2019年6月4日、Googleは「The 2019 June Core Algorithm Update」として、コアアルゴリズムのアップデートを行いました。その影響から、6月4日を皮切りに数日間、検索結果(SERPs)の不安定な状態が続きました。
今回は、当該アップデートとその影響下にあるSERPs変動に関する調査・分析のレポートをしていきたいと思います。ぜひご覧ください。
最新のGoogleアルゴリズムレポート >こちらから無料でダウンロード <
※なお、当記事で紹介している内容は弊社独自の見解によるものです。情報の正確性、有用性などについて一切の保証を与えるものではありません。 あくまでも参考としてご覧ください。
目次 ○ 当記事の概要 ○ 発生SERPs変動概要 ○ 調査結果 ○ 海外情報 ○ +SEO情報 ○ まとめ
当記事の概要
2019年6月3日にGoogleから告知、その後リリースされたThe 2019 June Core Algorithm Update(コアアルゴリズムアップデート) と、影響下にある検索結果変動、順位変動などについての概要は以下の5点です。
❐ 広範囲で影響が見られたが、医療・健康領域、地域情報関連クエリで特に大きな影響を受けていたと観測
❐ 医療・健康系クエリの状況から、メーカー・組織の公式サイトが評価される傾向が緩和されている可能性
❐ デスクトップ・モバイル間で順位変動の大きさに差分があることから、デバイスにより異なる変化が生じた可能性がある
❐ ランディングページの変化が観測されることから、同一ドメインにおけるページのマッチングのさせ方に変化が生じた可能性がある
❐ 広告・リッチスニペット・Googleマイビジネス等の表示に変化があり、トラフィックに影響が生じる可能性がある
発生SERPs変動概要June 2019 Core Update事https://twitter.com/searchliaison/status/1135275028834947073前告知
以上のように、TwitterのGoogle公式アカウントによってコアアルゴリズムのアップデートが事前告知されました。
予定通り、2019/6/4(日本時間)にロールアウト。現行アルゴリズムによる検索結果表示に変更されました。
keywordmap(キーワードマップ)におけるSERPs変動の観測 ▼Webマーケティングの調査・分析ツールである「Keywordmap 」の「SERPs変動」機能による観測(計測期間は2019/4/27~2019/6/26)
2019年6月4日~6月5日、平均順位変動値4.0を超えるSERPs変動を観測。 検索結果に大きな動きが生じたと考えられます。
その他ツールによる観測 ▼海外サードパーティのSERPs変動観測ツールでも、一様に6/4から数日間、SERPsの変動が確認されている。
出典:MOZCAST(https://moz.com/mozcast/ ) 出典:Algoroo(https://algoroo.com/ ) 出典:RankRanger(https://www.rankranger.com/rank-risk-index )
Mozcast、RankRangerといった海外ツールにおいては、6/9にも大きなSERPs変動が観測されており、6/4時点から変動が発生していると考えられます。また、RankRangerではデスクトップ、モバイルともに変動が発生しており、デバイスに寄らない変更であると想定されます。
ヒットキーワード数変動ドメイン 計測期間:2019/6/2、2019/6/5
弊社データベースより、アップデート前後でヒットキーワードの変動数トップ20、ワースト20を確認すると、
・「ニュース系メディア、ブログメディア系サイト」で増加したドメイン が多く、 ・「ポータルサイト」で減少したドメイン が多いことが判明。
テキストコンテンツに対する評価を向上させた可能性があると考えられます。
調査結果<アップデートの影響による観測事象まとめ>
❐ 地域情報と健康・医療に関する領域でアップデートの影響を受けたと想定される
❐ 医療・健康領域:組織公式サイトの評価を変更した可能性がある
❐ 固有名詞 or 公式サイトの評価方法に変更が加えられた可能性がある
❐ 健康・医療:地域関連クエリ、ローカル検索において影響を受ける
