「Will it Blend」をご存知でしょうか?
米国ユタ州に本社を置くミキサーを製造、販売するBlend tec社のYoutube上で展開する動画コマーシャルのを展開しており、動画の始まりに流れるタイトルの事です。
参考:Wikipediaの説明「Will It Blend?」
自社の主力商品である家庭用ミキサーを利用して、様々なものをミキサーにかけるだけの動画を公開しています。ミキサーにかける物もiPhoneやゴルフボール、CDなど本来であれば絶対にミキサーにかけないような物ばかりを粉砕する動画です。
一見、可笑しな動画コマーシャルに見えますが、Blendtec社はYoutube上でこの動画コマーシャルを始めて以降、売上が700%まで上がったとの事。
今回は、大成功しているBlendtec社のコンテンツマーケティングをご紹介したいと思います。
Youtubeで動画コマーシャルを配信
公開動画は1日で11万回を再生する程の人気
ついこの間販売が開始されたiPhone6 Plusを早速「ブレンド」し、公開した動画は、公開後1日も経たずに10万回以上再生されていました。
Blendtec社はApple商品が販売開始される度に「Blend」した動画をYoutube上に公開していますが、どの動画も数十万回以上の再生を誇っています。
一見「誰もが欲しがる新Apple商品を無意味に粉砕するなんて可笑しな動画だ」と思うかもしれません。しかし、そのインパクトから多くの動画やソーシャルメディア上で度々話題になり、一気に動画の話題性が広まります。
もちろん、Blendtec社の公式Youtubeチャンネルには真面目な動画も多数あり、会社紹介や商品紹介などの動画も多数あります。
・参考:Blendtec社の公式Youtubeチャンネル
効果:ブランドアウェアネスの向上
Googleトレンドの人気動向推移グラフからも、Youtube上での動画コマーシャルを公開後、急激に社名での検索回数が急増し、ブランド名(社名)の認知度向上に貢献している事が分かります。
メイン市場である米国はもちろんの事、世界中で一気に社名やブランド名が広がりました。同じ効果をTVCMなどで行ったら相当な宣伝費が必要になるでしょう。真新しいiPhoneを粉砕するのは勿体無い様に思えますが、宣伝効果としては破格の費用で出来た事になります。
効果:売上が700%向上
Blendtec社の社長Tom Dickson氏はインタビューで売上が700%アップしたとの事。
▼社長のインタビュー
物販の販売を一気に7倍以上までに上げる事は奇跡に近く、通常の広告などでは考えられない効果を非常に安価なマーケティングコストで達成した事になります。
Blendtec社のWebマーケティング
Youtubeによって一気に知名度を上げたBlendtec社ですが、実はWebマーケティングを非常に高い精度でやり切っている会社でもあります。
集客の大半は検索エンジン経由
Simillarwebによると、流入の50%近くが検索エンジン経由という事が分かります。
その内約80%が自然検索による流入でる事から、Blendtec社にとって検索エンジン経由の流入は重要な集客領域になります。
Similarweb Proで検索キーワードを見ると、多くが「スムージー」や「アイスクリーム」等のレシピ系キーワードでした。
これは検索エンジン経由の約6割以上がBlendtec社を知らないユーザーによる流入であり、潜在顧客層の集客に成功していると考える事が出来ます。
サイト全体の半数近くの集客を支えているのがレシピサイトとBlogです。
Blendtec社では、公式サイト内にレシピサイトを開設しており、主力商品であるミキサーで調理する事が出来る料理のレシピを公開しています。
レシピサイトとブログの役割
レシピサイトはレシピのみを掲載しており、既存顧客へ調理法を提案したり、料理名で検索する顧客を集客しています。
ブログサイトは「レシピ」だけではなく、ダイエットや健康などより大上段の話題を取り扱い、より潜在顧客層を集客し、ミキサーで出来る解決案などをコンテンツを通して提案しています。
ソーシャルメディアも多数のユーザーを抱える
Facebookはもちろんの事、Blendtec社はインスタグラムでもマーケティングを展開しています。
すでに多くのフォロワーを獲得しており、健康志向が高い女性層のユーザーに対してレシピを配信しています。
各写真には多くのコメントとLikeが付いており、効果的に見込顧客層に対してブランド名や商品機能、そして「商品で得られる経験」を伝えている。
まとめ
今回紹介したBlendtec社のケースは、実は多くの中小企業のマーケティング施策のヒントになるのでは無いかと思います。
中小企業はどうしても宣伝広告費が限られ、満足に広告を打つ事が出来ず、中々売上を上げる事が出来ないジレンマに入りがちですが、広告費が無いからこそ頭を捻って周知させる必要があると思います。Blendtec社が当時広告費の問題からこの動画コマーシャルの企画を思いついたかは分かりませんが、同じ規模の効果を通常の広告宣伝で行おうとしたら膨大な費用がかかります。
しかし、アイデアを絞り「面白く、斬新な動画」を公開した事で、ユーザー間で自発的にそして爆発的にブランド名が広がりました。その結果、短期間で売上を700%まで上げる事に成功し、今なお動画コマーシャルによる効果は衰えていません。
また、Blendtec社は動画コマーシャルと合わせてWebサイト上のコンテンツも充実させ、多くの見込顧客の獲得に成功しています。
このBlendtec社は日本国内の製造業やサービス業を営んでいる企業にとって成功実例として捉える事が出来ると思います。大手がやらない奇抜なコンテンツで潜在顧客を惹きつける方法として参考にされてみてはどうでしょうか。