昨年、賃貸サイトHOMESを運営する(株)ネクストがアグリゲーションサイトTrovitを100億円で買収しました。そして、今年になりTrovitの日本語版が稼働し始め、徐々にGoogleの検索結果上に出始めてきています。
海外では多くのメインプレイヤーが存在するアグリゲーションサイトですが、日本にはまだ数える程のサイトしか存在しません。アグリゲーションサイトは事業上のメリットが多い反面、技術開発やSEO、収益化、コンテンツ権利など解決しなければならない問題も多くあります。
今後展開されるTrovit日本語版は、アグリゲーションモデルが日本でも上手くいくか否かを示す手本になると思います。
今回は、アグリゲーションサイトとは何か、そして稼働したばかり日本語版Trovitの集客力を調査してみました。
参考:TrovitのSEOを調査!集客力とその仕組みはいかに!?
『アグリゲーションサイト』
アグリゲーションサイトとは何か?
アグリゲーションサイトとは、複数のWebサイトからあらゆる情報を集約し、1つのWebページにまとめるWebサービスの事を指します。
ユーザーは異なるサイトにアクセスせず、1つのWebサイトでWWW上に存在する情報を横断的に閲覧出来るメリットがあります。
オンラインバンキングやクレジットカードの入出金情報をユーザーに代わって各Webサイトにログインし、情報を毎日収集してくれるアカウント・アグリゲーションサービスMoneyForwardや、様々な求人サイトから求人データを収集し、一覧ページとしてまとめるindeed.comがアグリゲーションサービスの代表例です。
自動的な収集では無いものの、人(ユーザー)がWeb上に散っている様々な情報を分かりやすくまとめるNaverまとめもアグリゲーションWebサイトと言えるでしょう。
アグリゲーションサイトの仕組みとビジネスモデル
indeedやtrovitの様な、サービスの利用自体にユーザーから料金を取らず、広告課金で収益を成り立たせるアグリゲーションサイトを例に見てみましょう。
Webサイトのビジネスモデルとして、『広告収益モデル』があります。この収益モデルは、Webサイトにアクセスするユーザー数に大きく影響を受け、トラフィックを如何に安価で安定的に獲得できるかが成功の鍵を握ります。
「安価で安定的なトラフィック」として検索流入(オーガニック流入)があります。
Googleなどの検索エンジン上で上位順位にランクインすれば、無料でトラフィックを獲得できます。ランクインするキーワードの数が増えれば増えるほどWebサイトが獲得する無料トラフィックも増加する事になります。
この検索エンジン流入の仕組みはアグリゲーションサイトにとって最も相性の良いトラフィック獲得元となります。
(1)他社サイトを巡回しデータを収集するクローラーやAPIなどを通して提供される情報をデータベースに蓄積していきます。
(2)検索需要があるキーワードで収集したデータをWebページとしてまとめ、公開していきます。この際、検索エンジン最適化施策(SEO)やコンテンツ品質のコントロールを行い、上位順位にランクインする様に仕向けます。
(3)検索エンジン上で上位順位にランクインする事で、日々膨大なトラフィックを獲得し、広告を通して収益化を図ります。
最も時間とコストを要する「コンテンツの制作」を抜きにして、トラフィックを獲得できるのがアグリゲーションサイトのビジネス的魅力だと思います。
トラフィックの獲得力が増すことで広告クライアントの顧客に対するメディア影響力は高まり、確固たるメディアブランドを形成できます。求人検索エンジンのindeedは、その集客力の強さから求人サイトとしての地位が増し、独自のリスティング広告枠など独自の広告商品を展開するまでに成長しました。
現に、indeed内で様々なキーワードを検索すると、多くのページでindeedのスポンサード枠に多数の広告出稿が見られます。この広告商品が売れるのも、求人系キーワードで検索した際にindeedの出現率が高く、仕事を探している見込顧客を大量に獲得できるindeedの集客力がある為、広告商品としての価値が非常に高く、売れるのでしょう。
Trovit.jpの現状
ドメイン「trovit.jp」は2009年からTrovit本社が保有していますが、買収後の2014年12月頃からサービスサイトとして稼働も始まっています。
↑検索流入が2015年から発生し始めている(参照:SimilarWebProのSearch値 リンク)
既に10万ページがGoogleに登録(index化)されており、いくつかのキーワードをGoogleで検索するとtrovit.jpが上位にランクインします。
2015年4月現在、trovit.jp配下に賃貸、求人、中古車の3サービスを展開しているようです。既に膨大なデータベースを保有しており、様々なキーワードをtrovit.jp内で検索すると、ヒットする案件が多数表示されます。
Trovit.jpの集客力を表す検索順位はいかに?
独自に、Trovitの集客ページから対策していると思われるキーワードを展開中の3つのサービス毎に抽出。すでに日本で展開している競合他社と比較してみました。
※調査対象としたキーワードは全て検索ボリュームが10以上
まだ正式なオープンでは無いので、本領発揮した状態ではありませんが、すでに求人系キーワードでは複数のキーワードで10位以上にランクインし始めています。
↑2015/4/13現在
上位表示出来ているキーワードを見ると、どれも集客時の顧客アクション(求人応募)が期待できるワードが多いです。
競合性が極めて高い賃貸系キーワードは、trovit内に蓄積するデータ量(一覧ページ数)が増えてくる事で、徐々に上昇し始めるのではないかと思われます。
まだ、正式なリリースはされておらず、データの蓄積とGoogleインデックスへの登録段階で既にこの上位表示力を見ると、Trovitはここ数年で検索結果を大きく変える存在になるかもしれません。
SEOやWebビシネスのロールモデルとして目が離せない存在になりそうです。