❐ ドメインの中で表示ページを選定する方法に変化が生じた可能性
影響を受けた領域
「エリア名」、「不動産」、「仕事・HR」、「健康・医療」の領域で順位が変動している傾向が見受けられます。 また、「仕事・HR」、「不動産」は地域が関わるワードが多く含まれることから、地域情報と健康・医療に関する領域でアップデートの影響を受けたのではないかと想定されます。
医療・健康領域 医療・健康領域における組織公式サイトの評価を変更 した可能性が考えられます。 以下、各ドメインの上位獲得数の変動値をご覧ください。
ポータル、医院・クリニックサイトに限らず、10位以内のヒット数で変動を受けています。 clinic-e-kuchikomi.info、twitter.com、beauty-park.jp等のユーザー投稿型のポータルサイトでヒット数が増加していること、「医院・クリニックサイト」での減少が目立つことから、以前の組織公式(クリニック公式)サイトを評価する傾向から、UGC的なコンテンツを評価する傾向に変わった可能性 が考えられます。
固有名詞に関する検索結果の変更 ▼高須クリニック
(以前は1位に表示されなかった公式サイトが、1位に表示されるようになっている。)
以前に「公式サイトが上位表示されていなかった」、組織の固有名詞ワードについて、公式サイトが上位に表示される事象 が確認されました。 今回のコアアルゴリズムアップデートによって、固有名詞、または公式サイトの評価方法に変更を加えられた可能性が考えられます。
健康・医療:地域関連クエリ、ローカル検索における影響
医院サイトにおいて、地域関連クエリで順位変動を観測。 同じようにローカル検索においても特定の地域で順位変動を観測。
地域に関連するクエリにおいて、コアアップデートの影響を受けた可能性が考えられます 。
表示されるランディングページの変化 特定のクエリにおいて順位は変動していないにもかかわらず、表示されるLP(ランディングページ)が変化するという事象が確認されました。
クエリのテーマが変更された or ドメインの中で表示ページを選定する方法に変化が生じた可能性があります。
アップデートの影響を受けたサイトの傾向まとめ <観測事象のまとめ>
❐ 地域情報と健康・医療に関する領域でアップデートの影響を受けたと想定される
❐ 医療・健康領域:組織公式サイトの評価を変更した可能性がある
❐ 固有名詞 or 公式サイトの評価方法に変更を加えられた可能性がある
❐ 健康・医療:地域関連クエリ、ローカル検索において影響を受ける
❐ ドメインの中で表示ページを選定する方法に変化が生じた可能性
YMYLと地域に関する領域で大きく影響を受け、E-A-T評価や地域テーマの評価方法、ローカル検索に関する変更 が加えられた可能性が考えられます。
――― ※YMYL :YMYL(Your Money or Your Life)とは、Googleの品質評価ガイドラインに掲載された概念で、直訳すると「あなたの資産、あるいはあなたの生活」となります。 Googleは、品質評価ガイドラインにおいて、次のように言及しています。
「Some types of pages could potentially impact the future happiness, health, financial stability, or safety of users. We call such pages “Your Money or Your Life” pages, or YMYL.」 ⇒ユーザーの将来的な幸福、健康、金銭上の安定、安全に潜在的な影響を及ぼすページを、我々はYMYLと呼びます。
このようなYMYLに該当するようなページは、Googleが非常に厳しい基準を設けて評価しています。YMYLに該当しながらもクオリティの低いページは、ユーザーにネガティブな影響を与えてしまうと判断されるので、検索結果で上位を期待することは難しくなるでしょう。
YMYLに該当するようなコンテンツを作成する場合は、ユーザーが安心して利用できるような、正確で信頼性の高い情報を用意する必要があります。
