最近、各社始めているコンテンツマーケティングですが、記事コンテンツを公開しながらも、その内容のユニークさやおもしろさで大きな反響を得ているサイトがあります。
今回は、その事例のひとつとしてぐるなびレストラン検索を取り上げたいと思います。
ぐるなびの集客数の変化
毎度おなじみSimilarwebで確認してみましょう。
※上図はSimilarWeb Proの画面キャプチャ
レストラン検索系のWebサイトは、その集客の大半を検索エンジンから獲得しており、それらキーワードはSEO激戦区でもあります。ぐるなびも例外ではなく、集客の6割近くを検索エンジンから獲得しています。
検索エンジン経由の集客数はやや右肩下がりですが、ソーシャル経由の集客推移は今年の5月から上昇基調にあります。(赤枠の箇所)
上図はソーシャルメディア経由のみのアクセス推移です。他参照からのアクセス推移とは異なり、ソーシャルメディア経由からの集客数は今年に入り大幅に増加している事が分かります。
SimilarWebによると、月30万近くの集客数をソーシャルメディアから獲得しています。
上図はソーシャルメディア経由の集客比率です。多くがFacebook及びTwitterである事が分かります。広告からのアクセスは0である事から、全集客数が自然に発生した拡散による物であると推定できます。
新たな集客口を獲得したぐるなび
検索エンジンはぐるなびにとって今も昔も変わらず重要な集客口です。
競合サイトである食べログやHot Pepperも同じく、その集客の大半を検索エンジンに頼っています。
しかし、各サイトSEOに非常に力を入れており、殆ど検索結果の順位が動かない状態にあり、このままでは集客数の横ばいは打開できません。
実際にぐるなびが新たなWebマーケティング戦略として行っているのかは不明ですが、有名なクリエイターさんが「食」をテーマにコンテンツ作品を公開する「みんなのごはん」というコンテンツを、今年に入りソーシャルメディア上で頻繁に見かけるようになりました。
急上昇しているソーシャルメディア経由の集客は何処から発生しているのか調査してみました。
「みんなのごはん」のコンテンツ例
【中毒性注意】卵かけご飯(TKG)に使ってはいけない禁断の組み合わせレシピ
14/10/31現在:FBいいね4,685 ツイート数1,197
既存コンテンツであるレストラン検索とは大きく異なり、「食」というテーマを守りつつも、様々なコンテンツを展開している。
ソーシャルメディア経由の集客増加に繋がっているコンテンツとは!?
集客口として機能しているコンテンツは何か抽出、調査してみました。
はてなブックマーク
日本国内で最もユーザーを抱えるソーシャルブックマークサイト「はてなブックマーク」から、反響を得ているページURLを調査しました。
↑「r.gnavi.co.jp」のブックマークUser数の降順
大半のブックマークが「みんなのごはん」というページについていました。
ぐるなびのメインページである店舗ページやSEOの激戦区である地域検索一覧ページには、殆どブックマークがなされていませんでした。
以上から、仮設として「みんなのごはん」がソーシャルメディア上で反響を得て、月30万アクセスを獲得しはじめていると想定しました。
「みんなのごはん」とそれ以外で比較
「みんなのごはん」がソーシャルメディアから多くの反響を獲得し、ソーシャルメディア集客の増加に大きく貢献したという仮設を裏付けるべく、ソーシャルシグナル値の比較を行ってみました。
今回は無作為に「みんなのごはん」ページのURLと、それ以外のページのURLを50個ずつ抽出し、比較してみました。できる限り各方面いから評価を得ているページで互いに比較する様、検索結果に表示されるページを上から順に抽出しました。
↑URL毎に集客のキッカケになったソーシャル反響数を抽出
50URLの合計値
上図は各ソーシャルメディアのシグナル値合計をグラフにしたものです。
ツイート数(twitter)を除き、各ソーシャルメディアの反響数は「みんなのごはん」とそれ以外ではケタ違いの結果となりました。
特に実名登録が求められるFacebookでは、いいね数、シェア数ともに大きな違いが見られました。
50URLの中央値
各URLによって値が大きく異る為、中央値の値も算出しました。又、算術平均は外れ値が大きい為、採用しませんでした。
合計値のグラフとは異なり、ツイート数やいいね数に大差が見られます。「みんなのごはん」ページは押しなべて各ページにソーシャルメディアからの反響を得ており、各ページがソーシャルメディアの集客口として機能していると見る事が出来ます。
店舗ページは、一部ページを除き殆どがソーシャルメディアからの反響を得ておらず、ソーシャルメディアからの集客には寄与していないと考えられます。
ユーザーのコメント
コメント文を読む限り、ポジティブな反響が多く目立ちます。
エンターテイメント性が高いコンテンツや、日常で役立つ(おすすめカフェなど)コンテンツなどが大半の為、大半のユーザーがポジティブなコメントとして残しています。
まとめ
スマートフォンの普及が起爆剤となり、ソーシャルメディアやニュースアプリの普及が急激に高まり、あらたな集客口が生まれています。
時代の変化や技術、サービスの発展に伴って、ユーザーや顧客は新たなメディアに移行しつつあります。
ぐるなびの例はコンテンツマーケティングの良い事例と共に、SEOという既存の集客口とは別の活路を見出す例とも言えます。
ソーシャルメディアや共有アプリからの集客を図るためにも、各顧客に合わせたコンテンツを作成し、適切な形で公開していく事がこれからのWebマーケティングに於いては重要なのでしょう。