全てのWebマーケティング施策に於いて、目的があります。
「認知度向上」、「ブランディング」、「接触回数の増加」、「初回接触」等など施策に応じて目的として置いているKPIは異なります。
しかし、一貫して共通して言える事があります。それは「企業収益への貢献」です。営利企業にとって全てのマーケティング施策は企業の売上向上(収益向上)の為にあります。これはコンテンツマーケティングも例外ではありません。
コンテンツマーケティングはまだ意志が明確では無い潜在見込顧客層との接触が目的であり、役割上どうしてもラストクリックコンバージョンとしては力を発揮しない傾向にあります。
しかし、対象となる顧客母数を増やす事で確実にコンバージョン数、ひいては収益の向上に寄与します。
ラストクリックのみを収益貢献度として見なし、Webサイトや各マーケティング施策の効果測定を行うと、誤った判断をしかねません。
ZMOTに提唱される様に、スマートフォンによるネット普及率が大幅に高まったした現在、如何に潜在的なWantsを探し出し、見込顧客と接触できるかが収益拡大の鍵を握っています。
今回はアトリビューション分析をGoogleAnalyticsで行う方法を書いてみたいと思います。
参考:ZMOT@コンテンツマーケティングとは?
アトリビューション
コンバージョンに寄与した全ての経路を分析する「アトリビューション」でコンバージョンに至るまでに貢献した施策やWebページを評価する事が出来ます。
アトリビューション分析はアドエビスなどの広告測定ツールなどを利用し分析する事も出来ますが、アクセス解析のGoogleAnalyticsでもデータを抽出する事が出来ます。
GAモデル比較ツールとは
GoogleAnalyticsにはアトリビューション分析として「モデル比較ツール」を備えています。
アナリティクス管理画面の コンバージョン > アトリビューション > モデル比較ツール でアクセス出来ます。
GoogleAnalyticsのモデル比較ツールでは、アトリビューションモデル毎にコンバージョン値を抽出する事が出来ます。
デフォルトで搭載されているモデルは下記7個です:
終点
└コンバージョンに至った最終地点
最後の間接クリック
└ラストクリックの直前クリック
AdWords広告のラストクリック
└最後にクリックしたAdWords広告
起点
└最初に経由したページ・チャネル
線形
└各ページ・チャネルに均等にCV値を配分
減衰
└CV到達に近い接点順にCV値を配分
接点ベース
└起点と終点にCV値を40%配分し、途中の接点に残りのCV値20%を配分
・参考:Google公式:アトリビューション モデルについて
コンテンツマーケ測定では「起点」、「線形」
GoogleAnalyticsのアトリビューションモデルはモデル毎に定められた配分率によってCV値を接点毎に配分し、評価値をつけています。
▼モデル比較ツール
どの接点を重要視、分析するかに合わせてGoogleAnalytics側のモデルを選択します。
コンテンツマーケティングでは、「起点」と「線形」の2つのモデルで効果分析を行います。
コンテンツマーケティングはその特性上、潜在顧客層を早期段階で集客する事に強みを発揮する為、「顧客との接触のキッカケを作ったページ」と「CVに至るまでに関わったページ全て」を分析し、評価します。
※対象とするユーザー層や商材、コンテンツ内容によってはモデルを変えて分析する必要もあります。
アトリビューションレポートを作成
コンテンツマーケティング施策で作成したページにアクセス(集客)はあるけれども、結局のところコンバージョンに寄与しているか否かを測定する事は重要です。
ここでは、どのページが「顧客と初めて接触するキッカケ」を作ったか分析したいと思います。
1)アトリビューションのCVに寄与したページURLを抽出
「どの経路」で「どのページ」が起点として貢献したかのデータを抽出します。
GoogleAnalyticsのアトリビューション分析:モデル比較ツールにて「起点」を選択します。ディメンションとして「参照元/メディア」>「ランディングページのURL」を選択します。
表示したデータはCSVでダウンロードします。
2)ランディングページのデータ抽出
次に見込ユーザーがランディング(サイト外から訪問したページ)したページのデータを抽出します。アクセス数(集客数)やエンゲージメント向上(滞在時間等)に寄与しているページが行く行くはコンバージョンにも貢献しているか把握する為にアクセスデータを抽出します。
「行動」>「サイトコンテンツ」>「ランディングページ」をクリックします。
ディメンションを「ランディングページ」>「参照元/メディア」に設定し、データをダウンロードします。
3)データの結合
「アトリビューション値」と「ランディングページのアクセスデータ」の異なる2つのデータを紐付けます。
ここではExcelのVlookup関数を用います。
・参考:Excel(エクセル)基本講座:VLOOKUP関数の使い方
「ランディングページ」レポートに新たにA列を追加し、紐付ける為の目印の役目を果たすFlagを付与します。今回は固有である「ランディングページURL」+「参照元/メディア」を結合します。
「モデル比較ツール」レポートではランディングページURLがホスト名から始まっており、「ランディングページURL」レポートのURLと整合性がありません。
「ランディングページURL」のレポートと同じ値に合わせるべく、ホスト名を削除します。
「モデル比較ツール」レポートと同じ様にフラグを付与します。整合させる為、組み合わせる値の順番に気をつけます。
最後にVlookup関数とFlagを用いて2つのレポートデータを結合します。
「モデル比較ツール」レポートのアトリビューション値を「ランディングページ」レポートに付与します。
結合したレポートの見方
ランディング時のアクセスデータ(セッション数や滞在時間等)とアトリビューション値が1つのレポートとして閲覧できると思います。
インサイトとして、コンテンツマーケティング施策として作成、公開したページが初回接触としてどれだけ貢献しているか、初回集客数とコンバージョンに相関性はあるのか等分析する事ができます。
初回集客数の増減と起点コンバージョン数の増減値に比例の関係が見られる場合は、商材を販売する上で潜在顧客層の獲得数が大きく影響している事が分かる、などコンテンツマーケティング施策の評価や今後のマーケティング戦略の立案材料として利用できます。
まとめ
ラストクリックのみでコンバージョン貢献を判断すると実際の顧客行動と異なる意思決定をしてしまう場合があります。
スマートフォン等の普及によりZMOTとい概念が出始めている現在、コンバージョンに至るまでの過程全てを重視し、各マーケティング施策を正しく評価していく必要があります。