――― ※E-A-T :E-A-Tとは、E=Expertise(専門性)、A=Authoritativeness(権威性)、T=TrustWorthiness(信頼性)の頭文字で、GoogleがWebサイトを評価するときの基準の一つです。 上記で紹介したYMYLのようなユーザーに多大なる影響を及ぼすページについては、このE-A-T、つまり専門性や権威性(評判が良い)、信頼性(コンテンツの内容に信頼がおける)に基づいて評価されている場合が多いです。もちろん、YMYL以外のWebサイト・ページでもE-A-Tによる評価は行われています。
リンク:品質評価ガイドライン
最新のGoogleアルゴリズムレポート完全版 >こちらから無料でダウンロード <
海外情報海外におけるSERPs変動やコアアルゴリズムアップデートの影響について、いくつか情報をお伝えしていきます。
▼デスクトップとモバイルの相違点
SEO情報を発信する海外サイト「WebmasterWorld 」において、以下のようなユーザーのコメントがありました。
● デスクトップではオーガニックトラフィックが70%増加も、モバイルでは変わりがない。
● 昨日はデスクトップ:モバイル比率が50:50だったが、現在はデスクトップのほうが多い。 リンク:https://www.webmasterworld.com/google/4947706-4-30.htm
変動後、デスクトップとモバイルでトラフィックに異なる変化が生じる事例が存在。 デスクトップに変動が生じるケースが多くみられたようです。
Googleマイビジネス(GMB)の情報活用方法の変更? ▼Facebook Local SEO対策のクローズグループ情報
Googleマイビジネス(GMB)の情報が削除されているというケースが発生。スパムで有名な業界である害虫駆除会社のGMBが削除された模様。 ⇒問題視されていたGMBスパムの対処を行った可能性が考えられます。
一方で、Googleマイビジネスの最適化実施サイトではすべてが本アップデートで上昇していると報告されていることから、 ⇒GMBのオーガニックランキングへの反映方法が変更された可能性が考えられます。
◇ 今回のコアアルゴリズムアップデートによって、Googleマイビジネス活用方法の適正化が鍵になってくる可能性が指摘されています。
+SEO情報Google、品質ガイドラインの更新 リンク:https://static.googleusercontent.com/media/guidelines.raterhub.com/ja//searchqualityevaluatorguidelines.pdf
▼2019/5/16に品質ガイドラインが更新。 ・EATをPageQuality判断の要因の1つであると明確化。 ・コンテンツの専門性をコンテンツ自体から評価することが可能と表現。 ・※インタースティシャル広告の評価低減について具体例を掲載。
⇒ページコンテンツの専門性担保の必要性、E-A-T評価向上対策の必要性が示されました。
※インタースティシャル広告 モバイルアプリやWebページにおいて、ポップアップやオーバーレイ(画面に重なる)として表示される全画面の広告のことをインタースティシャル広告といいます。 リンク先に飛ぶか、広告を閉じるかの二択のアクションをユーザーに課すため、場合によってはネガティブな印象を持たれてしまうことがあります。 上記にあるように、Googleはインタースティシャル広告に対し、UX(ユーザー体験)を損なっているとして低評価を下すような主旨の発言をしています。
リスティング広告の表示方法が変更 モバイルページ検索結果画面のリスティング広告
リンク:https://www.reddit.com/r/SEO/comments/bwvaoj/how_is_affecting_the_04_june_google_algo_update/
▼リスティング広告のカードがリッチ化 ⇒オーガニックの画面占有率の縮小、表示位置の後退により、オーガニックトラフィックへの影響が想定されます。
まとめ今回のコアアルゴリズムアップデートについては、おもにYMYLに関するキーワード領域への影響が特筆すべき点かと思われます。順位変動が起こっているのも、YMYLそのものである医療や健康といった領域です。 2019年3月にロールアウトされたコアアルゴリズムアップデートと比較すると、今回のアップデートの影響は小さいと考えらますが、同時に変更が加えられている可能性がある、リスティング広告の表示方法、およびGoogleマイビジネスなどは注視していく必要がありそうです。