2019年6月19日、GoogleのSERPs(検索結果)に大幅な変動が発生しました。変動は弊社Keywordmapのほか、各種ツールで観測されています。
今回は、このSERPs変動、さらに関係のありそうなGoogleによる検索アルゴリズムのアップデート、そして影響を受けたWebサイトやキーワード領域についての調査・分析をお伝えします。
(当記事の作成には細心の注意を払っておりますが、あくまでも推測の域を出ないものであり、情報の正確性、有用性、確実性、適合性など、当社は一切の保証を与えるものではありませんので、ご了承ください。)
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目次 ○ SERPs変動・Googleアルゴリズム変更の概要 ○ 調査結果 ○ 海外情報 ○ +SEO情報 ○ まとめ
SERPs変動・Googleアルゴリズム変更の概要2019年6月19日に発生後、22日ごろまで続いた不安定なSERPs(検索結果画面)変動の概要は以下の5点です。
❐ ファッション、仕事・ HR 、金融関連クエリで大きな影響を受けたと観測。しかしクエリ領域間の変動程度差分は少なく、広範囲のクエリで影響を受けたと想定。
❐ ニュースサイトでポジティブな影響を受けたサイトが多く、ポータルサイトでネガブティブな影響を受けたサイトが多い。
❐ Google社員はアルゴリズムップデートでないと発言。したがってアルゴリズムではなく、他要素による変動と想定される。
❐ Diversity Updateの影響は少ないと考えられるも、ヒット KW 数減少サイトの特徴から、 大規模ポータルサイトが影響を受けていると想定される。
❐ モバイルファーストンデックが進んでおり、通知なしでもモバイルがプライマリーのインデックスとなっているドメインが存在する。
発生SERPs変動概要 keywordmap(キーワードマップ)におけるSERPs変動の観測
2019/6/19に、平均順位変動値4.0を超えるSERPs変動を観測。
検索結果に大きな動きが生じたようです。6月初頭のコアアップデートから、やや落ち着いていたSERPsでしたが、19日から一週間ほどは不安定な状態が続きました。
その他ツールによる観測 ▼海外サードパーティのSERPs変動観測ツールでも、一様に6/19付近から数日間、順位変動が確認されています。
Mozcast、RankRangerで6/19に大きなSERPs変動を観測されているので、やはりこの時点から変動が発生していると考えてよいでしょう。
RankRangerではデスクトップ、モバイルともに変動が発生しており、デバイスに寄らない変更であると想定されます。
ヒットキーワード数変動ドメイン 計測期間:2019/6/16, 2019/6/23
弊社データベースよりアップデート前後でヒットキーワード数の変動数トップ20、ワースト20を確認した結果、6月頭にリリースされたコアアップデートの影響と同様に、
ポジティブな影響を受けているサイトが多い ⇒ ニュースメディアサイト、ブログメディアサイト
ネガティブな影響を受けているサイトが多い ⇒ ポータルサイト
以上のような傾向にあるようです。
Googleの回答 この一連のSERPs変動に関してGoogleはアルゴリズムの特別なアップデートを行ったとは言及していません。
https://twitter.com/JohnMu/status/1141620631794065408
SERPsの変動に対し、Googleの広報担当であるジョン・ミュラー(Johne Muller)氏は特別なUpdateを実行していないと否定。 フレッドアップデートやRankBrainによる調整と類似する種類の変更、または、アルゴリズム以外の要素による変動と想定されます。
ただ、あくまでも大きな、あるいは特別なアップデートを行っていないというだけなので、SERPsが大きく変動したことを考えると、何かしらの変更はあったと考えるのが妥当でしょう。(Googleは、変化に気が付かないような細かなアップデートを一日に複数回行っていると公式で認めています。)
調査結果<アップデートの影響による観測事象まとめ>
▼広範囲のクエリで順位変動が生じ、特にファッション、仕事・HR、金融関連クエリで大きな順位変動が生じた可能性がある。
▼意味範囲の広いワードとその周辺ワードとではGoogleの評価方法が異なる可能性がある。
▼小規模ECサイト・ポータルサイトで順位上昇を確認。大規模サイトの下落を受け、上昇していると想定される。
▼健康・医療関連クエリで、June 2019 Core Algorithm Update時同様、ポータルサイトの上昇が観測された。
影響を受けた領域 ▼キーワード領域別ポジション
「ファッション」、「仕事・HR」、「金融」の領域で高い変動率を観測。 しかし、ほとんどの領域の変動率が平均±1標準偏差内に収まることから、領域間の変動率の差分は少ないと想定されます。
⇒ 今回は特定の領域ではなく、広範囲の領域で影響があったようです。
中小規模ポータル・ECサイトで流入増加を確認
中小規模のポータルサイト、ECサイトでSERPs変動前後でオーガニックセッション数が増加。
大規模ポータルサイトの下落により、中小規模のポータルサイト、ECサイトが上昇している可能性があります。
ランキング決定アルゴリズムの違い? 周辺ワードでのみ順位上昇して、メインワードでは圏外(順位が101位以下であること)が継続するという事象が発生しました。以下をご覧ください。
〈過去6か月以上圏外に位置するWebサイト〉
一般に抽象的な検索意図である(意味範囲の広い)メインワードは圏外のままですが、一方である程度検索意図が明確なキーワード(周辺ワード)でのみ順位上昇するという事象が発生。
