はコンテンツマーケティングで新規顧客をどれくらい獲得出来たかを測る指標です。顧客の母数拡大が重要なのであれば新規訪問率はトレースする必要がある指標です。
又、集客口として大きな影響力を持つ検索エンジンの順位も重要な指標です。公開したコンテンツが検索エンジンに評価され、多くの見込顧客の目に触れているか否かを「検索順位」で計測します。
直帰率、滞在時間
公開したコンテンツの「質」を測る指標です。
訪問したユーザーがコンテンツを読み込んでくれたか、それとも直ぐに帰ってしまったかを測る指標です。滞在時間も短く、直帰率が高い場合は見込顧客の要求にマッチしていない事が分かります。
PV数、ソーシャルシグナル
コンテンツの質(ユーザーエンゲージメント)、ブランドの認知促進力を測る指標です。
初めて訪問したユーザーがコンテンツ内容を気に入り他コンテンツも見たいと感じ、尚且つナビゲーション(サイト内の導線)が整備されている場合、ユーザーは他のページにもアクセスします。
平均PV数が多い程、集客したユーザーにより多くの情報を伝える事に成功しており、ToFuからMoFuにユーザーを誘導できている事になります。
又、Facebookの「いいね」等のソーシャルシグナルはユーザーによるコンテンツの評価を数値で判断出来ます。アクセス数が多数あるにも関わらずFacebookで「いいね」が殆ど付かない場合は、内容がユーザーの要求に一致していない可能性もあります。
又、「シェア」も同様にコンテンツ質、ユーザー要求の一致度を測る事ができます。ユーザーが読みコンテンツが役立った場合、友人に知らせたいという思いから共有したり、情報が新しい(未だ知られていない)・自分しか知らないとユーザーが感じた場合、優位性を示すために共有したり、コンテンツページに書かれている事(考察)とユーザーの考えが一致もしくは全く一致しない場合、共感欲求の為に共有したりとユーザーの意図が多数に渡りコンテンツの質や評価を測るにはノイズが多い指標ですが、反応があるコンテンツを測る指標としては利用出来ます。
必ずしも良いコンテンツ全てが「いいね」を獲得する訳では無いので、あくまでも参考値として見る必要がありますが、アクセス数では見えないユーザーによる評価を数値化し、コンテンツの改善判断値として利用できます。
又、ソーシャル上での拡散や、公開コンテンツが他のWebサイトで紹介される等の周知活動が続くことにより認知度が高まり、ブランド名での流入が増加します。検索エンジン経由からブランド名・サイト名での検索キーワード流入が増えた場合や、TOPページへのランディング数が増えた場合は認知度を測る副次指標として扱う事が出来るのではないかと考えます。
コンバージョン
これは「収益」を測る指標です。
最終的なゴールであり、最も重要な指標でしょう。しかし、コンバージョンに至るまでには非常に長いユーザー接触(セールス)が必要です。
又、コンバージョンはマーケティングファネルのBoFuに位置します。コンテンツマーケティングの強みである集客数の増加と、顧客のサービス・商品認知を促進をコンテンツマーケティングで図り、商品紹介の充実化や社長挨拶ページなどで転換率を高める、といった適材適所のマーケティング手法を用いて、コンバージョン数の増加を図るべきでしょう。
結局どの指標を追えばいいの?
KPIを洗い出そうとしたら切りがありません。
最終的なコンバージョンを最終的なゴールとした場合、無数にも因数分解出来てしまいます。多数のKPIを割り出しても、その値を毎日モニタリングし、改善施策に反映出来なくては全く持って意味がありません。
では、どの指標を最低限追えばよいのでしょうか。
Webサイトや商材・サービス内容、対象顧客像によって多少異なりますが、下記指標が最低限計測すべき指標として当てはまるかと思います。
↑ミニマムな評価指標案
上記であれば、GoogleAnalyticsと順位計測ツールを使えば毎日数分~1時間で計測し、状況を把握出来るでしょう。
まとめ
コンテンツマーケティングはリスティング広告などの様にすぐにコンバージョンに直結しない場合もあります。
顕在顧客層を獲得するのが目的ではなく、今すぐには購入には至らないが育成する事で優良顧客になってくれるユーザーを集客し、コンテンツを提供する事で会社や製品を知ってもらう、そして興味を示してもらう 事がゴールになります。
積み重ねと継続性が成功の鍵を握るコンテンツマーケティングだからこそ、UU数やPV数などの効果測定を通して日々新しいお客様に認知出来ているか、商品サービスを知ってもらう機会を生み出せているか等を確認する必要がありますね。