意味範囲の広いメインワードとその周辺ワードとの間でランキング決定アルゴリズム上、働いている規制が異なる可能性が考えられます。
医療系ポータルサイトの順位上昇が観測 ▼キーワードカテゴリ別、10位内ヒット数
健康・医療関連クエリで、June 2019 Core Algorithm Update(6月のコアアップデート)時同様、医療系ポータルサイトの上位獲得キーワード数の増加を観測。
健康・医療領域の医院偏重傾向の緩和が継続していると想定されます。
アップデートの影響を受けたサイトの傾向まとめ ▼広範囲のクエリで順位変動が生じ、特にファッション、仕事・HR、金融関連クエリで大きな順位変動が生じた可能性がある。
▼意味範囲の広いワードとその周辺ワードとではGoogleの評価方法が異なる可能性がある。
▼小規模ECサイト・ポータルサイトで順位上昇を確認。大規模サイトの下落を受け、上昇していると想定される。
▼健康・医療関連クエリで、June 2019 Core Algorithm Update時同様、ポータルサイトの上昇が観測された。
広範囲のクエリで順位変動が発生。中小規模のポータル・ECサイトでポジティブな影響を受けた傾向にある。意味範囲の広いワードと、その周辺ワードとではGoogleの評価方法が異なる傾向にある可能性。
海外情報海外におけるSERPs変動やアルゴリズムアップデートの影響について、いくつか情報をお伝えしていきます。
<2019年MarchUpdate以降、クリック・インプレッション・順位が激しく上下している>
March Update以前は流入・順位が安定していたサイトが、March Update以降は流入・順位が乱高下している事象が存在。 今回の変動では上昇傾向を見せているようです。March Update以降はそれ以前と異なるサイトの評価方法をとっている可能性が考えられます。
海外の変動事例:運用地域に限らず変動を観測 ▼9か国で運用するすべてのドメインで流入が増加
SEO情報を発信する海外サイト「WebmasterWorld 」において、以下のようなユーザーの投稿がありました。
これによると、運用する国に関わらず変動の影響を受けているケースが存在していると考えられます。
+ SEO情報GoogleがDiversity Updateを実施
Google検索の広報的なTwitterアカウントである「Google Searchliaison」は次のようにツイートしています。
2019/6/6、GoogleがDiversity Updateをリリース。同一ドメインの同一検索結果への表示を極力減らす対処を実施。 このアップデートはルートドメイン単位で対処され、同一ルートのサブドメインがダイバーシティの対象となります。
ただ、SEOやインバウンドマーケティングベンダーである米国企業のMOZは、このDiversity Updateの影響は軽微であると発表しています。
リンク:Did Google’s Site Diversity Update Live Up to its Promise?
1ページ目のユニークなサブドメインの構成比はアップデート後に上昇していますが、変化の効果量は1ポイントに満たない程度であり、大きな影響はないと見受けられます。 とはいえ、軽微でも影響があることに変わりはないので、今後とも注視していく必要はあるでしょう。
MFI(モバイルファーストインデックス)に関する情報 非常に重要なSEO情報です。 新規ドメインはすべてモバイルファーストインデックス対象となります。
リンク:https://mobile.twitter.com/googlewmc/status/1133279589403377665
2019/7/1以降、新規に登録されたドメインはすべて「Googlebot smartphone」でクロールされ、モバイルファーストインデックスの対象となります。
また、既存のドメインも徐々にモバイルファーストインデックスに移行していきますので、モバイルフレンドリー対応、モバイルユーザー向けのサイト制作が必須となります。 まだモバイルフレンドリーではない既存サイトをお持ちの方は、喫緊の課題なので可及的速やかに対応するようにしてください 。
▼なお、サブドメインのインデックスのプライマリはルートに準ずるようです。
https://twitter.com/JohnMu/status/1133476850142011392
つまり、ルートドメインがMFI(モバイルファーストインデックス)に移行した場合、サブドメインも同様にMFIとなるので、ルート単位での対策が必要だということです。
▼通知なしでMFIになる事象が発生?
Google Search Consoleからの通知がなく、モバイルファーストインデックス対象となっている事象を確認。 ⇒URL検査により、インデックスのプライマリがどちらになっているか確認する必要があります。未対応の方は、速やかに確認してください。
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まとめ以上が6月19日付近に発生した思われる、SERPs変動とアップデートに関する調査・分析になります。 March Update、June 2019 Core Algorithm Updateの影響は多分にあるようですが、実際にWebサイトやキーワードに与える影響はそこまで大きくないようです。
Googleは常にアップデートを繰り返しており、日々SERPsは変動しているので、そのすべてを追って、対応するというのはまず不可能です。しかし、今回のような一定の幅を超えるような変動が確認された際は、現行アルゴリズムにおける適切なSEO施策を行うようにしましょう。